本との出会いが人生を変える/編集者の言葉#17
今回は、出版社リトルモアとフォイルの創業者である竹井正和さんの言葉から、本の持つ力について書いてみたいと思います。
本が商品として扱われることへの憂いを書いた文章のなかに、この言葉はあります。
50代にもなって何を青臭いことをと思われるかもしれませんが、私も「本は人間と同じように奇跡を生むことができるはずだ」と信じています。なぜなら私の人生は本に助けられながらの人生だったからです。
「いまできること」と「自分がやりたいこと」の圧倒的な距離に叩きのめされ、ひたすら専門書を読んで血肉をつけ、あるいは小説に心を慰められた20代の日々。
相性の合わない上司との付き合いに悩み、心理学や人生論の本を片っ端から読んで、なんとかやりすごした30代の日々。
30代も後半になって、おかげさまで10万部レベルのベストセラーをいくつか出せるようになりました。
素晴らしい著者さんとの出会いが生み出した奇跡ともいえますが、雌伏の十数年の間にたくさんの本と出合ったことも、要因のひとつだと私は思っています。そしていまだに本を編集するときには、竹井さんのこの言葉を思い出します。
人と本との出会いが、人を変え、その人の生活空間を変え、社会的空間を変え、やがては社会を変え、世界を変えていく。
それは小さな場所で小さく始まっているかもしれないけれど、確実に世の中を変えていく。私は、そう信じています。
だからこそ、編集者は一球入魂で本を編集すると同時に、人と本の多様な出会いを作り続ける必要があると思うのです。
コロナのことや、政治のこと、経済のこと、心がざわざわすることばかりの今日この頃ですが、本は、私たちを勇気づけ、心の疲れを解きほぐし、問題を解決する知恵をひらめかせてくれます。
こんなときだからこそ、本を読んでみませんか。本はきっと、あなたとの出会いを待っています。お勧めは、竹井さんが語り下ろしたこの1冊。ものづくりをやってらっしゃるかたなら、心が熱くなる言葉がたくさんあります。
古典といわれる小説もおすすめです。たとえば、逢坂剛さん、大沢在昌さん、北方謙三さん、船戸与一さん、夢枕獏さんという名うての作家が編集委員を務めている冒険小説の傑作が集まった全集『冒険の森へ 傑作小説大全』なども、おすすめです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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