中高生向け読書感想文にオススメな本(読書記録その18)
夏休みの宿題で一番面倒臭いのが読書感想文ですね。まず読み終えるのに時間がかかる。そして文章を考えるのに時間がかかる。そして書くのに時間がかかる。こんなものがあるから読書嫌いな子供が増えて、読書離れが進むんですよ。こんなもんやるくらいなら、希望者だけでビブリオバトルとかプレゼン大会とかやればいいんですよ。読書をする意味やメリットすらろくに理解できていないのにもかかわらず、頭ごなしに「いいから本を読め」としか言えない指導者の多いこと多いこと。ウンザリします。
ただ、提出しないと成績に関わるという中高生も多いと思われるので、今回は中高生向けに読書感想文におすすめの本7選を選んでみました。
読書感想文におすすめの本7選
『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈
『宙ごはん』町田そのこ
『月の立つ林で』青山美智子
『旅立ちの日に』清水晴木
『カプチーノ・コースト』片瀬チヲル
『君のクイズ』小川哲
『セリエA発アウシュビッツ行き』マッテオ・マラーニ(小川光生訳)
ポイント
『成瀬は天下を取りにいく』『宙ごはん』『月の立つ林で』『旅立ちの日に』は中高生の登場人物が何人か出てくるので、親しみやすい要素がいくつもある。
『カプチーノ・コースト』は海洋プラスチックなど、環境問題に直結することが題材のため、きっかけとしてうってつけかと。
『君のクイズ』は部活に一生懸命な中高生にこそ、是非読んでほしい。
『セリエA発アウシュビッツ行き』は第2次世界大戦について、見識を深めたい中高生やサッカー好きの中高生に読んでほしい。
既出の書籍の紹介ページ
『成瀬は天下を取りにいく』『旅立ちの日に』『カプチーノ・コースト』『セリエA発アウシュビッツ行き』
『宙ごはん』
初登場の書籍について
2冊あるので紹介します。どちらも本屋大賞2023ノミネート作です。
『月の立つ林で』青山美智子
ポッドキャストで配信されている「ツキない話」のリスナーがありとあらゆる形でつながっていく物語。それぞれが素直になれずにいるところと見えていないところを抱えているが、思わぬところでそれぞれの見えないところに光が当たる。
それぞれの見えないところを新月に投影させ、それ以外も月のあれこれにつなげているところも青山美智子さんならでは。登場人物を様々な形でつなげ、それぞれ一歩前に進められているのが「青山美智子ワールド」なのかも。
「今は今の距離で、今の私にできることから。」「目を凝らさなければ見失ってしまいそうな、細い細い月を眺めながら私はほほえむ。あの針金のような光は、これから確かに、ゆっくりと膨らんでいくのだ。」という表現が印象的。
『君のクイズ』小川哲
クイズ番組「Q-1グランプリ決勝」で三島玲央は本庄絆と対戦する。ところが最後の問題で本庄は問題が1文字も読まれないうちにボタンを押し正解、優勝してしまう。あまりにも不可解すぎて周りのプレイヤーからはヤラセの声も聞こえるようになり、三島自身も真相を確かめるべく、本庄が答えた問題を徹底的に調べあげる。
この作品のポイントは「過去の自分を肯定し、現在の自分を作り上げたクイズに対する並々ならぬ執念」、回答へのプロセスやプレイヤーの過去について書かれていて、「実在するクイズプレイヤーにもいるんだろうなぁ」と思わされるところもある。
「クイズが僕を肯定してくれていた。君は大事なものを失ったかもしれない。でも、何か失うことで、別の何かを得ることもある。君は正解なんだ」という文章が印象的。
さいごに
私が普段指導している、都立中高一貫校の適性検査対策で気づいたことをならべておきます。
文章力を上げるためにも読解力を上げておく
コンパクトな表現と読む相手を意識
文法事項はしっかりと学んでおくこと
活字だけでなく漫画もしっかり読むこと
深く理解したいのならば図書館で片っ端から関連資料を集めること
その際アニメを含めた映像作品もかき集めること
こんなところですね。適性検査絡みの記事はまた改めてまとめようかと思います。
ではでわ。
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