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作品まとめ

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#夏

雪に夏

雪に夏

 外で遊ぶ子らの声がやたらと耳につく。窓に触れる樹の葉々が風に揺れて、屋上からおが屑を撒くみたいに、がさがさ、さらさらと音がする。八月も暮れに差し掛かり、公園の向日葵もうつむき始めている。
「もう寝よう」僕の声にランテコはなんにも応えなかった。彼女は窓の外を見ていた。夜の波が音もなく窓にぶつかっては引いていった。言葉は独り言になって床に転がり、水引棚の足にぶつかって真ん中から割れた。
 部屋には僕

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夏の氷のおばさま

夏の氷のおばさま

 今日はとくに暑いから魔法がうまく出せないかもしれない。
 寝汗をかいていた。午前八時、日はすっかり昇って、外ではパトカーがサイレン鳴らして走っていた。その音に引っ張られるようにして、昨日帰り道で見たハッコウフグの群れが夜空を泳ぐ景色を浮かべたけれど、その光景はもう過去の映像で、太ももや腕にかいた汗のぺたぺたとした不快感に体を起こした。

 信号待ちをしていた。穿いたホットパンツの下だけが布をまと

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鈍感

鈍感

 盆を過ぎ、駅前の夜はじっとりとした熱気の中にあった。拭えぬ湿気の中に漂うたばこの匂いが鼻に当たり、目前を歩く中年の男が手に差した小さな赤い光に視線が当たる。男が歩くたび、腕が振れて赤い点が暗い中で明滅する。僕はシーツやらTシャツやら何やらがぎゅうぎゅうに詰め込まれたIKEAの青いキャリーバッグを手に歩いていた。街灯が道路脇に植った低木の葉々をぼんやり照らし、その景色が歩道を沿っていた。低木の導く

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