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なぜ日本は金融緩和?

今回は、2022年9月時点の、日本、アメリカ、欧州(EU)の金融政策の比較をし、なぜ日本だけが金融緩和を続けるのかを説明しまし。

日本の金融政策(2022年9月22日公表)

  • 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)

  • 資産買入れ方針

  • 新型コロナ対応金融支援特別オペの取り扱い

  • 金額無制限の共通担保資金供給オペの実施

日本の金融政策で特に注目されるのが、太字の2つ。

1つ目の「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」とは、
 短期金利:-0.1%のマイナス金利を導入(金融機関が対象)
 長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度になるように無制限に買い入れ
      実質的には0.25%を上限の目安とし買い入れを行ってるとされ
      ています。

2つ目の「資産買入れ方針」とは、
 ETFを年間約12兆円、J-REIT年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを              上限に買入れを行う。
 ETFの買い入れは、TOPIXが数%下落すると後場から買い入れがされていま      したが現在ではほとんど買い入れがありません。ステレステーパリングで     はないかともいわれています。また、TOPIXを買い入れ続けたため多くの        企業で実質的な大株主になっているのではないかと言われています。

参考として日銀が公表している2022年9月の日銀のETF買い入れ額の結果です。9月は買っていないようです。URLも掲載したので興味がある方ご覧ください。

出所:日銀


米国の金融政策(2022年9月21日公表)


  • 0.75%ポイント引き上げて金利を3.25%にすることを決定

  • 米国債は毎月600億ドルを上限、MBS(住宅ローン担保証券)は350億ドルを償還

1つ目の金利の利上げは、皆さんご存じだと思います。今後も大幅な利上げ(0.75%など)が市場では予想されています。

2つ目については、今まで買っていた債券が償還した場合、償還されたお金を再び再投資することはせず市場からお金を引っ込める政策です。

(例)今まで
100万円で国債を購入。満期で償還となり100万円がかえって来たら、その100万円で再び国債を買う。

(例)これから
100万円で国債を購入。満期で償還となり100万円がかえって来ても国債は買わない。

以上のようになりますが、2つ目について何をやっているのかというと、中央銀行が国債を買うことでお金をどこかに払うことになります。つまり、市場に中央銀行のお金が供給されることになります。当然中央銀行はお金を刷ればよいだけなので、無限に市場にお金を供給することが可能です(実際はそんなことはできないですが)。

欧州(EU)の金融政策(2022年9月8日公表)


  • 0.75%ポイント引き上げを決定

  • APP(資産購入プログラム)、PEPP(パンデミック緊急プログラム)いわゆる資産購入。償還された証券の再投資について、PEPPは2024年までは少なくとも続ける方針


日米欧の金融政策のまとめ



出所:日銀、FRB、ECBのHP等を基に作成


日米欧の9月時点の金融政策の状況と物価の状況をまとめてみました。

日本以外は物価の上昇が大きく、金融引き締めを行い抑えようとしている状況です。日本においても物価は上がってきていますが、肝心の賃金は上昇しておらず、この状態での金融引き締めは経済の腰折れさせてしまう可能性があります。そのため、日銀は非常に難しい政策の判断をしなければなりません。 

なぜ日本は金融緩和を続けるのか

足元の日本の物価は、日銀の2%の目的達成していると言えます。しかし、持続的であるのかや、賃金の上昇が起きてないことなどから、金融引き締めである利上げをした場合、日本経済を悪化させてしまう可能性があるため、今は様子を見ざるを得ないといったところだと思われます。また、米国などは利上げで景気を抑え込みに来ておりますので、世界的な景気悪化となれば日本もその影響を受け、今のような物価高からは落ち着く可能性もあります。そのことから、日銀が金融引き締めをせずとも物価の低下が起こる可能性もあると考えられます。

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