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【医療コラム】医局員5人が骨折やアキレス腱断裂

■連休明けに勤務できなくなる医師たち


医局で代々受け継がれている話。
それは連休明けに医局員5人が、骨折やアキレス腱断裂をしてまともに勤務できなくなった話です。大学病院と関連病院含めて日勤医師もそうですが、当直医師が3人必要だったので、ギプス固定された医師が何人も日勤そして当直し、挙句の果てには、なんと教授が30年ぶりに当直をすることになりました。しかもそんな状態が1カ月続いたのです。

医師ほど運動不足なり不摂生な職業はありません。しかしそれを自覚していない医師が何と多いことでしょう。

人は痛いところを突かれると、怒りとして反応する。だから、うそを貫き通したかったら、流すか認めるんだ。浮気癖のある上司に教わった名言の1つです。ですが、よほどの強さがなければ自分の弱さは認められません。まさにプライドと自分の心を守るための戦いです。

■魔法の言葉に魅せられて


医師は日々運動をしていません。ですので急に運動すれば、とんでもない目に合います。それを受け入れれば、こんなことにはならいという話です。

「お父さん、頑張って!」
親バカじゃなくとも我が子に言われたら、頑張ってしまうのは当たり前のこと。ふだんは家にいないばかりか、家にいても当直明けでゴロゴロしているだけなのに。そんな我々が、「学生時代、足は速かったんだ。任せておけ!」と子どもの前でいいところを見せようと、いきなり全力疾走するもんだから、結果がどうなるかは明白です。

私には子どもが4人います。ただこの医局の怖い話を聞いていたのと、歳をとると無茶はしないということは理解していました。しかし……4人の子どものうち末っ子は、歳をとってできた子どもです。ましてや上の子たちと違って、末っ子と2人きりの時間はほぼありませんでした。

そんな末っ子に応援されたのです。いくら同僚や妻に、「もう歳だから無理しないでね」とくぎを刺されていたとしても、私の中で火がついてしまうのは当然のこと。

「俺は昔、陸上部だったんだ!」
とは言え、いい歳なら全力で走れば、どうなるかはわかるはず。

■現実はやはり厳しいもの


最初の綱引きで、びっくりするぐらい引っ張られて吹っ飛ばされてしまいました。
カッコ悪い。

挽回しようとリレーで全力疾走……しようとしたのですが、ものの数歩で足に電気が走る。もんどおりをうって倒れこんでしまいました。肉離れです。
足を地面につくたびに激痛。
運動場からおぶされて退場。
やってしまいました。

家族でも職場でも居場所がなくなりました。多かれ少なかれ同じような同僚がいたので、傷を舐め合うしかありません。上司は笑ってはいましたが、しこたまチクチク怒られ、松葉杖とピッコを引きながら勤務しました。味方などいません。

人はほとぼりがさめるとやってしまうのです。実は何年かごとに、子どもの運動会、病院運動会等々。9月10月の連休明けの火曜日ないしは月曜日。このような医師集団が出ています。

本当にあった怖い話。
噂で聞いていただけではなく、自分の身に降りかかるとは。これほど怖い話はないのでした。

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