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3密音楽活動ノススメ その2「文化庁のガイドライン」

このタイトル気に入っている。自粛警察に目をつけられないといいなぁと思っているが。

3密音楽活動ノススメその1でも書いた、劇場・音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインが発表されていた。恥ずかしながら、見落としていました。良いぞ文化庁!2次補正予算での文化芸術活動への緊急総合支援パッケージなるものも、期待したいところだ。

ガイドラインの内容を、批判的にかつ前向きに解説したいと思う。個人的意見だが、かなり細かく、安全に全振りしている内容だ。しかしながら、メンバー(公演主催者と公演関係者(出演者・スタッフ)は区別している)や聴衆(来場者)にも示唆する内容も多い。是非ご一読願いたい。

ポイント1:施設管理者にとって適切な感染症対策なのか

施設管理者に対する提示はかなりのボリュームだ。(1)リスク評価に始まり、(2)施設内の各所における対応策では、9項目に詳細の対応策を提示している。この内容を公演ごとに徹底すれば、確かに適切と言えそうだ。施設によって裁量の幅は考えられる部分だが、一律でのガイドライン詳細が既に作成されているかも知れない。「公演主催者への要請や来場者への周知を図って下さい」とあるが、その要請や周知の強度が気になるところだ補助金も用意されているので、補助金を使いながら施設管理者としては随時取り組んでいく内容だろう。

ポイント2:公演主催者や出演者・スタッフにとって適切な感染症対策なのか

5.公演主催者に協力を求める具体的な対策の中に、3つの項目で例示がある。もちろん、例示であって強制力はないと言っているようではあるが、施設管理者と公演主催者の間で、仮に「公演主催者が必要な措置を講じていないと認められる場合、必要な措置を講ずるよう、十分な協議を行って下さい」とあり、ガイドラインに一定の強制力をもたせている。ずるい。

適切か適切じゃないかといえば、「めっちゃ適切」だし、「適切過ぎる」とも言える。例示なのだから従う必要がないとはいえ、上記のような施設管理者に有利に働きそうな文言もある。また、この項目を全部ちゃんとやることを暗に指示していないか。「イベント自粛要請」的な。

3つの項目<公演前ー公演当日ー公演後>の例示された対策が、かなり細かく、現実性の乏しい内容もある。運営・進行の観点で詳細を見てみよう。

ポイント3:運営・進行として成り立つのか

<公演前の対策>としてあげられる内容の中で気になったのが、「開場・休憩時間の延長」「高齢者の入場制限」「来場者(お客様!)の氏名および緊急連絡先の把握」だ。
まず、「開場・休憩時間の延長」についてはそもそも、現行の施設管理者と公演主催者の契約上、余裕がない。というのも、貸す側(施設管理者)からするとできるだけ短くして回したいだろうし(例えば午前・午後・夜間の3枠にするとか)、借りる側はできるだけお金は節約したい。なので、施設管理者に有利に働く可能性、例えば「開場時間を2時間にできないと貸せません(だから終日3枠借りてね)」という強行が成り立ち得る。

高齢者の入場制限」については、これは特にクラシック音楽は死活問題だ。リスクが高いとはいえ、これは大反対。そもそも成り立たない。記憶が定かではないが、ウチのオーケストラの来客のうち、60代以上が半数以上を占めていた気がする。プロオケなら尚更。もちろん、吹奏楽やライブ・コンサートなどは若年層向きで良いかも知れないが、じいちゃんばあちゃんでも、ヘビメタを聴きに行く自由を奪って良いものなのか。楽しみを奪って良いものなのか。高齢者の方々の生の声が聞きたい。

来場者の氏名および緊急連絡先の把握」については物理的に不可能だろう。ぴあ辺りが情報を持っていることと、たとえばクレジットカードで追跡できる程度の情報収集があり得るとしても、これを公演主催者に押し付けるような例示(あくまでも例えなのだろうが)はいかがなものか。個人情報保護法にも抵触する可能性がある。アンケートの記入欄でさえ過敏になっている世の中から逆行をするのであれば少なくとも国や行政がそこを手動するべきで、もしかするとイチ個人かも知れない公演主催者にこれを押し付けるのはお門違いも甚だしい。無理と分かっていて例示したのなら尚更サイアクだ。このことを錦の御旗で言ってくる施設管理者の薄笑いが浮かんでくる(もちろん悪い人ばかりじゃないことは分かってます)。

ここまでですら、成り立つかどうか。<公演当日ー公演後の対策>については、ひとまず割愛。

ポイント4:興行として成り立つのか

この表は「5月 25 日(月)に決定された「新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言」や催物(イベント等)の開催制限及び施設の使用制限に関する段階的な移行について周知するもの」からの抜粋だ。

要は、1000人キャパのホールに500人しか入れられない。入場料を倍かそれ以上、にするしかない。NewspicksのHORIE ONEでも言っていたけど、VIP化のような手段を講じることでしか、収益化は難しそうだ。
これは深刻だ。小さく「管楽器にも注意」と書いてあるのがイラッとするが、合唱団の方々を思うと大きい声では言いにくい(合唱だけに)。まず、成り立たない可能性が高いのではないだろうか。そもそも、クラシック音楽業界は収益が出にくい公演が多い。アマチュアは持ち出し(赤字)が大半、プロでも良くてトントンという話も聞く。それも客席をほぼ満員にしてもだ。冠のついたコンサートばかりでクラシック音楽界は成り立っていない。興行成立についても見通しは暗そうだ。

まとめ:文化振興のために?

本当は、もっと前向きな話を書きたかった。深く読めば読むほど、事なかれや他責が文中に蔓延していて、「文化振興のために」書かれていないことが明白だ。文化庁なのにね。
「Withコロナで文化活動なんてやんなくても良いでしょうよ。だってまたクラスター起きたらヤバいもん。誰が責任とるの?え?施設管理者はちゃんとやってるよね。じゃあ、あんたたち公演主催者側の責任なんじゃない?」これを言いたいためのガイドラインなのか。
あくまで「例示」かも知れない。あくまで「ガイドライン」かも知れない。
あくまで「参考」かも知れない。あくまで「推奨事項」かも知れない。

文化振興のために」。
音楽や芸術は本当に必要なのかしら。やっぱり不要不急なのかしら。

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