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さよなら、八重洲ブックセンター 本店

東京駅から、意外と歩くなあと思った。
それはたぶん、周りが全然変わってしまったせい。
新しくできた東京ミッドタウン八重洲の隣りに、外観を名残惜しげに写メる人が途切れないビルがあった。

八重洲ブックセンター 本店

44年間あった、8階建の本屋さん。

下から見上げる最後

東京駅八重洲口も再開発で、ここも大型施設に生まれ変わり、その中に入る予定ではあるらしいけど。
八階全てが本屋とは、もうならないみたいだ。
ラスト近くに、どうしてもお別れを言いたくてやって来た。

カウントダウンが私らしいギリギリ…


学生、社会人の頃はこの辺りをウロつく機会が多く、よく利用した。
八階もあれば、大抵のものが揃い、それを探すうちに心惹かれる風景写真集やジャケット買いのようなものに巡り会った。
思いがけない新しい宝物に、心躍らせた。

本屋は時間を吸われる。
でも本屋は時間旅行に行ける。
ワクワクと、本に囲まれる事に深呼吸。
いくらでもいたい、宇宙空間。


ネットなら探し回らなくて楽だけど、予期せぬ出会いを知りにくい。
この昔馴染みの店にずっと行っていなかったことに、一時閉店のニュースをみてやっと気付いた。
それでもやはり、最後にあの懐かしの日々を思い出したかった。

入ってすぐの柱

入口すぐ視界に入った柱には、一面ぐるっと作家さんの寄せ書きがされていた。
結構たくさん!
これだけで、なんだかジーンと来るものがある。


せっかくなので、八階から順に降りてみた。
内部は確かにちょっと年季がねぇ、まあ同じように時代を重ねてきたね、私もね。

懐かしいクルッと回る階段を下る。
各階、広くて山ほど本や特設コーナーがあったよね。
今は、もうだいぶ減ってしまった。
名残惜しむ人々が、忘れ物はないかと確かめるように棚をみていた。

クルッと降りるごとに、思い出に浸る。
あの時代に忘れてきたものはなくて、本を手にとっていた微笑みを取り戻す。

ここはあまり使われない通路だったけど、今は大切な寄せ書きが。

端の壁には、この地に思い出を残す人の言葉が、各階に並んでいた。
電子書籍は便利だけど、本屋は減るけど、それを寂しく思う人も多いという表れだろう。

そうなんだー。読んでないです…


地下に、何気に可愛い雑貨も売っていたが、それは先に終了していた。
残念。


だいぶ在庫はなくなっていたけど、まだ中山七里氏や古市憲寿氏のサイン本や、地図のバーゲンなどもある。
思い出ある方、まだ掘り出し物があるやも。

あと1日!
3月31日に閉店。

ちなみに、私は八重洲ブックセンターの付箋と一筆箋を見つけて購入。
あと、一冊だけあった、推しの目黒くん表紙のも!

宝物が増えた。目黒くんも!
銀座の方面を向くと

外に出ると、満開の桜並木が青空に映えていた。
桜の労いをうけながら、晴れた日に。
背の高いビルにありがとう、と別れを告げた。

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