「いま・ここ」の欲望を満たすためのサブカルチャー消費の危うさ —推し・エモの行方
映画『花束みたいな恋をした』では、菅田将暉演じる主人公(の片方)の麦は就職してから好きだったはずのサブカルチャーが息抜きと思えなくなり、恋人に「もうパズドラしかやる気しない」と言い放つ様子が描かれた。同作を取り上げた三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、労働と読書の歴史を遡ることで、本が読めない理由は単に長時間労働によって余暇時間がとれないというだけでなく、人間を「ノイズを除去」した情報しか受け入れられないようにする社会に問題があるということを論じている。三宅が