「感傷マゾ」は「異常」ではない —リスク社会における自己とそのゆくえ
私たちは日々、様々な選択をしている。今日は何を着ていくか、昼は何を食べるかといった日常のことから、どの大学に行き、どのような仕事に就くのかという人生における大きな意思決定に至るまで、絶えず何かを選んでいる。しばしばその選択は悩ましく、私たちは「あの時こうしていたら今の自分はどうなっていたのか」「これからどう生きていくべきか」といった思いを抱くのである。
人々にとって「選択」がこれほどまでに重要になったのは、実はごく最近のことである。「あの時ああしていたら」という悩みは以前と