片瀬/Lu

片瀬です。Luという名前でボカロPとしても活動しています。インディーロックをつくりなが…

片瀬/Lu

片瀬です。Luという名前でボカロPとしても活動しています。インディーロックをつくりながら、noteでは音楽など文化にまつわる話をしています。Webサイトhttps://katasekuu-home.vercel.app/

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  • カルチャー系記事

    ちょっとニッチな切り口から音楽を語った記事を集めました。

  • 感傷マゾ論考集

  • 韓ドルオタクとボカロP

    文化社会学を勉強中のボカロP・片瀬とDKB推しのオタク・夕によるKPOPビジネスやファン文化についてオタク目線で語った対談集です

  • DTMerの備忘録

    ボカロPとして活動する中で調べたり気づいたりしたことをまとめています。同業者には役に立つかも……?

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    作った作品をまとめてあります。

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雨の北鎌倉で聴きたい音楽 アンビエントを聴けば、境内はインスタレーションアートに変わる

 毎年6月末、夏越の祓の時期に合わせて鎌倉に行くようにしている。雨と紫陽花の季節は、鎌倉の景色が最も輝く時だと思う。そんな鎌倉の魅力を音楽の紹介とともに書くことで、一味違ったエッセイであり新しい音楽との出会いも得られるような記事にしていきたい。曲の紹介は適宜行っていくが、先にSpotifyプレイリストのリンクを貼っておくので流しながら聴くと雰囲気を味わえるかもしれない。  鶴岡八幡宮の参拝を終えた時、時計は2時を指していた。昼過ぎまで吹き付けていた風と大雨のせいで、まだ食事

    • 「感傷マゾ」は「異常」ではない —リスク社会における自己とそのゆくえ

      私たちは日々、様々な選択をしている。今日は何を着ていくか、昼は何を食べるかといった日常のことから、どの大学に行き、どのような仕事に就くのかという人生における大きな意思決定に至るまで、絶えず何かを選んでいる。しばしばその選択は悩ましく、私たちは「あの時こうしていたら今の自分はどうなっていたのか」「これからどう生きていくべきか」といった思いを抱くのである。 人々にとって「選択」がこれほどまでに重要になったのは、実はごく最近のことである。「あの時ああしていたら」という悩みは以前と

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        2024/8/5葛西臨海公園 西大島

        • なぜ若者の間でノスタルジーが流行るのか? 「制服ディズニー」や「青春ヘラ」の正体を探る

          レトロという言葉はいつのまにか昭和のみならず平成にまでつくようになった。Y2Kファッションや「写ルンです」「オールドコンデジ」ブーム、シティポップや90年代JPOPリバイバルなど、様々な文化が再発見され流行している。 「青春」もまた、近年のキーワードである。新海誠「君の名は。」をはじめとするアニメ作品からもはや夏の定番となったポカリスエットのCMまで、メディアにおいて「青春」は重要なテーマである。若者自身もまた、「制服ディズニー」といった形で体験を通じてノスタルジーに浸り、

        • 固定された記事

        雨の北鎌倉で聴きたい音楽 アンビエントを聴けば、境内はインスタレーションアートに変わる

        • 「感傷マゾ」は「異常」ではない —リスク社会における自己とそのゆくえ

        • 2024/8/5葛西臨海公園 西大島

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        • なぜ若者の間でノスタルジーが流行るのか? 「制服ディズニー」や「青春ヘラ」の正体を探る

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          夏が来たので感傷マゾの話をしよう

          夏がやって来た。情緒の欠片もない殺伐とした日差しを浴びてなお、人はなぜこの季節に素朴な憧れを抱いてしまうのだろうか。その要因であり結果でもあるものの一つが、ポカリスエットのCMである。今年はNewJeans的な、Y2Kと平成の融合したスタイルを取り入れたシリーズ「潜在能力は君の中。」が展開されている。 コロナ禍を経てインターネットはますます現実を侵食し、学校も仕事も飲み会さえもメディア体験になった。夏のイメージはサブカルチャーと広告代理店が作り出すビジュアルを元に、もはや恒

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          音大の近くにあるBOOK OFFにはいいレコードが集まってる説

          ブックオフの棚はその地域の文化水準を反映する。店に通って面白そうな本を探したり目当ての本を求めて何店舗か渡り歩いたりした経験のある人なら誰もがなんとなくそう思っていることだろう。棚に古い文学全集が並んでいたら、文学部生が引っ越したかどこかの家の遺品整理で家族が売りに来たのかな……などと想像しているうちに、周りに住んでいる人の顔が見えてくるような気がする。 じゃあ逆に文化水準が高そうな地域のブックオフに行けばいいものがあるのでは? 最近のブックオフはレコードの取り扱いを増や

          音大の近くにあるBOOK OFFにはいいレコードが集まってる説

          ヨルシカの歌詞データ分析 KH Coderを用いたテキストマイニング入門

          大量の言語データから何か特徴を見つけたいという時に有効な手法としてテキストマイニングがある。最近はpythonでコードを書くやり方のほうが流行っているが、プログラミングができない人でも簡単に本格的な分析ができるKH Coderというソフトウェアがある。今回はこれを用いてヨルシカの歌詞を分析しアルバムごとの特徴を見出していきたい。また、自分で歌詞分析を行ってみたいと考えている読者のために分析の上で注意すべき設定やテキストマイニングによる分析の課題についても言及していく。 今回

          ヨルシカの歌詞データ分析 KH Coderを用いたテキストマイニング入門

          韓ドルオタクとボカロP Season2を鋭意制作中です! 投稿時期は未定ですが、充実した記事をお届けできるよう頑張ります!

          韓ドルオタクとボカロP Season2を鋭意制作中です! 投稿時期は未定ですが、充実した記事をお届けできるよう頑張ります!

          プレゼント交換にイベント開催。KPOPファン同士の活発な交流と二次創作

          前回はファン文化の中でも楽曲リリース時やライブでの楽しみ方に注目してみてきましたが、今回はKPOPファン同士の交流に焦点を当てていきます。 対談としては後編になっていますが、前編を読んでいなくてもお楽しみいただけます。 対談参加者 片瀬:文化社会学を勉強中のボカロP。音楽は好きだが、アイドルとは無縁の生活を送ってきた。 夕:片瀬がKPOPについてわからないことがある度に質問攻めにされているオタク。最愛のグループはDKB。 出会った人とちょっとしたプレゼントを贈り合う

          プレゼント交換にイベント開催。KPOPファン同士の活発な交流と二次創作

          KPOPファンはどうやって応援しているのか?「推し活」の中身を知る

          近年「推し活」という言葉がメジャーになり、ファン文化に注目が集まることも増えてきました。今回はKPOPのファンはどうやって楽曲やライブを楽しみ、推しを応援しているのかに焦点を当てて、具体例を上げながら話していきます。 対談参加者 片瀬:文化社会学を勉強中のボカロP。音楽は好きだが、アイドルとは無縁の生活を送ってきた。 夕:片瀬がKPOPについてわからないことがある度に質問攻めにされているオタク。最愛のグループはDKB。 推しをチャートにランクインさせるための努力夕「カ

          KPOPファンはどうやって応援しているのか?「推し活」の中身を知る

          楽曲リリースの単位から見えてくるKPOPアイドルの事情

          韓国は官民ともにデジタル化に力を入れていたため、2000年代前半にはすでにサブスクリプション型の音楽ストリーミングサービスが存在していました。インターネット時代の音楽ビジネスに早くから適応したKPOPはどのような形で楽曲をリリースをしているのでしょうか。 ストリーミング型の音楽視聴において、楽曲はアルバムではなく曲単位で聴かれるものだといわれることがあります。そのような時代において、フィジカルをベースにした楽曲のまとまりに意味はあるのでしょうか。今回はリリース形態に注目して

          楽曲リリースの単位から見えてくるKPOPアイドルの事情

          KPOPの楽曲リリースは一大イベント!ティザーやMVを活用した巧みな広報戦略

          KPOPアイドルの中では、楽曲のリリース時にティザーやMVの公開、音楽番組への出演などを高頻度で行い、それ以外の期間はあまり表に出ず制作やパフォーマンスの練習にあてるという活動スタイルが一般的です。この楽曲リリースに合わせた一連の流れはカムバック(カムバ)と呼ばれています。 今回は、カムバ期間にリリースされる様々なコンテンツのうち、特にSNSに投稿されるティザーやMVに注目し、その特徴を深堀りしていきます。 対談参加者 片瀬:文化社会学を勉強中のボカロP。音楽は好きだが

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          RIIZE「Impossible」のMVを読み解いて、謎のAI生成映像を解読する

          ここ1年ほどの間にデビューしたKPOPボーイズグループの中でも高い注目を浴びているRIIZE。彼らのボーカルやダンスのクオリティの高さは誰もが認めるところだろう。 そんな彼らは優秀なパフォーマーである一方で、プロデューサー気質はそれほどないように見える。アイドルなんだからそれはそうだろうと思うかもしれないが、KPOPアイドルは自分で曲を書いたりプロデュースに積極的に関わったりすることも少なくないのである意味これも一つの特徴だ。 そして、RIIZEは洗練されたコンセプトのも

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          KPOPのビジネス&文化を知る対談企画をはじめます!

          なぜ洋楽が聴かれない中であれほど日本人の熱心なファンがつくのか、どうしたら音楽ビジネスはデジタル社会に適応することができるのか、「推し活」は人間の生活を豊かにするのか……。近年人気のKPOPは、コンテンツビジネスの面からも、「推し活」という文化事象の面からも高い注目を浴びる存在です。 しかしながら、特に推しがいない人がKPOPのファン文化に触れることは簡単ではありません。ファンの間で流通している言葉や慣習は韓国から輸入されたものが多く、自分の普段の生活を振り返って理解できる

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          KPOPアイドルにとって成功とは何か?オタクの視点から韓国の音楽産業を捉える。#韓ドルオタクとボカロP

          アジア発の音楽でありながら、日本や中国といった周辺国にとどまらず欧米にも多くのファンを獲得しているKPOP。不安定な文化産業において、コンスタントに起こっているようにみえるアイドルの商業的成功はどのような仕組みに支えられているのでしょうか。今回は、、オタク目線からKPOPアイドルの戦略や韓国の音楽産業をみていきます。 対談参加者 片瀬:文化社会学を勉強中のボカロP。音楽は好きだが、アイドルとは無縁の生活を送ってきた。 夕:片瀬がKPOPについてわからないことがある度に質

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          ラリー・カールトンのワールドツアー休止前ラスト来日に行ってきました

          フュージョン界のレジェンドギタリストの一人であるラリー・カールトン。70代半ばを過ぎても精力的に活動を続け未だ健康な姿を見せていますが、だからこそ肉体的疲労の大きいワールドツアーは今回をもって休止することを決めたそうです(*1)。 今回のツアータイトルは「Salute Japan Tour~The Crusaders - Steely Dan - Fourplay~」。名前の通り、ラリーのこれまでのキャリアのうちサポートや正式メンバーとして参加したグループであるクルセイダー

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