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北イタリア、ピエモンテ州の郷土料理: 美食の宝庫を探る

美食で名を馳せるイタリア北西部のピエモンテ州(Piemonte)、州都はトリノ。

山々に囲まれた風光明媚な地形と気候が独特の食材とレシピを生み出しています。

今回は、秋に控えます、料理家の私と巡る「ピエモンテ州ガストロノミーツアー」に向け、ピエモンテ州の郷土料理を深掘りし、その背景や歴史、特有の調味料や材料について探ってみます。

ピエモンテ州の食文化と料理の歴史

ピエモンテ州は、その地理的条件により、料理のバリエーションが豊かで、特に肉料理やトリュフ、ワインが有名です。

フランスとの国境に近く、サヴォイア家の支配下にあったため、フランス料理の王宮文化の影響を強く受けており、イタリアの他の地域とは一線を画した独自の食文化を形成しています。

さらに、ボトムアップでは、過去数世代にわたる農業と狩猟の伝統から発展しました。寒冷な気候に適した保存食や、長時間煮込む料理が多く見られます。豊かな土壌とクリアな空気から得られる新鮮で高品質なピエモンテの食材がベースとなり、素晴らしい料理文化が発達しています。

ピエモンテ州の代表的な郷土料理

1. アニョロッティ・デル・プリン(Agnolotti del Plin)

トリノのマンマが作ってくれたアニョロッティ

ピエモンテ州の郷土パスタ。主に肉のフィリングが詰まった、小さなラビオリ状のパスタです。パスタの端をピンチして形を作ることから「プリン(pinch)」という名前が付けられました。

背景と材料:

  • 歴史: ピエモンテ州の伝統的な家庭料理で、地元の肉、野菜を利用して作られます。

  • 特有の調味料: 肉のフィリングには、仔牛肉や豚肉が使われ、奥深い風味が特徴です。通常、バターやセージで仕上げされます。

2. タヤリン (Tajarin)

ピエモンテ発祥、スローフードのレストランにて食べたタヤリン。

タヤリンは、ピエモンテ州の手打ちパスタで、その細い麺と繊細な風味が特徴です。特にタヤリンは、シンプルなソースと一緒に食べることが多いです。

  • 歴史と背景: ピエモンテ州の農村で長い間愛されてきた料理で、伝統的には大豆を使ったパスタとして作られました。特に秋の収穫祭などでよく食べられます。

  • 特徴的な材料: タヤリンは、多くの卵と小麦粉から作られるため、パスタの風味が豊かで、ソースとの相性が抜群です。特にバターとパルミジャーノ・レッジャーノで仕上げるのが伝統的です。

3. バーニャ・カウダ(Bagna Cauda)

ピエモンテ州の伝統的な前菜で、特に冬の季節に人気があります。「バーニャ」は「ソース」を意味し、「カウダ」は「熱い」を意味します。季節の野菜やパンに添えて食べます。

背景と材料:

  • 歴史: 農民や労働者が寒い冬を乗り切るための料理として発展しました。地域の素材を活用したシンプルながら滋養に富んだ料理です。

  • 特有の調味料: アンチョビとガーリックがこのソースの中心であり、濃厚な味わいが特徴です。

4. ブラザート (Brasato)

トリノのトラットリアにて。

長時間煮込んだ牛肉の料理で、ピエモンテ州の冬の食卓には欠かせない一品です。しっかりとした赤ワインのソースで煮込まれるこの料理は、柔らかくジューシーな肉が特徴です。

  • 歴史と背景: ピエモンテ州の豊かなワイン文化と密接に関連しており、赤ワインとともに牛肉を長時間煮込むことで、深い味わいを引き出します。

  • 特徴的な材料: ブラザートには、ピエモンテ州産の赤ワインが使われ、肉とワインがじっくりと煮込まれた濃厚なソースが主役です。ローズマリーやタイムなどのハーブを加え、豊かな風味を楽しみます。

5. カルネ・クルーダ

アルバの地元のレストランにて。

・歴史と背景
ピエモンテ州の生肉料理で、特にトリノで人気があります。ピエモンテ州では特に新鮮な素材とシンプルな調理法が特徴です。
・特徴と調理法
細かく刻んだ生の牛肉に、オリーブオイル、レモン汁、塩、胡椒を加えて作ります。シンプルでありながら、肉の質の良さがダイレクトに楽しめる料理です。時には、トリュフやパルミジャーノ・レッジャーノなどのトッピングが加えられることもあります。

同じ店で食べた「牛タンのサラミ+サルサ・ヴェルデ&地元のトーマ・チーズ」

6. (デザート)トルタ・ディ・ノッチョーラ(Torta di Nocciole)

ピエモンテ州の名産品であるヘーゼルナッツを使ったケーキです。ほわっと柔らかく、最高にヘーゼルナッツを味わえるドルチェです。

  • 歴史と背景: ヘーゼルナッツはこの地域の特産品であり、数世代にわたり栽培されてきました。ケーキは、家族や友人と過ごす特別な日に作られることが多いです。

  • 特有の材料: ヘーゼルナッツの香ばしさと甘みがケーキの主役です。通常、ナッツの粉を使い、濃厚なテクスチャーを持つケーキになります。

7. (デザート)パンナコッタ

今や日本でも人気のパンナコッタ、本場のをぜひ食べて頂きたい!

  • 歴史と背景: パンナコッタは、イタリア語で「煮たクリーム」を意味する名前の通り、クリームをベースにしたデザートです。その起源は、ピエモンテ州の農村地域にあると言われています。初めて文献に登場するのは20世紀初頭ですが、より古い伝統的なレシピが存在していたとも考えられています。

  • 特有の材料: その名の通りクリームが主成分で、なめらかでクリーミーな食感が特徴です。基本的にはクリーム、牛乳、砂糖を主な材料とし、ゼラチンを使って固めます。フレーバーは、バニラが最も一般的ですが、他にもフルーツソースやリキュールでアレンジすることができます。

終わりに

ピエモンテ州の料理は、その豊かな歴史と独自の食材によって、イタリアの食文化の中でも重要な地位を占めています。これらの郷土料理は、ピエモンテ州の自然と伝統を反映しており、食べることでこの地域の魅力を体験することができます。

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