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短歌

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自選短歌「はないちもんめ」

自選短歌「はないちもんめ」

みんな寝ている教室の窓辺から
見る夏雲とプールの匂い

ベランダに閉じ込められて笑ってる
十四の俺のあだ名〈スマイル〉

長過ぎた変声期まだ覚えてる
声にならない吾の悲鳴を

遊戯王カードだったら強いのに
俺のターンが来ないババ抜き

担任が仲良くしろと皆に言う
吾だけいないホームルームで

軟骨のピアスもパーマ金髪も
中二の俺を守るシールド

夏休み明けに刈られて丸坊主
ピアスの痕がやけにまぶし

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自選短歌・其の四 「月と蛇」

自選短歌・其の四 「月と蛇」

秋雨にけぶる十月胸中に君の面影探す新宿

背に咲いた百合のタトゥーに口付けを
今はどいつに愛でられている

憧れたヒーローよりも得意気に
仮面を被り生きてる日々だ

傷付かず傷付けぬようバランスを
取ろうとしててすべて失う

ワンカップ小銭で酔えるおいちゃんの
人生訓で胃もたれもする

うまいこと言ってやろうと意気込んで
考えている顔の悍(おぞ)まさ

「しんどいわ」つぶやきかけてすぐ消して
吾の

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自選短歌・其の三 「黄昏をとめたい」

自選短歌・其の三 「黄昏をとめたい」

月曜の朝からぜんぶやめちまえ
それができたら誰も死なない

朝晩と中島みゆきで励まされ
ユーミン聴いて泣いてる馬鹿だ

「難しい問題ですね」そうですね
予定調和が居心地いいね

チラシだけやたら過剰な映画見て
B級の意味噛み締めている

「ショーシャンクの空に」を見てから思うこと
ビールの美味さはロケーションだと

西洋人のフリした東洋人たちが
大口開けてチップをねだる

「正解」があちらこちらに

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自選短歌「アイラブユーを」

自選短歌「アイラブユーを」

東京は雨雲かかる中秋の月を濁して夜は深まる

ホッピーとハッピーが似てると笑う
君と飲んでる吾はハッピー

君のこと知ってるようで知らなくて
泣いてる君には月見だいふく

お互いの名前を足してキープした
ボトルのようにすぐにからっぽ

直感が冴える悲しみ夜の淵
届け届くな我がテレパシー

明日には変われるような気がしても
眠ずに迎えた同じような朝

似合うよと貴方が褒めたイヤリング
枕の下にひとつ

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自選短歌「あまりにも夏」

自選短歌「あまりにも夏」

空の青 海の蒼さに南風(ぱいかじ)は
僕の青さを撫でて吹きゆく

プリズムに抱かれて散る夏の午後
クリームソーダの泡(あぶく)のように

二人して飲んだオリオンビールから
君に見せたいブルーが香る

指笛に呼ばれるように手をかざし
潮風(うすかじ)撫でるエイサーの夜

中華街、キンパイビールに歓喜した
恋は夏色まるで台湾

出会う前からの約束 
ジャームッシュ映画で恋の付箋回収

煙に巻く 浮気心

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