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短歌

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#note短歌

短歌連作「夏、待望論」

短歌連作「夏、待望論」

夏、それは俺が生まれて祖母が死に
愛が生まれて消えた季節だ

ヘインズの白ティ買った
ボックスの 赤supreme すぐに剥がした

また春が過ぎてすぐまた夏がくる
去年のほてりも冷めてないのに

ペイデイにハメを外した米兵と
腕相撲して折れた中指

ベトナムに行ってしまった米兵が
サインしたまま褪せたドル札

アメスピの火はもう消えた
アメリカの火はまだ灯るフェンス越し夏

島唄をくちずさむとき

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短歌連首「sign」

短歌連首「sign」

試しに手 振ってみたんだ
悲しみにこんにちはって、こっち来るなよ

くちびるに閉じ込めていた嘘があり
振り返るとき歌に変わった

ささくれを抜いてみたけど
思い出は痛いまんまで滲んだだけだ

君が夢に出てきてくれど愚かにも
僕は見破るタトゥーの位置で

その水が濁っていても飲めたのは
君という名の沼だったから

君の良さに気付かぬ俺も阿保だろし、
俺に惚れない君は馬鹿だよ

心でも身体でもなく君の

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二〇二四年新春短歌 四首

二〇二四年新春短歌 四首

新年、あけましておめでとうございます。

被災、事故、事件。この国で、私たちの近くでも様々なことが起きています。どうか、皆様が穏やかに眠れる日が一日も早く訪れますように。

年明けからの連日の現象を目の当たりにして、
自分にできることなど、たかが知れているし、物品や金銭での支援など限界はあるので。短歌を詠みます。いまの私にできることはこれくらいです。

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【二〇二四新春 短歌 四首】

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自選短歌「はないちもんめ」

自選短歌「はないちもんめ」

みんな寝ている教室の窓辺から
見る夏雲とプールの匂い

ベランダに閉じ込められて笑ってる
十四の俺のあだ名〈スマイル〉

長過ぎた変声期まだ覚えてる
声にならない吾の悲鳴を

遊戯王カードだったら強いのに
俺のターンが来ないババ抜き

担任が仲良くしろと皆に言う
吾だけいないホームルームで

軟骨のピアスもパーマ金髪も
中二の俺を守るシールド

夏休み明けに刈られて丸坊主
ピアスの痕がやけにまぶし

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