華麗なる一族の光と影
前回の記事では皆様からの温かいコメントを多数いただき、感謝申し上げます。
こんな時こそ、何かしていないと気持ちが落ち着かず、つくづく「note」という気持ちのはけ口があって、本当に良かったと心から思え、悲しみは胸に仕舞って私らしく前向きに進みたいと思います。
◇◇◇
衝撃のラストに驚きました!
初回は雅な世界を描いて終わるんだろうなと油断していたら、いきなり紫式部・まひろの母、ちやは(国仲涼子)が藤原道兼(玉置玲央)に串刺しにされて殺害されるというショッキングな展開に目が点になって固まってしまいした。
国仲涼子さんは早くも退場です💦
残された史書には、離縁された?または病没した?、どういう経緯で消えたのかはっきりしないため、このあたりは十分想像を膨らませることができる範疇なのです。
道兼かどうかはわかりませんが、誰かに殺害された可能性もゼロではありません。
それにしても、父・為時(岸谷五郎)の言葉は、幼いまひろにとっては納得できないものだったでしょう。
よりによって道兼は、やっと叶った仕官先である藤原兼家(段田安則)の息子なのですから。
とても訴える立場でも状況でもありません。
為時のように学はあっても要領の悪い下級貴族は泣きを見るしかなかったようですね。
平安貴族は華やかですが、治世は無秩序でしたから💦
納得でけへんけどな。
いろいろイメージの違う部分はあるのですが、きっと新説に基づいたものであると思われます。
華麗なる一族の息子たち
平安絵巻の世界ではありますが、まるで山崎豊子氏の「華麗なる一族」を彷彿とさせる陰謀渦巻くバッチバチの権力争いがバックに見えていましたね。
兼家役の段田さんはこういう一癖ある狡賢さを演じるのは上手いです。
そして今回描かれたこの藤原兼家の子供たちの関係性もよく憶えておきましょう。
後ほどの展開に大きく影響してきます。
パーフェクトな嫡男・道隆
眉目秀麗、教養もあり、人徳もある道隆(井浦新)。
おまけに父の兼家から嫡男として優遇され、大きな期待を寄せられていました。
すでに藤原氏の中でも筆頭の出世を収めていた兼家の嫡男として申し分のない人格でした。
嫉妬の塊の次男・道兼
対して道兼(玉置玲央)は醜男の上、思い込みが激しく意地っ張りだったようで、それもただただ、出来過ぎた兄を持ったための妬み・嫉みが性格を歪ませたのでしょう
父の兼家が、この道兼のことを「泥をかぶってもらう」との発言は陰謀のネタ振りであり、暗躍させるのが予想されます。
我が子であってもその性格をも利用しようという抜け目なさがハッキリ見て取れました。
マイぺースな三男・道長
一番意外に思ったのは道長(木村皐誠→柄本佑)です。
私の中の彼のイメージは完全に悪者でした。
兄たちのあっけない死により、まさかの出番が回ってきたのは、日本史にとっても大きなターニングポイントでしょう。
兄たちの権力は幻に終わり、道長に光が当たります。
藤原氏の栄華を最高の地位まで極め、娘を3人も入内させて権力を欲しいままにしたというキレッキレの人物だと信じて疑わなかったのですが、今回の道長はまったく違って、今のところめちゃくちゃ良い子ではありませんか。
昨年の「どうする…」の瀬名ぐらい違う。
例えば、道長の超有名な「望月の歌」に新解釈があります。
この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の
欠けたる ことも なしと思へば
元々の意味は、娘を次々と天皇の后とし、外祖父にまでなった道長の傲慢とも見える得意の絶頂を歌ったものだと、今までは解釈されてきました。
しかし、京都先端科学大学の山本淳子教授の新解釈によると、こうなります。
理由としては、
・当日は十六夜
この歌は10月15日の満月の日の翌日の16日に詠まれたもので、実は望月(満月)ではなく、少し月が欠けた十六夜だった。
・複数の掛詞
この世=この夜
月=盃
月=后 ⇒ 3人の娘が前代未聞の皇后・皇太后・太皇太后の三后を占めたので満月と表現した
三郎と名乗る道長は今のところ漢字もろくに書けないのに、酔った勢いの即興でこれだけの歌を詠めるのかと疑問に思いますが、これにはきっと紫式部(落井実結子→吉高由里子)の大きな影響があるはずです。
私が気になる今後の見どころ
1,藤原道長のキャラ変化
実は紫式部の事はよく知らないので、むしろ道長の方が史実として知るところが多いためか、今の温厚で純朴なキャラクターがどのように腹黒くなって画策してゆくのが楽しみです。
それとも今の素養のまま人気キャラとなって地固めをしてゆくのか?
少なくともメルヘン化だけは勘弁してほしい💦
2,紫式部(まひろ)と道長(三郎)との関係
「源氏物語」は紫式部自身の知名度を上げ、道長もそれを利用して一条天皇の気を引くことで政治に利用したと思っています。
道長は紫式部のパトロンとして、二人の関係は続いていくのですが、果たして権力に固執して黒くなってゆく道長に、紫式部はどう対応してゆくのでしょう?
同じように腹黒く変化してゆくのか?
この点もまさかのメルヘン化か?
3,宮中での女房バトル
「源氏物語」という大作を残した紫式部ですが、
ほぼ同時期に「枕草子」を残した清少納言(ファーストサマーウイカ)がいました。
二人とも皇后の女房(世話係)として宮中へ務め、何かと比較対象になります。
紫式部は道長の娘、藤原彰子(三上愛)。
清少納言は長男・道隆の娘、藤原定子(高畑充希)。
どちらも今回で入内した姉の詮子(吉田羊)が生んだ66代・一条天皇に入内します。
そしてどちらにも学識の高い女房達が集まり、宮中に「彰子サロン」と「定子サロン」が出来上がるのです。
この構図だけでも女性特有のネチネチしたバトルが想像できますね。
紫式部本人が残した「紫式部日記」によると、
清少納言の事をかなり辛辣にけなしています。
実際には道隆の娘・定子のほうが9年も早く入内しているので、顔を合わす機会はなかったようなのですが、うわさを真に受けた陰口みたいなものなのでしょう。
他、歌人の和泉式部(未定)や赤染衛門(凰稀かなめ)も登場するはずなので、清少納言だけでなく学識を鼻にかけた女性バトルは大きな見どころでしょう。
藤原氏の全盛時代も描くだけに、紫式部よりむしろ宮中の政権争いとそれに連動した女性たちのバトルが非常に面白いと思います。
頂点を極めた藤原氏の立場では、天皇にまではなれないため、娘を皇后として嫁がせて皇子を産ませることが権力保持には必然でした。
状況によって、女を産めとか、男を産めとか、
勝手すぎるわっ!
いやしかし、こうも藤原だらけで苗字が一緒だと名前を覚えるのが大変ですが、しっかりついてゆきましょう💦
この記事が参加している募集
サポートいただけましたら、歴史探訪並びに本の執筆のための取材費に役立てたいと思います。 どうぞご協力よろしくお願いします。