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読書人間📚『愛と死』武者小路実篤/インフルエンザ・パンデミック💉


『愛と死』武者小路実篤(1885年.明治18年〜1976年.昭和51年.90歳没)
▶︎昭和27年 発行/新潮社


夏子さん、おまえ、夏子、と呼び名が変わり、二人の距離が近づくほど、物語の終わりが見えているだけに、瑞々しい愛の喜びも苦しくてなりません。

愛しい人を襲ったのは、1918~1919年、世界的に流行したスペインかぜ(インフルエンザ・パンデミック)。なぜ若く、快活で愛らしい彼女が生命を落としてしまわなければならなかったのか。それから男は、21年の時を生き、思い続けます。

「__死んだものは生きている者にも大なる力を持ち得るものだが、生きているものは死んだ者に対してあまりに無力なのを残念に思う。__ 」

生きた者が死んだ者に出来ることは、記憶しておくことではないでしょうか。実篤がこの時、何を思いこの作品を書いたか、書き記録することで誰かを供養しているのでしょうか。

『友情』と並んで傑作に上げられる『愛と死』。
武者小路実篤の人生論か、願いどおりにいかない人の道を綴る作品。現実は物語のように美しいままにはいかない。死することの意味や理由など生きるものには残酷。人生は無常であり、憐れ。
このコロナ禍で本棚の奥から引っ張り出した『愛と死』は、重たくこころに沈みます。
『友情』もとても好きな作品です。気になる方はぜひ。


1957年『世界を賭ける恋』のタイトルで映画化(日活)
1959年、ドラマ化
カバー・題字  武者小路実篤


🌝声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都 
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。

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