歩いてゆく

春、
白み始める東の空は
風がほのかに青く薫り
目の覚めてゆくわたしのように

夏、
太陽に眩む南の空は
蝉と共にジリジリと鳴き
しゃかりきになるわたしのように

秋、
暮れきれない西の空は
微かな光を優しく残し
諦めきれないわたしのように

冬、
静まりかえった北の空は
北極星が瞬いて
道は違ってないよとわたしに告げる

季節が巡る
新しい風が吹く
あるがままの空を眺めながら
少しずつ大きくなってゆく足跡を残して
わたしは歩く
ありのままに　
わたしらしく


＊＊＊

日々 季節が動いているのを感じるこの頃

来年度の人事配置がメールで届きました
何人か名前が見当たらなくて
それはその方たちが退職するということを示していました
小さな衝撃と喪失感
しばらく画面をぼんやり眺めてました

そしてそれと同じ人数の、これから一緒に働くことになる方たちの初めましてのお名前がそこにありました

別れと出会いの季節がやってきますね

わたしは2年前の年度末に転職をして 今の職場に移ってきました
その頃の自分の気持ちを思い出します
たくさん迷って悩んで決断しました
去ってゆく方たちも、入ってくる方たちも、
その時のわたしもそうだったように 不安と期待の入り交じった気持ちでいるのだろうと思います

当たり前になったマスクでの勤務
出勤から退勤まで 食事以外はマスクははずしません
その食事も、時間と部屋をばらして 個食・黙食が徹底されています
リモートではできない仕事だし、プライベートで会うこともしていないので、今の職場の仲間とは マスクを外しての会話がまだ一度もないのです

来月半ばから世間でのマスクの着用についても個人の判断に緩和されますね
まだ通達はないけれど 職場ではどうなるのだろう

「外してもいいってなったらどうします？」
「いざ外すとなったら なんかちょっと照れますね」

今年度も残り1ヶ月
目元だけではない まるごとの笑顔が少しでも交わせたらいいな
まるごとの笑顔で 少しでも何か思い出に残ればいいなと思います

いろんな気持ちが春風に入り混じる複雑な季節
明るい春になりますように
どうぞよい一日を、よい一週間を




＃99.   『　春風　』

⭐︎春風に夕方5時を告ぐチャイム 空はほんのりまだ明るくて

⭐︎画面越しの人事発表を横切る九州に春一番というニュース

　　　　　　ー　ちる　ー