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小鳥のようにうたいながら 2024 (長月September〜師走December)

流れ星をさがす
ふたご座流星群は、晴れていて雲がなければ 東京でも必ずいくつか見つけることができる

夜空に仄赤く光る星を見つけると、あの赤い風船を思い出す
物語みたいにして描いたひとつの赤い風船
するりとほどけて空へと飛んでいったあの風船
わたしは風船だった
風船は わたしだった
どこかそんな気持ちだった

読んでくださった方はどんなふうに感じただろう
その風船は、決して逃げようとしているわけではなかった
新しいところへ、自分のほんとうに行きたい場所へ向かおうとしていた
あの風船は勇気を出して、憧れの空へ飛んでいったのだった


わたしは、子供の頃から空や星に憧れている
星屑が 空一面に広がるような景色をどうしても一度見てみたくて、今年は星がきれいに見えるという場所にいくつか目掛けて出かけてみた
けれども、実はまだ 見ることはできていない
なかなか難しいことなんだな

これまでの人生だって、そんな簡単なもんじゃなかった
思ったとおりにはうまくいかない
けれど、だから、おもしろいのかもって やっと思えるようになった
そんなことも楽しめるようになった

来年は、来年こそは、見ることができるだろうか
あの風船は、星空に辿り着くことができるだろうか
もし 胸がいっぱいになってむせるほどの星空を見ることができたら
その時わたしは どんな気持ちになるのだろう


***


2024    〜夏から秋、そして冬〜


長月 September


⭐︎潤むでパンや栞を売る子らの夏休みなどどこにあるのか

⭐︎「花束を君に贈ろう」と唄われ「シュクラン」と受け取る ルクソールにて

⭐︎テーブルの短辺 お誕生席の君へスペシャルな椅子を与ふ

⭐︎宴遊のテーブルクロスを外すとき魔法の解けるような気がして

⭐︎人生の折り返しやねと言われても来た道は戻りたくないねん

⭐︎本文は斜め読みしてあとがきで恋に落ちゆくそんな人生

⭐︎秋風にブランコも滑り台も冷え ベンチでひとり冷めたおにぎり

⭐︎亡き母へ正四面体のおにぎり「おもろい子やね」と言ってほしくて

⭐︎原っぱの夕焼け 晴れのち曇りより曇りのち晴れのバイバイをする

⭐︎虫の音のちゃんとおなかも空いてきてちゃんと眠れるまじないのごと

★A面はとっくに終わっているのにそのまま回り続けるを見る


神無月 October


⭐︎カタツムリのどこがいけないっていうの そうよわたしはカタツムリガール

⭐︎小さいし飛べないし走れないけれど笑わせることはできるんだから

⭐︎透明な己のわだちは架空でも嘘でもなくて道になってる

⭐︎幸せを願う 頑丈になってくきみとぼくの背中のシェルター

★あの人のあの本を探したいのにあのしか出てこない イヤになる

★ケーキのないアニバーサリーを祝うのは淡くて甘いマーブルの空

★上弦の月はぼんやりと白くて 物語には続きがあって

★そのうちに戻ってくるかもしれないし あの本のことは一度忘れよ

★もうこれでおしまいだってきっぱりと言い切ってゆくアトラス彗星


霜月 November


⭐︎重力に必死に逆らおうとして君の涙が膨らんでゆく

⭐︎ちょっとだけアンバランスになっただけ 涙のぶんだけチョコを許す

⭐︎木枯らしにあの人の声が聞こえた  転がるクズを笑うはずない

⭐︎秋空よペガサスは一目散に何を目指してゆくのだろうか

⭐︎桜葉の道に誰かを見送った後ろ姿の美しい人

⭐︎泣いただけキレイになったんじゃないの 冬の始まりは春みたいで

⭐︎卒業のサンタのto doリストにはアップルパイもプレゼントもなく

⭐︎小春日に冬を知らせる午後5時の渋谷の青いクリスマスツリー

★間違えてサンタはベルを鳴らしたの あわてんぼうが残すあしあと


師走 December


★まあいいじゃん 重いコートはいらないしカーディガンすら脱ぐ十二月

★雑踏の渦 きっと君は来ないって渋谷に歌う山下達郎

★仕方ない仕方ないもん  目を瞑り耳を塞げば飛行機飛んだ

★弱いのか強いのかわからないまんま 小さなみかんがひたすら甘い

★泣いてても仕方ないのよ はらはらととめどなく散る葉を掃きためて

★好きなもんは好きなんやもん パックから大事にいちごを水に放ちて

★華やかな花束ブーケのなかにこっそりとサクラコマチを入れてください


ー ちる ー


***


一年間にnoteに掲載した短歌を3回に分けてまとめてきました

三十一文字みそひともじにただよう空気感、楽しんでいただけたでしょうか
景色が浮かぶような、心にふれるような歌はあったでしょうか
わたしもアルバムを見返すように出来事や気持ちを振り返ることができました

三行日記も三日坊主になるような私には、心が大きく動いた時に短歌で思いを残しておくというくらいがちょうどよくて
そして、たとえそれが 悲しみや淋しさであったとしても、三十一音のわずかであれば まるで道を辿るためにそっとつけた目印のように、不思議とほっとできるのです





今年は大きな災害や事故のニュースから始まって、とても不安になりました
世界にも、日本にも、世間にも、わたしにも…
思いもよらないことがやっぱりたくさん起きて、泣いたり笑ったり やっぱり忙しくて
平穏なんて永遠にやってこないような気持ちになりました

手放したはずのものがなぜか戻ってきたり、あの紫陽花やあのカタツムリとのまるで再会のような不思議な遭遇に、別れや出会いの必然や 巡り合わせを感じたりもしました


わたしって、わたしの存在って、わたしの役目って、わたしの人生って…
何なんだろう、どんな意味があるんだろう、どうなっていくんだろう…
そんなことを さまざまな場面で考えることになった一年でした

みなさんはいかがだったでしょうか
いろんなことを感じながら頑張ってきた一年
みなさんと一緒に “おつかれさまでした!” って 乾杯したいような気持ちです

今年の投稿は こちらで締めくくりといたします
お付き合いをいただいて、どうもありがとうございました
来年もまた、こちらでお会いできたら嬉しいです

どうかこれからも、大切な仲間、友達、家族、そして自分自身…
心の真ん中を大切に
よい一日を、一週間を、どうぞよいお年をお迎えください

⭐︎手をつなごう血はつながっていなくても
仲間っていう意味のファミリー


何もいらない
ほしいものは
もう特にない

そのかわり
辛さも 痛みも
悲しみも 苦しみも
もういらないからね

結んであった赤い風船がひとつ
するりとほどけて飛んでいく

少しずつ ゆるんでいたんだ
二度と時間は戻せない
もう戻ることはないよ
さあ行こう

子供みたいに泣きじゃくった
あの日のことを思い出してた

ただ 笑っていたいだけなの
最後は 笑ってたいと思うの
見上げた空は 秋を告げてる



ほしいものはないけどね
行きたいところがあるの

満天の星が見てみたいの
ほら 星屑っていうやつ
むせるくらいの星空に
一度でいいから紛れてみたい
こわくなってしまうかもしれないけれど

赤い風船はそういって
しずかに空へ飛んでいった
風がこっそりとあとを追った

2024.9.15
ちるnote  『人生はゲーム』 より





12月15日…  今年最後の満月です
月明かりもあるし ピークも過ぎたけれど、まだ流れ星も見えるかな
わたしは今日も空を見上げます

もし空に 赤い星を見つけたら、あの風船かもしれません
そしてそれを見つめているのは、ずっと未来のわたしたち なのかもしれませんよ
…なんてね
月に願いを、星に願いを、どうぞよい夜を

みなさんへ 今年の感謝と来年の願いを込めて、starのクリスマスカードを贈ります

Merry Christmas and a Happy New Year
I wish you happiness!
You are a star☆




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