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九官鳥

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#いま私にできること

九官鳥を書き終えて

この作品も10年以上前の作品でした。

10年以上前に、なんだか物騒な風な話を書きましたが、今読むと…な感じでしたね。

ここに投稿しようと、最近になって手直しました。

前の『無拍子』もそうだったのですが、とにかく物語が破綻していまして。

手直しをしないと酷いったらありゃしません。

携帯電話のメール機能で書き溜めた作品なので、前後のつながりがまるでなくて思いつくままでたらめに書くものだから傷

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九官鳥(12)

百五十一日目(待ち合わせの風景)

[リンドウ]はゆっくりとした口調で切り出す。
「[先生]すみません。私、実はこの部屋に来るのは今日で最後なのです」
あたしは驚くこともなく
「ああ、そうかい」と。
正直[リンドウ]との会話は楽しかったのだけれども、楽しい会話を白い服の人間達が望んでいなかったことくらい、あたしも十分に承知していたからね。
白い服の人間たちにとってあたしは、ただの[研究材料]として

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九官鳥(11)

百二十日目(夕暮れの風景)

「それは、自分たちで決めることではないの?」[リンドウ]に質問した答えをあたしは吟味した。
つぶやく。
あたしの言葉にしっくりこなかったのか[リンドウ]は困った顔をする。
「病院ってところで、治療をするっていうのはさ。自分の寿命を延ばすものではないのかい?」
「すみません。お言葉ですが、[先生]例えば[先生]には大事な方が居ませんか?その方がもしも病気や怪我で大変なこ

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九官鳥(10)

百十日目(懐疑的な風景)

「本当にそんなことができるのかね?」
「まあ、それでこの世の中は動いていますから」
あたし達の間の懐疑的な雰囲気は一切ぬぐえない。
「[リンドウ]は、そんなことに巻き込まれたりはしたことがある?」
「いいえ一度もありません。ただ、私は孤児院と言う場所で育ちましたから。その、何て言うのでしょう?この世の中をまっすぐ見ていないというか、そういった子が多くて。何人かはそんなこ

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九官鳥(9)

百七日目(音楽家のいる風景)

「体が軽くなるようね。今にも羽ばたいて大空を飛んで行ってしまうような。素敵な声ね」
思ったことを素直に伝えても、彼らは疑ってかかる。
それは感情のようなもので言っているのか?
本当にそう思っているのか?
いい加減なことを言っているだけではないか?
多分、彼らは自分たちの言葉がいつもそういうことをしているのだろう。
自分たちがいい加減なことを言っていたり、適当に話を合

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九官鳥(8)

九十六日目(1インチの差が見せる風景)

「あたしの世界にも縄張りと言われるものはきちんとあります。そういう意味ではどんなに知能や技術が発達したとはいえ、そういう意識はあたしたちとそうは変わらないのね。」『リンドウ』に[国境]と言うものの存在の説明を受けて、あたしは彼女にそう答えたのさ。

『リンドウ』は前にも少しふれたように[孤児]と言うものなのだそうだ。
だから本当の親を知らない。
だから自分

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九官鳥(7)

八十日目(体内時計の風景)

あたしがあんまり良く思っていない東側の窓から、朝日がスーッと音もなく忍びこんでくる。
少し時間がたつと壁に取り付けられたアラームがけたたましい音を立てて唸りだす。
[リンドウ]はアラームに素敵な笑顔を添えて、勢いよく飛び込んでくる。
「[先生]おはようございます!!」
「今日も元気だね」と、伝える。
ここ数日の朝は、こんな感じで始まっていく。
[リンドウ]は、朝の挨拶

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九官鳥(6)

七十日目(癖のある風景)

「いいかいよく聞いておくれよ。まずね、話の出だしに謝るのをやめにしてもらえないかしら?あまり良いことではないよ。そういう癖はね。ここにきてあなた達人間を色々観察させてもらったのだけれど、自信のないときにはきまって直ぐにあやまる。本当に謝らなくてはいけない時だってきっとあるだろう。そんなときどうするんだい?いつでもなんでもペコラペコラと頭を下げている者の謝罪って安っぽく感

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九官鳥(5)

六十四日目(輝ける風景)

「あなたには、あたしのことで迷惑をかけたようですね」あたしの話に少し紅い髪の人間は、首を横に振っているだけ。
「どうかしたの?」そう聞いてもその様のままだった。
「すみません。どうもしません。大丈夫です…」
「どうもしないということは無いでしょう。あなたの様子は、明らかにおかしいよ」
少し紅い髪の人間は
「あの。すみません。うれしいのです。あなたとお話ができることが。だ

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九官鳥(4)

六十三日目(鐘が鳴る風景)

「[お金]?それについて、あなた方は聞いているの?[お金]?[紙幣]?[通貨]?あたしたちには概念自体のないものね。あなた方の言う[お金]って言うのはどんな仕組みなの?」白い服の人間たちは私の大好きな窓の前でしかめっつらをもっと醜い顔へと変えていく。
彼らは扉の外へ出ていくとやいのやいの言っている。
しばらくすると再びあたしの前に現れ、そこでその続きを始める。
やいの

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九官鳥

九官鳥(きゅうかんちょう)



二十日目(南窓の風景)

人間という生きものはつくづく面白いものだ。
このところ連日あたしのところにやってきては、あたしのことを研究対象の生き物だからなどと、あーじゃないこーじゃないと、やいのやいのやっているのさ。

奴らは知らなくていい事って物が、この世の中にはたっぷりあってどんなに考え込んでも、とっくり解らないものがどっさりあるって言うのを知らないのさ。

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