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日曜大工をする彼女、プリンをつくる彼氏。【更新91日目】
ぼくの彼女には、ものづくりの才がある。
彼女がつくった猫の脱走防止柵のクオリティが高すぎて大草原不可避なんだけど。え、プロなの?? 職人なの?? pic.twitter.com/iQrpzfs5Ix
— 強化指定豆腐メンタル@東大卒、無職 (@otofu_be_strong) May 8, 2021
実は今日も、同様のものをもうひとつ彼女主導でつくった。
上のツイートの画像中、左側に階段があるのがわかるだろうか。
この階段の入口に、2階への行き来を制限する柵を設置したのだ。
あらかじめ設計図を作成し、その設計図から必要な材料をわりだし、自分の身長よりも長さのある木材を的確にかつ順序よく加工し、狂いなく組み立てていくーー。
普通にすごすぎないだろうか?
少なくともぼくにはできない。中学校のとき技術・家庭の成績が万年「2」(要は赤点一歩手前)だったぼくには、まったくもってやれる気がしない。
何がすごいのか、もう少し細かく分解してみると、
・ものの完成形を思い浮かべ、その完成形を現実のものとするために必要な手順を思い描く(それもきわめて正確に)力
・思い描いた手順を具体的に実行するために必要な道具立てやその使い方を(ときにちょっとした創意工夫をはたらかせて)考え出すアイデア力
・考案した手順を地道かつ正確に実行していける持久力
こんなところではないかと思う。身内ゆえの欲目もあるかもしれないけれど、どれをとってもすごい。
ぼくが一人で同じことをやろうとすれば、まず作りたい物の完成形を思い浮かべるところでつまずくはずだ。
何をどう作っていいのか、作りたい物がどういうパーツから成りどういう機構をともなっているのか、てんで思い描くことができないからだ。
そして、かりに作りたい物がはっきりしていて、制作の手順までわかっていたとしても、その手順を正確にたどることはおそらくできない。
どこかで面倒くさくなって手抜きをしたり、思いつきで余計なことをしたりして、作業に狂いを生じさせてしまうことだろう。
そういう、ぼくにとってはあまりにハードルの高い作業を、彼女は一人でバリバリこなしてしまうのだ。
もちろんあくまで素人のDIYだから、よくよく見れば洗練されきっていないところなどはいろいろ見つかるだろう。
しかしそうだったとしても、ぼくからすれば彼女の得意技は「めっちゃすごいもの」だし、そのレベルは世の中の素人の平均を大きく上回っているはずだ。
いや、世の中の標準と照らしてどうこう、なんてことはこの際考えなくてもいいのかもしれない。
とにかくぼくという「素人」がすごいと思い、ヘタすればちょっとした特技として世の中に持ち込んでも通用するのではないかと本気で思っているというだけで、そのすごさの証明としては十分であるようにも思う。
ちなみに、彼女はこういうDIY的なものづくり以外のところでもいろいろ才覚を発揮している。
アクセサリーや小物をハンドメイドでつくったり、動画を編集して作品をつくったり(最近TikTokのフォロワーが8000人を超えたらしい)、とにかく何かとものを作っている。
いつも何かを作っていることそれ自体がぼくからすればすごいのだが、ましてやそれをぼくのみならず見知らぬどこかの誰かにまで評価されているというのは、本当にすごいことだと思わざるを得ない。
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人の得意不得意というのは、面白いものだと思う。
ぼくは彼女のように、ものづくりに力を入れられない。
創意工夫すること、それを具体的な手順に落とし込むこと、手順を忠実に実行することが、どうしても苦手なところがある。
いや、もしかすると思い込みと経験不足が招いていることなのかもしれないけれど、かといって今からそのディスアドバンテージの回復に力を入れたいとは、少なくとも今のところ思えない。
しかし他方でぼくは彼女にできないことができる。
毎日文章を書いているし、料理もできる。
家での食事は毎食ぼくがつくっているし、なんならデザートだってつくってしまう(今日はプリンをつくった)。
ほかにもいろいろ、ぼくにはできて彼女にはできないことがいろいろあるだろう。むろん逆もしかりだ。
ぼくたちはそういうお互いに「自分にしかできないこと」を提供しあって、日々の生活を回している。
さながらリカードの比較優位説に立って、自由貿易を推進するかのように。
できないことや苦手なことをいまさら無理にできるようになろうとは二人ともしていない。
得意なことを育て、できることを増やし、勝ち得た新たな資産を生活につぎこんで、暮らしを少しずつ豊かにしている。そういう実感がある。
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市場を生き抜いていける人間になるには何をすべきかといった観点からは、「長所をのばせ」「持ち味を活かせ」といったことはよく言われる。
しかし、案外それを足元、つまり最も親密な人間関係において実行できている人というのは、少ないのではないだろうか。
逆にいえば、家族内や友人間でお互いの持ち味を活かしあうような関係を築くこと、そういう関係を自らに許していくことこそが、より広い人間関係においても自分の長所を胸張って提示できるようになるための第一歩であるのではないか。
お互いの長所をほめあい、短所を補いあうーー。
そういう関係を、まずは一番身近なところからつくっていけるとよいのではないかと思う。
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