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【広告展覧会・10の視点】 第五章 もっと文学を!!

コピーライターに与謝野晶子和泉式部を起用した。
新ブランド「シェラボン」のコンセプトは、パリジェンヌ meets 日本の美。なのにラフではパリが勝って、日本が負けていた。担当コピーライターに無数のコピーを書いてもらった。それでも絵の強さに対抗できない。彼女と二人で、日本文学の中にキャッチコピーを探すことにした。
有名作品、有名人をタダでキャスティング。さすがのパリジェンヌも、これには真っ青だった?!(下記のビジュアル参照)。この手法、1回で終わらせるには勿体無い。もっと著作権切れの引用を。もっと古典的有名人の起用を。もっとプロモーションに文学を!!



やは肌のあつき血汐ちしおにふれも見でさびしからずや道を説く君
与謝野晶子

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「シェラボン」ローション/クリーム


黒髪の乱れも知らずうちふせばまづかきやりし人ぞ恋しき
和泉式部

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「シェラボン」ヘアカラーフォーム


ゆく水のざれごときかすかみまひ御歯みはあざやかに花の夜あけぬ
与謝野晶子

画像3
「シェラボン」トゥースペースト


このほかにも、同シリーズ「美容保湿マスク」のキャッチコピーとして、次の句を採用した。

一杯の水をふくめば天地あめつちの自由を得たる心地こそすれ
岡本かの子



※90年代に担当していたパンフレットを発掘。夏の終わりの特集号の表紙に、私はこんなコピーを書いていました。

みんな太陽のせい…。

ノーベル文学賞を受賞したカミュの代表作「異邦人」には、
こんなセリフが出てきます。
この小説の主人公ムルソーならいざしらず、魅力的なあなたは、
お肌の疲れを太陽のせいにして済ませるわけにはいきません。
そろそろアフターサマーのケアを考えましょう。
エイボンは夏から秋へ向けてのビューティ製品を、
あなたのために一足早くそろえました。まぶしい夏の美しさから、
シックな秋の美しさへ変身する準備をなさってください。
読書の秋は、もうすぐそこです。

文学からの引用は、当時から試みていたようです。



(参考1)
サントリー宣伝部からは山口瞳、開高健といったコピーライター出身の作家が巣立ちました。彼らの書いたエッセイを、ボディコピー化した広告があります。そのコピーは“広告文学”とも言うべき素敵な文章だと思います。


(参考2)
1983年 サントリー・ローヤルのTVCM。永遠の詩人「ランボー」をモチーフに、このウイスキーのブランディングに成功。ランボーブームを巻き起こしました。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。(第六章に続く)

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