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地方に未来はあるのか?(その5)

テーマ:地方創生・SDGs・コミュニティ作り・教育・デザイン

「忙しくて本を読む時間がないよ!」というあなたの為に、地域の未来の鍵を握ると言っても過言ではない著書「持続可能な地域の作り方−未来を育む「人と経済の生態系」のデザイン−」(著者:筧 祐介)の要点をまとめました。

パート2実践編 持続可能な地域づくりを実践する

これまで、「地域コミュニティ」「未来ビジョン」「チャレンジ」について村人たちと先生のやり取りでそれぞれの役割を説明させていただきました。

持続可能という言葉には、私たちの次の世代=子どもたちが活躍する未来について考える必要があります。これからの時代に挑戦する子どもたちをどれだけ生み出すことができるかで、地域の未来が決まります。

★ 未来を切り拓く力を育む「次世代教育」 ★

村人A:次世代教育っていわれてもそこは学校の先生に任せるしか…
先生:その考え方は違います。子供たちも地域の一員として、大人と同じように地域の皆さんと一緒に、この村の将来について考える必要があります。
村人B:でも、どうすればいいんだ??
先生:同じですよ。大切なのは対話し、一緒に楽しい未来を考えることです。
村人C:対話するっていわれてもなぁ…
先生:声をかけるだけでも大丈夫ですよ。「○○君はいつもゴミ捨てして偉いね」とか、褒めることは立派な教育です。大人だから子供だからと分断するのではなく、1人の人間として接することが大切です。特に、11歳から18歳までの時期は、考える力がつく時期。大人の本音や物事の本質への関心が深まり、そういう時期に親ではなく周りの大人と会話することが子どもには必要です。

【経済格差からつながり格差へ】

経済格差が学力の差を、学力の差が経済格差をというように貧困の連鎖が問題になっているが、本当に経済格差が学力差に影響を与えているのか?

本書では、大阪大学大学院の志水宏吉教授の研究から新たな要因に注目していた。それが「つながり」である。

2007年の調査結果では、「実収入」や「生活保護率」など経済的要因との相関は依然として高いものの、「教育娯楽割合」「児童・生徒一人あたりの教育費」、つまり教育にかける費用と学力の間には相関は見られなかった。一般的なイメージと異なり、塾などにお金をかける家庭が多い地域ほど、学力が高いという訳ではないようだ。
一方で、相関が高いのが、「離婚率」「持ち家率」「不登校率」の3つである。
志水教授は「離婚率の低さに示されるような家庭・家族と子供のつながり、持ち家率の高さに現れるような地域・近隣社会と子どものつながり、不登校率の低さに結びつくような学校・教師と子どもとのつながりが豊かな地域の子どもたちの学力は高い。それに対して、つながりが脅かされている地域の子どもたちの学力は相対的に低い」という「つながり格差」仮説を提唱している。

【激変する働く環境と必須スキル】

テクノロジーへの危機意識、代替される仕事、されない仕事、今私たちがやっている仕事は将来どのくらい残っているのかについては、しばしば話題に上がる。AI(人工知能)はそれほど私たちの生活に影響を与えた。

では、AI時代に確実に必要とされる能力は何か?

本書では、2つ必要な能力を紹介していた。

教育は、子どもたちにその2つの能力を身につけさせるようにするもの。

それも、学校の教師に任せるのではなく、家庭や地域、企業、行政などが一体となって取り組むべきことであると。

本書では、さらにこの能力を身に付けるための教育や実践例、行政の役割などを紹介していた。

★ ま と め ★

これまでパート1知識編とパート2実践編について本の要点を村人と先生のやり取りを通して皆さんにお伝えしてきましたが、この本にはまだ終章があります。

終章:地域にある真の「豊かさ」

著者である筧氏は、総務大臣補佐官として国の成長戦略であるSociety5.0の策定に携わった太田直樹氏との対談の中でこう言っている。

いちばん大切だと気づいたのが終章。終章だけでもいいかなと思ったくらいで。

これまで紹介した内容も相当勉強になることだったが、終章で語られる地域にある真の「豊かさ」は、著者の実体験をもとにした温かい地域のストーリーが語られ、これからの地方の未来(可能性)が示されていた。

地方の強みを生かすことができれば持続可能性の地域づくりができる!

そう思うことができる最高の一冊でした!

以上で、持続可能な地域のつくり方−未来を育む「人と経済の生態系」のデザイン−のまとめを終わりにします。

それでは、またお会いしましょう!





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