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筆順練習で遊ぶ② イケイケ編

同じ繰り返しは誰だって飽きる。
ましてや小学1年生、集中できる時間は短い。
教師が目の前にいても、意識は時空の彼方にすっ飛でいるなんて、よくあること。

授業中に眠くなるのは、悪魔の仕業。授業中に気が散るのも悪魔の仕業。いつだって悪魔は、子どもたちを授業から引き離すチャンスを狙っている。(悪魔の話はこちら『5時間目の悪魔』)

そして、子どもたちが悪魔に捕まらぬよう努めるのが教師の役目。
子どもたちが「ああ、またいつものね」と思う前に、変化型で「え?」と子どもたちの目を覚まさせる。近づく悪魔にストレートパンチだ。
私、みんなのために頑張るからね!

入学式を控えた3月末、加藤先生のような稟とした先生に憧れ「今年こそは」と思っていた私は、既に昨年度の大バカ先生に戻っていた。(加藤先生は『先生、なんで……』で少しご紹介。あの時、私は、加藤先生のような知的な教師を目指す予定でした。)

こんな私に誰がした?

では、悪魔と戦う必殺技をご紹介します!

〈イケイケ編:体の動きを入れる〉

①「では、その指を鼻の頭に乗せて。」

いつもの基本型(ノーマル編を参照)を少しやって、突如、いつもと違う指示。当然、子どもたちは「なんで?」って顔をする。
これはジャブだ。すかさずパンチを入れる。

「次は、ここ。鼻の頭で書いてみよう。腰に両手を当てて。」

「いーち、にーい、さーん。」と教師も一緒に書く。子どもたちが慣れてきたら、書く大きさや速さに変化をつけて、悪魔払いのパンチを連打。
これであと5文字はいける。

でも、どんな新技も慣れれば、子どもはすぐに退屈する。退屈する前に次の技を繰り出す。

決して、手を緩めてはいけない!
悪魔はいつだって子どもたちを狙ってる!


②「腰に両手を当てて。」

「はいはい、また鼻ですか。」
子どもたちがそう思ってくれれば、しめたもの。ここでカウンターを狙う。

「今日は、おヘソで書きますよ。縦棒を書くときはしっかりしゃがんでね。」

両足を踏ん張って、しっかりとしゃがむんだよ。大きく書くときは、横に一歩動こうね。
どうだ、絶対眠くならんだろう。寝ぼけ眼の1時間目、お昼寝したい5時間目には、大きく、速く動かすと効果抜群。
今までの合わせ技で、もう5文字はいける。

それでも、51音まで到達するには足りない。まだ大技が必要だ。

うまいことに、ここまで来れば、子どもたちは次を期待している。
「さぁ、先生、次は何ですか? 何でもやりますぜっ!」 て雰囲気になっている。


③「両手を腰に当てて。」

できれば、子どもたちには「なんだ、今日もこれかいな」と思っていて欲しい。
そんな時に変化型をぶつけるのがより効果的なんだ。一発かますぞ!

「回れ右。先生におしりを向けて。」

知的な皆さんは、もう予想しているでしょう。
その通り。

「今日は、おしりで書きます。」

「いーち、にーい、さーん。」肩越しに子どもたちを見ながら、教師も一緒に書く。自分に向けられた たくさんの小さなおしりが可愛く動く姿は壮観。

イケイケ編の極意は、子どもを楽しく動かすこと。

①鼻の頭で書く
②おヘソで書く
③おしりで書く


他にも、頭のてっぺん、膝、つま先。
楽しめれば、どこでもあり。

遊びだから「しっかりやりなさい」は無し。どんなに小さくても筆順通りに動いていればいい。何よりも楽しく、ご安全に!

先生は、子どもたちが悪魔に捕まらぬよう、毎日、必死に戦っていたんです。

次回、ワルノリ編。お楽しみに。

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