解答のない難題様へ
ここ数年夢中になって哲学を学んでいたのは、伸びしろというものがほぼないおばさんにでも、哲学というものを教えても構わないと思った酔狂な若者の存在があったからだ。どこかで蝶が羽ばたいただけで遠い場所で竜巻が起こるほど緻密な力学で構築された世界の中で、そんな酔狂な若者から哲学を教わる場を得たことは、竜巻以上の奇跡と呼んで差し支えないと思う。
そしてそのとても大事にしていた時間はなくなってしまった。
きっかけは若者が失恋をしたからで、それを機に私は彼の言葉がわからなくなってしまった。