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📚10今さら【汝、星のごとく】(加筆10/7 22:40)


汝、星のごとく
凪良ゆう(京都市在住。2006年BL小説でデビュー)
講談社 344頁
2022/8/2初版


極々たまに、本の覚え書きをnoteに書いている
ジャンル問わず読むけれど「小説」のことは書いたことがない
「どんな小説を読むのか?」というのは、何故だか内面を覗き見られるような恥ずかしさを感じるから
ただの自意識過剰
(因みに今読んでるのも小説)


それなのに「汝、星のごとく」?
最高の恋愛小説の呼び声も高く、発売後すぐに重版がかかる大ヒット、本屋大賞も受賞した
ストーリーの紹介もレビューも多数ある話題作
いつ読んでいつ書いても、その輝きが減じることはないけれど、さすがに今更感が拭えない


つい先日、【夏読書のふりかえり】としてこの本について書いた方がいらっしゃった
本書の中で花火の場面は印象的だから、夏が似合うのかも知れない



みるみる様⤵️


「何気ない会話にでてくる言葉を、書き留めながら読みました」とコメントすると10/5(木)にレスポンスを下さった



この機会に自分が書き留めたものを読み返してみた
せっかくだから書き留めておいた言葉たちを、ただ書き出して並べてみようか?
読んだときの私が、一体どんな言葉に反応したのかがバレちゃうけれど



舞台は瀬戸内海の島
主な登場人物は
恋愛と息子に依存する母親と島に移住してきた櫂
父親が恋人瞳子の家に入り浸ってしまい、精神的に不安定な母と暮らす暁海
櫂と暁海を見守る高校教諭でシングルファーザーの北原先生


高卒後の進路に迷う暁海

「誰かに遠慮して大事なことを諦めたら、あとで後悔するかもしれないわよ。そのとき、その誰かのせいにしてしまうかもしれない。でもわたしの経験からすると、誰のせいにしても納得できないし救われないの。誰もあなたの人生の責任を取ってくれない」

父の恋人瞳子の言葉



儲かったら家を建ててと櫂に言う母

黴びた米やパン、腐って変色した野菜。それらの味など知りたくなかった。けれどそれしかないから食べた結果、耐性ができていたのか特に腹も壊さなかった。
そんな経験はただのゴミだから、ゴミであふれ返った日常を見たくなくて物語にのめり込んだ。
けれどあるとき、ふと気づいたのだ。
他の連中が知らないことを、俺は知っているのだと。
それが宝石だろうが、ものを書く上では同じ宝の山となることを。

高卒後、東京で漫画の原作者となる櫂の心中



刺繍のプロに転向しないかと勧められ、母親の生活を理由に島での会社勤めを続けると言う暁海

「ねえ、暁海ちゃん、いざってときは、誰になんて言われようと好きなことをしなさいね。怖いのは、えいって飛び越えるその一瞬だけよ。飛び越えたら、あとはもう自由なの」

瞳子の言葉



島の若者と一度だけ関係を持ってしまった暁海

「起きたことはもうしょうがないわよ。そもそも恋愛なんて正しさだけじゃ測れないし、どうしてもほしいならしかたない。後悔しないように、精一杯闘うしかない」
 キッパリとした口調。瞳子さんは昔と少しも変わらない。世間から後ろ指を差されても、自分というものを手放さない。わがままであることと、優しいことと、強いことを並び立たせている。

瞳子の言葉と、暁海からの瞳子の印象




互助会に入るつもりで、と暁海に結婚を持ちかける北原先生

(前略)誰とでも、なにとでも、結婚できればいいのにとも思う。男同士でも、女同士でも、ペットでも、物語の登場人物でも、理由が恋や愛以外でも、本人たちがいいなら三人でも四人でも結婚できればいい。結婚しなくても結婚と同じ保障があればいい。籍を入れなくても手術の同意書を書かせてほしい。危篤のときは病室に入れてほしい。遺産を譲りたい人だけにスムーズに譲らせてほしい。名字の変更はしたい人だけがして、しなくてもいい人はそのままでいさせてほしい。他にもある数限りない不便や理不尽がなくなってほしい。

遠距離恋愛の櫂と別れて寄るべない心情の
暁海





島に戻ってきた末期がんの櫂

「自分のしたいことをする、それがうちの方針なんですよ」
北原先生がいつもと同じ淡々とした口調で言った。(中略)
「君はどうしたいですか」
櫂は静かに目を閉じた。
「俺は、暁海と、花火が、観たい」

暁海の夫である北原先生と櫂の会話



死期迫る櫂の希望で出かけた
島の花火大会

「なんやもう、むちゃくちゃな面子やな」
 だね、と小さく笑った。夕暮れの砂浜に点々と並ぶ人影。北原先生と菜々さん(北原先生の元教え子で元恋人)、結ちゃん(北原先生と菜々の娘)と結ちゃんの恋人、わたしと櫂。夫婦(暁海と北原先生)、親子(北原先生と結、菜々と結)、義理の親子(暁海と結)、昔の恋人(暁海と櫂、菜々と北原先生)、今の恋人(結と恋人)六人しかいないのに関係性を表す矢印は複雑に交錯する。
 てんでばらばらで、だからこそつながれる自由さと、そうでなければつながれない不自由さ。

( )内は筆者



並んだ言葉を読み直してみる
きっと私は、他者から決めつけられたくないのだな
縛られたくないのだな
自分の経験を強みだと思っても良いのだな
形式に拘らない心の繋がりを頼もしく思っているのだな
自分には寛容が足りないと思っているのだな
純粋に「愛しい」「あなたが必要」と思えることに憧れがあるのだな
そんなことが浮き彫りになってきた
大丈夫、私は未だ生きてるんだから


スキして下さった物語人/星乃琉香様が本書を勧めていらっしゃった⤵️



ストーリーについては、敢えて触れない
( )内を見ると、一見人間関係が複雑そうに思えるけれど、無問題
未読の方は一度手に取ってみると良いんじゃないかな?
読み始めたら、休むことなく一気に読み切ってしまうと思うよ



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