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【夏読書ふりかえり】『汝、星のごとく』 凪良ゆう

結局人間は何歳になっても
弱い生き物であり
それでいて弱いだけではなく
自分なりに懸命に生きることしかできないのだと
再確認しました。

〜『汝、星のごとく』を読んで〜

この本には
たくさんの感情の葛藤を蹴散らしながら
自分の足で地を踏みしめて立ち上がり
進む道を見つけていくという人間臭さが
終始、色んな目線で散りばめられている。

登場人物のどれにも共感と歯痒さを憶えながら
どうしようもないそれぞれの生き様を感じ
どの立場になって読んだとしても
胸を締めつけられるような思いになり
そうして文字を追い続けることになる。

甘酸っぱいようなキュンとする場面もあったが
多くは引き裂かれるような感情だった。

酷く傷つき涙を流してきた自分に重ねながらも
今、その言葉たちを噛み砕けるということは
ここまで自分なりに踏ん張って生きてきた
という証にも思えた。

この本を旅する中で何度も心が救われるのは
あまりにも綺麗な瀬戸内の空と海と島の風景。

もちろん主人公たちが迷路を彷徨う時は
綺麗なだけではない空が対照的に使われている。

人間達のどうしようもないものが
たくさん盛り込まれているので
読み続けることが辛い人や
どうもピンと来ない人がきっといるだろうな。

ただ…私にとっては
身を持って体験してきたことの数々が
物語にたくさん散りばめられていたので
最後には
自分の奥の存在が素直に涙を零した。

嗚咽する程に。

幼かった頃の
私の気持ちを代弁してくれているのかと
勘違いしそうになったりして
この物語は、私が今まで生きてきた道の
答え合わせをしているようだな…という
感覚に陥りながら読み終えた。


以前、フォロワーのまゆさんと交流していて
『自由の真の意味をわかっている人は、
他人の自由も尊重する』

と、言われたことを思い出しました。

悲しみを知っている人は
悲しんでいる人に優しくすることができるし
努力した事がある人は
努力する人を馬鹿にしないと思うんです。

人は経験したことが無いことは
想像をするしかないし
想像すらしない場合もありますよね、きっと。

自由と不自由、相反する環境や感情
様々な矛盾を行ったり来たりして
それでも生きていることを思い知らされ…
人間はそうして進化していくんだろうなと
あらためて静かに落としこんだ夏の読書でした。

久しぶりに小説を
最後までノンストップで読んだ気がしました。

この年齢になり、ひと通り歩いてきたから
読めたのかもしれません。
感情のゆりかごが激しく揺れますが
私は出会えてよかったなと思う本でした。

夏読んだものを今さら投稿していますが
下書き自体は読み終えてすぐ書いていました。

投稿するのに納得のいくタイミングというのが
自分の中に確かにあるもので…
今がそのタイミングでした。
(冬になる前に投稿できて良かった😂)


最後までお読みいただきありがとうございます。
ではまたね。

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