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🤱【あなたの為を思って】という罠〜留守番

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弟が1才直前、私が2才8ヶ月のときに大叔母との同居を解消した。
サラリーマンの父•専業主婦(たまに内職)の母•子ども2人(妹は未だ生まれていない)の核家族になったある日、
弟と2人だけで留守番をすることになった。
なかなか挑戦的だよね。
国によっては「虐待」だよ。



ベビーベッドに弟を寝かせたまま、母が行った先は美容院。マジか‼︎
「お腹が空いたら食べなさい」と、私にはホットドッグを作って置いてくれていた。
弟には⁇
案の定、弟が目を覚まして泣き出した。
赤ちゃんが泣き出すのはお腹が空いてる証拠。
小さな私は、ベビーベッドのサークルの間からホットドッグを「はい、どうぞ」と弟の口に押し付けた。
食べないのかな?ケチャップは嫌い?


「何してるのっ‼︎」。
大きな叫び声にびくんとした私が振り返ると、頭にロッドを巻いたままの母が血相を変えて立ちすくんでいた。
「心配になって帰って来たと思ったら……」と絶句する母。
そうだろうね、赤ちゃんの顔が血塗れだったら驚くよね、ホットドッグのケチャップなんだけど。
どうやら赤ちゃんにはホットドッグをあげてはいけないらしい、知らんがな……



その後母はロッドを巻いたまま(当たり前だ)美容院へ引き返し、きれいになって帰って来た。
ロッドを巻いたまま走って往復したことを「あんなに恥ずかしかったことはない」と何度も私に言った。
弟にとんでもないことをして、母に恥ずかしい思いをさせた私は、とても悪い子なんだと思ってドキドキが止まらなかった。



今なら 「1才過ぎの赤ちゃんと3才前の子どもだけを家において、美容院へ行くなんて如何なものか(しかもカットだけではなくパーマまで)」と思う。
せめて「直ぐに帰って来るから、赤ちゃんが起きても泣いても、何もしないでね」くらいのことを言ってから、行けば良かったのではないのかな。



大叔母がいくら優しい人だとはいえ、新婚の母にとっては、同居するのは窮屈だったんだろうと思う。
反面、同居しているからこそ美容院でも買い物でも、赤ちゃんを預けて出かけられる自由があったんだと思う。



この件でこっぴどく叱られはしなかったけれど、「お留守番してくれてありがとう」とも「赤ちゃんをおいて出かけてごめんね」とも言われなかった。
「赤ちゃんが泣いたから食べさせようとしてくれたのね、優しいね。
赤ちゃんは未だホットドッグを食べられないのよ」と丁寧に教えてくれたら、自分を「悪い子」だと思わなくて済んだのにな。
もし赤ちゃんが誤嚥や窒息していたらどうなっていたのかと思うと、我ながらぞっとする。



「お姉ちゃんだから我慢しなさい」「お姉ちゃんなのに……できないの?」「お姉ちゃんのくせに……して‼︎」こんな風に言われるようになったのは、4人で暮らすようになってから。
それまでは大叔母がクッションになってくれていたんだろうね。
大叔母は106才で亡くなったけれど、いつでも、最期まで大好きだった。



自分の3人の子ども達には、お姉ちゃん•お兄ちゃんと呼びかけたことはないし、お互いにそう呼ばせたこともない。
だって自分が嫌だったんだもの。
お陰で末息子が幼いとき、8才上の姉を呼び捨てするのには参ったよ。
大人になっちゃえば、どちらが上か下かなんて判らないけどね。


昨年、礼文島から連れて帰ってきた
てるてるちゃん(身長6cm)
いつも微笑みを絶やさない
見習わなきゃね





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