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センバツ2023 大阪桐蔭vs能代松陽 どこよりも詳しく見どころ解説

第95回選抜高校野球大会
3回戦
大阪桐蔭(大阪)vs 能代松陽(秋田)

能代商と能代北の統合による校名変更後、甲子園初勝利をあげ勢いにのる能代松陽が、優勝候補の大阪桐蔭に挑む。
昨年夏も組み合わせ上では2回戦で当たる可能性があったが、能代松陽が聖望学園に敗れた為、実現しなかったカードでもある。

大阪桐蔭で昨年の甲子園でベンチ入りしていたのはエース前田とセカンド村本、あとは背番号10の南(恒)の3人。(南はセンバツのみ)
一方で能代松陽はエース森岡をはじめ7名が昨年夏の甲子園でベンチ入りを経験しており、経験値では負けていない。

初戦は両校ともにロースコアの接戦を制した。
まずは初戦の勝ち上がりを見てみよう。

初戦の勝ち上がり

大阪桐蔭

大阪桐蔭は初戦、福井・敦賀気比に勝利しての3回戦進出となった。
大阪桐蔭は3回に2アウトから1番・山田の内野安打を皮切りに、村本・徳丸の連続タイムリーで2点を先制。
4回にショート・小川の送球エラーから1点を返され嫌な流れになるが、7回にその小川がセンターへの三塁打で出塁すると、1番・山田が長打で帰して試合を決めた。
投げてはエース前田が敦賀気比打線を前に1失点完投、3-1で大阪桐蔭が強豪・敦賀気比を振り切った。

勝利の立役者はサウスポーエース前田だ。
敦賀気比は秋の福井大会、北信越大会で打線が振るわずチーム打率は低かったものの、トップバッター濱野をはじめ非常に好打者が揃う厄介な打線でもあった。結果、前田は8安打許したものの14個の三振を奪い、苦しい展開ながらも崩れなかった点は大いに評価できる投球で、昨年夏の下関国際戦からの精神面の成長をうかがわせた。

一方の打線は敦賀気比の先発サウスポー竹下をなかなか打ち崩せなかった。
安打数は敦賀気比を下回る7本、そのうちの6本が1~5番によるもので、中軸以降が1安打に抑えられたのが苦戦の要因となったといえるだろう。
下位打線が奮起出来るかが、この先を勝ち上がるための必須条件と考えられる。

能代松陽

能代松陽は21世紀枠で選出の栃木・石橋高校に勝利しての3回戦進出となった。初回に2番・淡路、3番・虻川の連打から4番・齋藤がきっちり犠牲フライで走者を帰し、能代松陽が先制点を挙げた。
しかしその後は、中学時代に全国制覇の経験がある石橋・入江投手の前にチャンスは作るものの追加点を奪えず、能代松陽にとっては苦しい試合展開となる。
試合は終盤8回に能代松陽が大嵩、淡路の1、2番の連打から相手エラーで2点を追加して試合を決定づけた。
投げてはエース森岡が終始安定した投球を見せて、石橋打線を2安打完封。
3-0で勝利して3回戦へ駒を進めた。

勝因は間違いなくエース森岡の好投だろう。
石橋打線を2安打無得点に抑え、12奪三振と能力の高さを見せつけた。
打たれた2安打も内野安打2本、与四死球0,外野へ飛んだ飛球も4本だけと、ほぼ完ぺきに封じ込めたと言える。
甲子園での二桁奪三振+無四球完封は秋田県勢初の快挙となった。

一方の打線は4番齋藤以外が全員安打の計10安打。
10安打全てが単打と言うのがこのチームの特徴でもある。
ただ再三走者は出すものの、石橋・入江投手をなかなか打ち崩せなかった点は反省したいところだ。
8回の追加点は相手エラーによるものだが、その直前でダブルスチールを決めて走者を進めた機動力が引き寄せたミスとも言える。

能代松陽は大阪桐蔭の巨大戦力を前にしても、初戦同様に積極的に足を使って揺さぶりたい。

この試合のポイント

事実ベースで考えると、選手層、個々の能力において大阪桐蔭が投攻守すべてにおいて上回る。

それだけにこの試合のポイントは何と言っても
「能代松陽のエース右腕・森岡が大阪桐蔭打線を最少失点に抑えられるか」
この1点に尽きる。

森岡は昨年夏も甲子園のマウンドを経験しており、センバツでも2試合目。
通常であれば経験値から考えると、本来の力が発揮できるだろう。

ただし相手は最強・大阪桐蔭である。
まずは森岡の立ち上がりの制球に注目したい。

初戦はストライク先行で、常時有利なカウントで投球することが出来た。
昨年夏の聖望学園戦はカウントを悪くして痛打を浴び、4回5失点と言う面から考えると、夏から大きく成長したと言えるだろう。

森岡の投球としては大阪桐蔭打線から逃げることなく、インコースを突けるかがカギになる。そうすることで得意のスライダーとチェンジアップを振らせる展開に持ち込みたいところだ。

森岡が憧れると公言する楽天・田中将大投手は2年時に甲子園で大阪桐蔭を相手に真っ向勝負を挑んで勝利を手にした。森岡も「憧れの人」に追いつく為に強気な投球を見せられるか、この試合はその試金石になるだろう。

一方の大阪桐蔭の先発は前田ではなく、背番号10の南(恒)ではないかと、筆者は予想する。翌日が準々決勝なので、過去の西谷監督の起用法からの推測である。

南(恒)は昨年のセンバツでもマウンドを踏んでおり、186cmの長身から投げ下ろすMAX145キロのストレートに力のある本格派右腕だ。

大阪桐蔭としては主導権を握って試合を進めたいだけに、投手陣の立ち上がりに気を付けたい。
当然、前田が先発しない場合は複数投手の継投も考えられる。西谷監督の継投タイミングにも注目したい。

大阪桐蔭打線では、初戦は敦賀気比のサウスポー竹下から下位打線に当たりが出なかった。昨年のセンバツでは初戦で鳴門の冨田投手に抑えられたが、準々決勝以降で打線が爆発して一気に優勝まで駆け上がった。(※2回戦は広島商の辞退で不戦勝)
今年も初戦の反省点を踏まえて、甘い球は見逃さないよう積極的な攻めを見せたい。

打線の鍵を握るのは山田、村本の1・2番の出塁か。中軸を打つ徳丸・南川の前に走者を溜める事で、能代松陽にプレッシャーをかけたい。


大阪桐蔭打線は非常に力があるが、大会11本塁打を記録した昨年のチームほどの破壊力はない。前田、南の両投手は甲子園を経験しているが、打者で昨年ベンチ入りしたのが村本のみという点から、経験値という観点では能代松陽も負けてはいない。

能代松陽は昨年秋は東北大会準決勝で仙台育英を相手に1-2で敗れたものの、互角の試合を見せた。その試合は4番の齊藤が先発して好投を見せた。

この日の齋藤の投球のように、大阪桐蔭打線を恐れず、強気に攻めの投球が出来るか。能代松陽のエース森岡の右腕がこの試合を左右すると言って良いだろう。

甲子園ラボ

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