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創作の糧(皆様の気になった記事を紹介)

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ライティングや創作のヒントになるような記事。特に再読したい記事をスクラップしています。素晴らしい記事を集めています。ご参考になれば幸いです。
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#俳句

俳句コンテストでの類句検知に協力

概要2021年5月に、部員の西江友里、宮本稜太、宮本大輝が、国内最大規模の俳句コンテスト「伊藤園お~いお茶新俳句大賞」の選考過程において技術支援を行いました。投稿された句のうち、既存の作品と重複するものや著しく類似するもの(類句)の検知を行いました。このコンテストは今年で32回を迎え、近年では毎年約200万件の句が投稿されています。人手で行っている類句検知の労力を軽減するのが目的です。 詳細今回は一次審査を通過した約2万句について、既存句約100万に対する類句の検知を行いま

【俳句】文芸上の真とは 水原秋櫻子をよむ

 俳句は、現実を”ありのまま”に書くことのみが正しいだろうか。  例えば暑い季節、山中へ赴き、一本の滝を目の前にしたとする。水しぶきや滝の巻き起こす風が涼しいだろう。岩には青々とした苔が繁茂し、天は緑の木々に覆われている。  この景を俳句にしたい。滝、苔、木々、風も水しぶきもすべて込めた句にしたいと思うのが人である。しかし、およそ俳句は一点に絞ったほうがいいらしい。五七五のわずか十七音にいろいろと盛り込むのは難しいからだ。焦点がぼやけて、何が言いたいのか分からなくなってしまっ

【随筆】なぜ俳句の感想文を書くのか

 俳句が五七五で表現する文芸である点を知っていても、切れだとか、詩情だとか、深くまで知っている人は、私の周囲にほとんどいない。それは全く問題のない至極当然の事実である。  好きなことは誰かに勧めたい。自分から主張しては、お節介極まりないが、聞かれたのであれば、俳句は面白いよ、と偉人らの名句をみせる。  堂崩れ麦秋の天藍たゞよふ 水原秋桜子  芥子咲けばまぬがれがたく病みにけり 松本たかし  芋の露連山影を正しうす 飯田蛇笏  ほとんどの人が「どういう意味?」という。他、

おぼろ月もうもう消えてゆきにけり 今から30分前くらいに、 ふと玄関先に出て見ますと、 おぼろ月がみえました。 一旦、家に入り、5分後、 また見に行きましたら、 もう雲に隠れて見えなくなって いました。 久しぶりに見た、明るいお月様でした。

俳句生活「虹」好き句鑑賞 その1

はじめまして。俳号「いかちゃん」と申します。先日結果発表された、カタログハウス通販生活内の企画、俳句生活「虹」の作品のなかから、特に好き!と思うものについて、鑑賞文を書かせて頂きました。僕の鑑賞のクセで、多分に分析的な文章となってしまっていますが、ご容赦ください。それでは、どうぞ! 夕虹を煮詰めて街の夜に塗る/磐田小ド都会の句だと思いました。歓楽街。人々は虹の美しさに気付くこともない。灰色の街に現れた「夕虹」の色彩は、どろどろに煮溶かされ、「街の夜」に塗られてネオンの輝きと

まいにちが平和であってこそ稲穂

季語▷いなほ( 三秋 ) 現代俳句

八月という月

    長崎や坂折れさうに秋暑なり      梨鱗 もうずいぶん以前に、長崎を訪れました。 どんな町だったのか、記憶もおぼろです。 今では長崎というと、テレビや映画でよく映る長い坂が浮かびます。 あれは、実際に見た景色でもあったのでしょうか。 八月という月は、記憶に留めておかないとならない出来事があった月でも あります。 広島忌 長崎忌 終戦記念日。 ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、その著書「サピエンス全史」で 世界は現在、ゆるやかに統一化されている最中だと述べています。

目にはさやかに見えねども

8月7日は立秋でした。 この頃になると、ふと思います。 日本語の中で「立秋」が一番好きかもしれないと。 それだけ連日の暑さに参っているということですね。 (まあでも、「感動を伝えたい」だとか「笑顔が最高のプレゼント」だとかよりは、よほど風通しのいい日本語です) 秋の立つその日が、たまたま雨降りだったり、 日差しの落ち着いた曇り空だったりすると、 今年は秋のおとずれが早いのかと、期待します。 そんなこんなで数日間は 暑さに終わりの来ない現実に目隠しをします。     

「官能句会」を振り返って~ どんな句が詠まれ、どんな句が人気を集めたか?

6月27日放送に放送のBSフジ「タイプライターズ~物書きの世界~」に「女性のための官能俳句を読(詠)む夕べ」主催者としてリモート出演したことを記念して、「さっぽろ俳句倶楽部」では先日「官能句会」(夏雲システムを活用したオンライン句会)なるものを開催しました。 リモート出演の詳細は、こちらで書いています。 「官能句会」はひとり2句まで投句で、36名が参加、全69句が集まる句会となりました。 「官能俳句」の定義は特にしていなかったのですが、事前に、「女性のための官能俳句を読

焚き火の俳句ーー松本たかし

とつぷりと後ろ暮れゐし焚火かな/松本たかし 山で焚き火をしていると、この俳句を思い出します。 「とっぷりとうしろくれいしたきびかな」。目の前が明るければ明るいほど背後の闇は濃くなります。山の夜の深さは、電気の光りに染められた都会では、体験できないものです。重量と密度があります。 少しでも山の夜を遠ざけたくて、コールマンのランタンを木の枝に吊るしてみます。しかし、そんな強い光源は、ここにはありません。焚き火のあかりだけが、頼りです。 キャンプで、夕食の支度をします。よう

「歳時記」活用の落とし穴

俳句入門の際にまず準備するものは「歳時記」であり、多くの方がこれで季語を調べて句を作る。「歳時記」に収録されている四季の季語を主題に句作するのは伝統的な方法である。 だが、「歳時記」を有効に活用し、俳歴を重ねるほど以下のようなマイナス効果も助長する。 1:季語を説明しただけの句を作ってしまう 2:例句の影響を受けた類句、類想句を作ってしまうおそれがある 3:季題趣味、季感中心主義になり、句から作者の顔が消えてしまう 4:季語以外への詩的感性が衰耗してしまう 季語の

金曜日の随筆:江戸時代の三俳人

また運命を動かしていく金曜日がやって来ました。2021年のWK26、水無月の肆です。本日は、俳句の歴史をさらっとなぞった後、江戸時代の三俳人について纏めます。 『俳句』になったのは明治時代『俳句』は、季語の含まれた五・七・五(十七語)の定型詩です。『俳』という字には、「こっけいなこと、おどけ。(小学館デジタル大辞泉)」という意味があり、俳句を読む人は『俳人』と呼ばれます。 『俳句』とは「俳諧の発句」の前後を取った略語で、明治時代に正岡子規(1867/10/14-1902/

芭蕉を崇拝している「俳句入門書」

長谷川櫂『決定版 一億人の俳句入門 』(講談社現代新書) 「五・七・五で詠む」「季語を入れる」「切れがある」等々の、俳句の約束事を明快に解説。この1冊で自在に詠める! 初心者から上級者まで必携の書。「朝日俳壇」、読売新聞「四季」等で人気の俳人による明快な俳句入門。凡百の入門書とは一線を画する、ユニークで有用性の高い内容です。 こだわりの俳句道場という感じで初心者向きではない。ただ芭蕉の例題が多く、芭蕉時代の俳句の考えを元にしているので、芭蕉の俳句の手引としても読める。例え

俳句連作留意事項

俳句の入門書は多いが、連作の作り方に関して書かれているものを読んだことがない。そして、教えてくれる人も私の周りにはいない。 そこでわたしが連作で俳句を並べる際に気にしていることを書いておきたい。俳句実作は好きな入門書を参考にされたい。 大事な順に列挙する。賞に応募することを前提として考えていく。 ①季語を季節順に並べる。 これは春夏秋冬の順にするのは当然だが、例えば春でも、初春、仲春、晩春、三春と分類されており、その順番通りに並べるべきだ。三春に関しては春全体に通じる季