「歳時記」活用の落とし穴

俳句入門の際にまず準備するものは「歳時記」であり、多くの方がこれで季語を調べて句を作る。「歳時記」に収録されている四季の季語を主題に句作するのは伝統的な方法である。

だが、「歳時記」を有効に活用し、俳歴を重ねるほど以下のようなマイナス効果も助長する。

1:季語を説明しただけの句を作ってしまう

2:例句の影響を受けた類句、類想句を作ってしまうおそれがある

3:季題趣味、季感中心主義になり、句から作者の顔が消えてしまう

4:季語以外への詩的感性が衰耗してしまう

季語の意味だけを十七音化し句が古臭くならないためには、歳時記を教本のように絶対化しない方がよい。

ただし句会で兼題・席題が出され、季重なりや当季の季語か確認するときには「歳時記」を使ってほしい。
要は「歳時記」に振り回され、発想の狭隘化に陥ったり、現代的な詩因を忌避することのないように心すべきである。

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