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接続詞ナビゲーションシステム
さて、「訳しやすい英文の謎」の糸口(仮説)について書いてみます。
以前、とあるノンフィクション作品の下訳チームに参加したとき、先生から「『だが』が多い」と叱られたことがありました。読み返してみたら、ほんとに多くて自分でもびっくり! 「but」を機械的に「だが」に変換していたせいとわかりました。
それ以来、「逆接の接続詞」の訳語が単調にならないように腐心しているのですが、これが実に難しい。
と
頭の重い英語、お尻の重い日本語
文章の巧拙を判断できるほど英語に精通してはいませんが、日本語に「訳しやすい英文」と「訳しにくい英文」というのは確かにあります。
大昔、ゼミの先輩から「ローレンス・ブロックの文章はそのまま訳せばいいからやりやすいね」と言われたときに、「…………(ええええ!? やりやすいってどういうこと? 超難しくて四苦八苦してるんですけど???)」という会話(?)をしたことがあります。ゼミの課題がブロックさんの短
激賞と酷評を呼ぶ怪作
「He knows what he is doing. (彼は自分のしていることを、ちゃんとわかっている)」
という英語の表現がありますが、『災厄の馬』を訳了したときの感想はまさにそれでした。
複雑な構成なのに、時系列の誤りがひとつもなかった(かなりめずらしいです)。著者はこういう作品に仕上げたくて、こういう作品に仕上げたんだろうなと思いました。
でも、お仕事をいただいて、最初に読んだときの
毒花的読書体験とは?
ジェットコースターが、ゆっくりと動きはじめる。
カタカタカタカタカタカタ………
「まあ、そんなたいしたことないんじゃない? フツーだよ、フツー。よくあるやつだって。まえにこういうの乗ったことあるしさ」
カタカタカタカタカタカタ………
長い助走を経て、ひとつ目の頂上が近づくにつれ、そんな余裕の表情もちょっぴりこわばりはじめる。知らず知らずのうちに、手すりをつかむ手に力がこもる。
カタカタカ
”The Decagon House Murders” を読んでみた
【※以下、『十角館の殺人』のネタバレがあります。未読のかたはご注意ください】
2年ほど前に、お恥ずかしながら初めて、新本格ミステリの記念碑的名作、綾辻行人著『十角館の殺人』を読みました。おもしろかったです!!
おそらくすでに語り尽くされていることとは思いますが、個人的に一番「やられた!」と思ったのは、
日本語ネイティブの「相手との関係性による口調の変化」
を実に鮮やかに逆手に取って、読者(
〝想い〟から始まる思考法
訳書紹介、第7弾(noteでは第3弾)は、
エイミー・ウィテカー著
『アートシンキング 未知の領域が生まれるビジネス思考術』
になります。
アート思考については、まえがきを書いてくださった山口周さんの著作を始め、たくさんの良書がありますね✨
そんな中で、本書独自の特色を挙げるなら、
①外国と日本の「アート思考型ビジネスの実例」を豊富に紹介
②「アート思考をビジネスに取り入れる具体的な方法
名探偵か、迷探偵か?
ハヤカワ・ポケットミステリ『名探偵の密室』が発売されてから、今日で2年になりました。早いですね! びっくり!
この作品は、英国の新人作家クリス・マクジョージ氏のデビュー作で、かつ大学のクリエイティブライティング科の卒業論文でもあります。そして私事ですが、初めてひとりで訳した小説であり、思い入れも思い出もたくさんある大事な作品です。
あらすじをひと言で言うなら、
自称“名探偵”が死体と容疑者5
運と表現力とトリミングの話。
さて、師匠から明確な「ダメ出し」をされなくなり、イマイチなときは「うーん」で済むようになると、今度は「運がない」と言われるようになりました。
まあ、確かに運がいいとは言えないかも……と思う反面、「運がいい(ように傍から見える)方々」というのは、お話をうかがってみると、たいてい ①努力の総量が桁違いに大きい ②努力する方向の選択にセンスがある のどちらかまたは両方で、うらやましいことはあっても納得