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展示、作品の売買について思うこと

突然ですが、今年人生ではじめて、絵画作品を購入しました。
こちらの作品です。

作者は現代作家の白野有さん

自然の美しさの中に、哀しみ、寂しさ、無力感、強さ、優しさを感じられる作品を多く製作されています。

今まで、ポストカードや作品集等の複製作品は、展示の思い出にと購入したことが多々あります。
ただ、作品そのものを、というのは、狭い日本の賃貸でどこに飾るか?日焼け等の保護が大変では?とハードルが高く、なかなか手が出しにくい状況でした。
今回自分の私生活で人生の岐路とも言える大きな出来事があり、今の気持ちに栞を挟むように、作品を購入することにしました。
折しも調度、白野さん作品でも特に好きな連作に新作が追加され、個展も開催されており、迷いはありませんでした。

実際作品を自宅で手に取ると、一筆一筆まで感慨深く、静かな感動に身を委ねることができます。
私にとっての「日々」は過去も未来も背負って、今を精一杯生きることです。特別なことも、見逃してしまうようなことも、明日には過去として背負って、また日々を生きます。
その「日々」生きることの確かさを、今この作品をお迎えすることで忘れたくないと思いました。
また異なる「日々」が訪れるかもしれません。その時にどんな視点で作品を見ることができるのかも楽しみです。
これからのどんな「日々」にも寄り添ってくれる、そんな作品であると感じています。

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さて、話は変わりますが、展示すること、作品を販売することについて、個人的に思っていることを書こうと思います。

2023.2.28~3.11個展開催します。

趣味でグループ展等に出展する、というのはもはや当たり前のことになってきました。
それでも、作品を販売するということは、アマチュアカメラマンの間では定着していないように感じます。

私は展示するなら一緒に販売した方が良いという考えです。
確かに、趣味の作品は自己満足のために製作しているから販売するようなものではない、という気持ちがない訳ではありません。
ただ、自己満足と販売は相反するものではないと思うのです。

今回初めての展示、それも個展を開催する訳ですが、これは誰のためでもなく自分のためだけの展示です。
自分が写してきた画を心地好い空間に配置する、そこは自分のための自分を励まし、支え、癒す空間になるでしょう。自分だけの書斎を、維持するのは大変なので、2週間限定でこの世に生み出すのです。

だから、極論、誰も来なくても良いし、一点も売れなくても良いのです。
それでも告知をし、販売をする。それは、もしかしたら、私の生み出した空間に共鳴する人がいるかもしれないからです。
私も多くの作品に救われました。
私の作品は、誰かを救う程のものとも思っていませんし、誰かのために製作したものでもありません。それでも、作品に救われる時、癒される時、それはいつも、不意に訪れる偶然の出会いでした。
誰かの自己満足が別の誰かに共鳴する、その機会をわざわざ摘みとる必要はないと思います。
そして、もしそんな共鳴が奇跡的に起これば私はこの上なく幸せですし、その誰かの作品もまた見せてもらいたいです。

その為の告知と販売です。
この孤独で小さないくつもの世界を、緩やかに優しく繋ぐ、そんな機会がもっと当たり前になったら良いなと思っています。

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