第三話 山茶始開 ―さんちゃはじめてひらく― (二)
<全三話> <一> <二> <三>
<二>
「散らさなくて良かったんですの?」
「ここでやったって、意味がないだろ」
「ええ、でも、どうして放っておくしかないのかしら……いずれ、外に出て被害を出すかもしれないのに」
「そりゃあ、キリがないから。ここで叩いたところで、すぐに元通りだ」
「あら」
「そうだよ。知らなかったのか?」
「ええ。最初に、手を出してはダメだとお父さまには習ったのですけれど、理由までは……」
すると、兄は、「親父め」、とどこか呆れた様子で首を