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生まれ変わりたいと、思わなくなった。

いつだったか好きな人に聞いた言葉がある。

「繭は4回脱皮するんですよ」

繭の話だった。

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小学校3年の時クラスで蚕を育てていた

ことを思い出す。

ときどき、繭は誰にも叱られないしいいなって

想っていたのかもしれない。

子どもの頃の目標は誰にも叱られない暮らし

それが一度やってみたいって想っていた。

彼がもういちど4回とたたみかけた。

「4回?」

「そう4回」

その後にわたしはこういったような気がする。

「4回ぐらい脱皮してもわたしはなにも変わらない気がします」

「それはあなたが今幸せだからそう思うんですよ」って。

眉間に皺を寄せてその人は言った。

幸せとかよくわからないのに、幸せだからって

決めつけないでほしいって思ったかもしれない。

それにしても苦しい話じゃなくてもその人は

眉間に皺を寄せる。

小さい頃もそうだったのかなって、思ってみる。

幼稚園生なのに眉間にしわを寄せている

ひとりの男の子を想像してみる。

その人と喋っていると繭の中に住んでいる

ような気分になった。

夏になると繭のことを思い出す。

その人と真夏に出会ったからかもしれない。

とても暑い夏ど真ん中の季節のことを

ドッグデイズというらしい。


あれからしばらくたって、また夏を迎えて。

なんどもその後、夏を迎えて。

いつだったか繭がつくったシルクの

ストールが欲しくなった。

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あの人が教えてくれたみたいに

繭が4回生まれ変わってこれも、作られ

たんだろうかと思った。

いま、何かに生まれ変わりたいとは

思わない。

あの頃とすこし意味は違うけど。

いまで精いっぱいだし、やっとじぶんに

慣れてきたようなところあるから。

こういう時におなじ失敗するとか、

こういう時に調子よくなるとか、

困った時は相談する人がいてくれる

誰かに相談できるようになれたとか、

すこしずつ、わたしはわたしを

作ってきて。

今もその道の途中だから、繭みたいに

生まれ変わりとかどうでもいいような気が

している。

⇈これ夏の自由研究とかによさそうですね。

とめどなく 光は咲いて 咲きこぼれてる
まぼろしの 空の何処かを 天使と犬が




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