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テディベアがいちばん似合う場所。

パパは最近いそがしい。

いそがしいっていうのがどういうのか

まだよくわからないけれど。

パパが家にいないことが、いそがしって

ことなんだよってママが教えてくれた。

ちなみにママはさつまいもが大好き。

ある日、ママとおつかいに行った帰り。

さつまいもとあたしとどっちが好き? 

って聞いてみた。

どっちも大好き。

でもでもあたしのほうが好きって言って

くれたので、あたしはなまえをスイートポテトを

みじかくしてすいぽにした。

ところで。

パパは、カバンを持って会社に出かけてゆく。

いつだったか、いっしょうけんめいパパの

カバンのぎざぎざのファスナーを開けて

足をつっこんでみた。

パパが、なにしてるの? って聞いてきた。

パパはいつもカバンをもって会社に行くから

すいぽもここに入ったらいつも一緒に

いられるかなって。

ワディオはちょっとだけなみだぐんだ。

あ、ワディオはあたしのパパだ。

ゲームが好きでなんでも人生をゲームに

してしまえればいいのにって本気で

想っているそんなパパ。

ゲームは好きだけど、

すいぽはよくまだじんせいとかわからない。

じんせいってあまい? 美味しい?って

聞いてみたら食べ物じゃないんだよって

ワディオパパは答えた。

すいぽが、パパのなみだを椅子にのぼって

拭いたとき。

ワディオパパは悲しそうな顔になって

ありがとうっていった。

そして、すいぽはカバンの中に入るのを

あきらめた。

パパが悲しい顔をしているのをみるのは

嫌だから。

年齢の割にはけっこう聞き分けがいい方だと思う。

なにが嫌なのかは、じぶんで知っている。

これはいや。

あれはいや。

ちょっとだけママを困らせることもあるけれど。

いつもすいぽがこれいや! っていってべそをかいた

あとママはぎゅって抱きしめてくれるから、

いやだったこともぜんぶ忘れてしまう。

ある日、ワディオパパがすいぽにプレゼントを

したいって言ってくれた。

誕生日でもないのにプレゼントがリビングの

テーブルの上にあった。

開けたらかわいいカバンだった。

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可愛いクマのカバンのふたをあけると

またクマがいた。

すいぽは、はてなって顔をしていたら

パパの会社に行く時のカバンの中からも

おなじクマがでてきた。

もういちどはてなの顔をしたら。

そのクマちゃんはね、すいぽなんだよ。

だからパパのカバンにもテディベアの

すいぽを入れておくね。

これですいぽとパパはずっと一緒だって

パパはうれしそうに言った。

すいぽのカバンの中のクマちゃんは、

パパだと思ってねってワディオパパは、

あたしの頭をくしゃくしゃになるぐらい

撫でてくれた。

公園に遊びに行く時も一緒につれていって

ほしいな。

パパがそういうから、

すいぽはうんってうなづいた。

うんってうなづいたとき、クマもうんって

うなづいたみたいにみえた。

それがなんだかちょっとふしぎでうれしくて

すいぽはテディベアの頭をなでてみた。

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ワディさんお誕生日おめでとうございます。

この物語はわたしの記事にワディさんから
コメントをもらったことがきっかけでした。

それぞれの人生のカバンの中身って

どんなんだろうみたいなエッセイを

書いた後、ワディさんがくれたことばです。

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ここにはワディさんが自分の足で歩いてきた

かけがえのない大切な時間がつまっていました。

読んでいて泣きそうでした。

そしてラストの3行にわたしは完全にノックアウト。

それはとても幸せなノックアウトでした。

そしていつの日か。

こんな童話を書いてみたいなって思ったのでした。

今日ワディさんにこの物語を捧げます。

ほとんどワディさんのアイデアです!

ワディさんにはなんどもサポートしていただいて

心より感謝しています!

すてきで愉快で素晴らしき仲間たちに恵まれた

ワディさん。

すてきな1年になりますように、
なりますよきっとなってますって🤩


凛さんほんとうに素敵な企画をありがとうございます!

参加していて幸せな気分がずっと続いていました。

2021年4月16日はわたしにとっても忘れられない記念日に

なりました!

ひとつぼし みあげたままの みんなのひとみ
ゆるやかな せなかのかたち きおくのかたち


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いつも、笑える方向を目指しています! 面白いもの書いてゆきますね😊