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3/8発売【文春電書】文春文庫3月新刊

2月の厳しい寒さから一転、温かくなってまいりました。そうこうしているうちに桜の季節が到来。全国的に平年よりも開花時期が早いとのこと。みんなでワイワイ花見に行くのも楽しいですが、天気の良い休日、桜の下で読書にふけるのはいかがでしょうか?
そんな”花見読書”のお供にぴったりの文春文庫新刊ラインナップをお届けいたします。

堂場瞬一『 灰色の階段 ラストラインØ(ゼロ)』

異動の先々で事件を呼ぶ男・岩倉剛。
彼の刑事人生の全貌が、いま明らかになる!
〈異動の先々で事件を呼ぶ男〉と言われるベテラン刑事・岩倉剛。
彼は事件に関する異常なまでの記憶力を持ち、誤った方向に暴走しそうになる捜査本部をギリギリで引き留める「ラストライン」の担い手でもあった・・・。
本シリーズは岩倉の刑事生活ラストの10年を描いておりますが、
本作はそのシリーズ外伝として、それ以前の岩倉の活躍を描く短篇集です。

西條奈加『わかれ縁 狸穴屋お始末日記』

シリーズ化も決定! 西條奈加の〈ど真ん中〉傑作人情時代小説です。
夫婦となって5年、定職にもつかずに浮気と借金を繰り返す亭主に絶望した絵乃は、身ひとつで家を飛び出し、離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」に流れ着く。
夫との離縁を望むも依頼できるだけの金を持たない彼女は、女将の機転で狸穴屋の手代として働くことに。
果たして絵野は個性豊かな狸穴屋の面々とともに一筋縄ではいかない依頼を解決しながら念願の自身の離縁を果たすことができるのか!?

夢枕獏 蝉谷めぐ実 谷津矢車 上田早夕里 武川佑
『妖異幻怪 陰陽師・安倍晴明トリビュート』

平安時代にとどまらず室町・戦国時代の陰陽師まで登場。時と場所が変わっても色褪せない、「陰陽師」の魅力が詰まったアンソロジー。
稀代の陰陽師・安倍晴明が様々な怪異に挑む「陰陽師」シリーズ。著者による傑作短編に加え、新進気鋭の作家4人が新たな「陰陽師」の物語を紡いでいく。右耳に妖が棲む女房、墓を荒らす奇妙な童、さらには時代を超えて室町の法師陰陽師や、戦乱の世を憂うキリシタン陰陽師も登場。怖くて美しい「陰陽師」の世界が凝縮した一冊。

夢枕獏さんの本家本元を未読の方はこちらから!

柴田よしき『さまよえる古道具屋の物語』

人はその古道具屋が、いつもの道にあることに、ある日ふと気づく。 中に入れば、要りもしないモノを、店主から無理やり買わされる。 そのモノは、持ち主に、ある時はラッキーを、ある時は災いをもたらすのであった――。
バブル前夜から二度の大震災まで、激しく移り変わる世相を背景に、 モノと心の間で翻弄されながらも懸命に生きる人々を描く 傑作長篇です。

桐野夏生『メタボラ〈新装版〉』

もはや僕らには、絶望すらも許されないのか……。
記憶喪失の「僕」と島を捨てた昭光の、行くあてのない逃避行。
社会から疎外された若者たちを通じて現代の貧困を暴き出した問題作です。
記憶を失った「僕」は、沖縄の密林で故郷を捨てた昭光と出会います。二人は名前を変えて新たな人生を歩もうとしますが、過去の自分にからめとられ、ヒエラルキーに支配された実社会に安住の地は見つからず……。 孤独、貧困、破滅の予感。 最底辺に生きる若者たちの生態をなまなましく描き、なお清新な余韻を残す傑作ロードノベル!

北原亞以子『恋忘れ草〈新装版〉』

北原亞以子さんが亡くなられてから10年。
第109回直木賞受賞作『恋忘れ草』を新装版として復刻。
『恋忘れ草』が直木賞を受賞した際、北原さんは記者会見で「江戸のキャリアウーマンを書きました」と仰ったそうです。
その言葉の通り、『恋忘れ草』には6人の働く女性が登場します。
手習い師匠や筆耕、簪の意匠を考える職人など、彼女たちはそれぞれに手に職をつけ、生計を立てています。
彼女たちが逆境を乗り越えながら、それでも仕事に向かっていく様子を丁寧に描いた連作短編集です。

林真理子『Go To マリコ』

祝ギネス記録達成(同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数」)!のメモリアルエッセイ集を襲った感染爆発(パンデミック)もなんのその。おうち時間は目いっぱい楽しみ、「新しい生活様式」になじめばさっそく飲食店支援に食べ歩き、相撲観戦へと出かける。さらに故郷山梨では「まるごと林真理子展」も開催。未曽有の時代にも躍進する日々を綴った、週刊文春連載人気エッセイ集。巻末に、特別対談「眞子さまの恋『皇室結婚史』から考える」収録。です。

先崎学『将棋指しの腹のうち』

勝負メシより勝負酒?

藤井聡太が対局中に豚キムチうどんを注文し、話題となった千駄ヶ谷のみろく庵からこの本は始まる。 しかし、著者の先崎は、このブームを知らなかった。 なぜなら、かれは「うつ病」だったから……。 そんな冒頭から始まる、『うつ病九段』の先崎氏が描く、将棋指したちとめしをめぐる物語。 棋士たちは何を食べ、何を語り、将棋に挑むのか――。
本当のドラマは勝負後の打ち上げで起こる。現役棋士が描く誰も知らない勝負師達の素顔。解説・サバンナ高橋茂雄

こちらはうつ病で苦しんだ五年間を描いた、傑作エッセイです。

平松洋子『肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行』

牛、馬、猪、鹿、鴨、鳩、鯨、羊、すっぽん、内臓…… 「人はなぜ肉を食べるのか」 問いを掲げた平松さんは、日本全国十か所をめぐり、十種の「肉」と人とのかかわりを徹底取材。ひとつの文化として肉をめぐる諸相をとらえ、動物とその肉について、見て、聞いて、食べて、深くその根源を考えた前代未聞のルポルタージュ。 「生きもの」が「食べもの」になるまでの間には実に様々な工夫や技術が介在し、「うまい肉はつくられる」ことがわかる。 知られざる肉食文化だけでなく、信念を貫き、魅力的な多くの日本人の「仕事」の歴史にも光を当てたエキサイティングな傑作ノンフィクションです。 解説は、なんと!、角幡唯介さんです。

みうらじゅん『ハリネズミのジレンマ』

連載回数500回をこえた「週刊文春」の人気エッセイ「人生エロエロ」をまとめた文庫も、こちらで6冊目。
TVゲーム嫌いだった彼女が「史上最速の青いハリネズミ」ソニックのゲームにハマっている様子を見て「誰の影響で?」と、恋人の心が別の男に奪われたことを疑って嫉妬するマリオ派男子の葛藤を描いた「ハリネズミのジレンマ」、街中でポーズを決めるハダカの銅像から彼らの物語を妄想する「ヌー銅物語」、投稿雑誌で見かける熟年夫婦を電車内で目撃して大興奮する「ときめき夫婦」、トム・クルーズと彼のオカンの会話を勝手にシュミレーションする「トムとマミー」ほか。 巻末には、話題の本『土偶を読む』の著者・竹倉史人氏とのスペシャル対談も!

記念すべき連載の文庫化第1作はこちらから。ずっとエロイことを考えてらっしゃるみうらさんはスゴイ・・・。

松本侑子『金子みすゞと詩の王国』

NHK「100分de名著 金子みすゞ詩集」で指南役を務めた著者が、番組テキストに大幅に加筆。図版写真97点、実弟の日記を収載の決定版。心に響く暖かな言葉の王国へいざないます。
金子みすゞの希望と挫折の生涯、大正デモクラシーの理想から生まれた童謡詩の盛衰をたどりながら、珠玉の名詩60編を文学の視点から読解する新しいみすゞ論。名詩60作を徹底解説しています!

斎藤明美『高峰秀子の言葉』

女優・高峰秀子が放った、嘘偽りのない、魂を揺さぶる30の言葉。
「忙しい時ほど余裕を持たなきゃいけないよ」
「超然としてなさい」
「何でも、まず、やってみせることです」
「食べるときは一所懸命食べるといいよ」
「人はその時の身丈に合った生活をするのが一番です」
「学校へゆかなくても人生の勉強は出来る」
「いい思い出だけあればいいの。思い出はしまう場所も要らないし、盗られる心配もない」
養女として、晩年の高峰の一番近くにいた著者は、高峰のことを「極めて言語能力が高い人だった」と語る。言葉に嘘がなく、飾りや婉曲、蛇足が全くない。そして思わず笑ってしまう、ウィットに溢れている。
決して忘れ得ない、名女優が遺した言葉を、その折々のエピソードと共につづっています。

出口治明『0から学ぶ「日本史」講義 戦国・江戸篇』

世界史を独自の視点で解説してきた著者が日本史を説いて話題となった週刊文春人気連載の書籍化、第3弾です。 今回は歴史ファンの人気がもっとも高い「戦国・江戸」! 信長は合理的な人間だった? 「犬公方」徳川綱吉は名君だった? などなど、キリシタン弾圧から鎖国にいたるまでの波乱に満ちた戦国~江戸時代の歴史を、常識に揺さぶりをかけながら、わかりやすい例えで楽しくレクチャーします。 学生・社会人に必携の一冊です!

フランシス・ジェンセン、エイミー・エリス・ナット、  野中 香方子・訳
『10代の脳 反抗期と思春期の子どもにどう対処するか』

子どもの反抗期は脳に原因があった!?
可愛い我が子が突然別人のようになる思春期・反抗期。衝動的で集中力や根気に欠け、誘惑に弱くキレやすい。原因は未完成な10代の脳にあった。可塑性に富み、IQも上がる黄金期ながら、マイナスの影響も受けやすい。近年進んできた研究に基づき、子どもへのより良い接し方を学べる。子育てに悩む親必見の書。

ここまでお読みいただきありがとうございました。今月のおススメは平松洋子さんの『肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行』。全国津々浦々に根付いている食の歴史と文化が感じられる一級のルポルタージュです。花見のお供に是非!
ではまた、来月もよろしくお願いいたします。

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