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ぶどう農家はやめとけ?需要・将来性をデータとイラストで可視化してみた。

どもー。
分析太郎です。

今回はぶどう農家の
市場分析レポート
です。

仕事の将来性を把握する上で
市場分析は必要不可欠です。

起業するにせよ転職するにせよ、
将来性を把握しておかないと、
キャリア選択で痛い目を見ます。

なので分析太郎が、
データとイラストを駆使して、
将来性を分析しました。

それでは、見ていきましょう。

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ぶどう農家の将来性


まずは需給バランスを理解する

前編では、ぶどう農家業界の
将来性を確認していきましょう。
その前に、需給バランスについて説明します。

世の中には様々な市場があり、
その中でお金が取引されています。

そして市場の中には、
供給(事業者)需要(お客様)
存在します。

これらを釣りで例えるなら、
市場=釣り堀
供給=釣り人
需要=狙っている魚
と言えます。



そして、需要と供給にはバランスがあります。
イラストにするとこんな感じです。



本レポートでは、
ぶどう農家市場が4つのうち
どこに分類されるかを、
行政機関と業界団体のデータを
フル活用して考察していきます。

それでは、本題に話を移しましょう。


ぶどう農家市場の供給の推移

それでは、ぶどう農家市場の
需給バランスを確認しましょう。
まずは供給から確認します。

ぶどう農家を経営している
経営体がどれくらいいるのか
確認してみましょう
(経営体の定義はこちら)。

グラフを作成しました。


ぶどう経営農家の推移(2005~2020・16年間)
出典:農林業センサス(農林水産省)


ぶどう農家さんは減少傾向でした。
15年間で14,555経営体(34.9%)
減少
しています。
かなり減ってるようですね…。

それに伴い、
作付け面積も減少しています。
グラフを作成しました。


ぶどう作付け面積の推移(1973~2021・49年間)
出典:作物統計調査(農林水産省)


あららら〜。。。
1980~2020の40年間で
12,600ヘクタール(41.6%)減少
しています。

東京ドーム一個あたりが
だいたい4.7ヘクタール
らしいので、
東京ドーム約2,680個分の面積が
減少したことになるっぽいです
(イメージ沸くかな…😅)。


まぁまぁの面積なくなってますね


当然ですが、
作付け面積の減少に伴って、
収穫量も減少していました。
グラフを作成しました。


国内のぶどう収穫量の推移(1973~2022・50年間)
出典:作物統計調査(農林水産省)


収穫量の最盛期は1979年で
約352キロトン収穫されていました。
ところが2022年は162キロトンでした。
53.8%減少しています。

前年比増の年もあるものの、
全体傾向としては減少しつつ
あるようです。

仮にこの推移が2030年まで続くなら、
2030年には132キロトンまで
減少する見込み
です。

グラフを作成しました。


国内のぶどう収穫量の推移(1973~2022は実測値、2023~2030は予測値)
※実測値にFORECAST.ETS関数を当てはめて算出

出典:作物統計調査(農林水産省)


国産の美味しいぶどう、
食べれなくなっちゃうのかな…( ;  ; )

では、ぶどう農家はなぜこうも
激しく減少しているのでしょうか。
考えられる最も大きな理由は
高齢化・人手不足による廃業の増加
でしょう。

この傾向は、
ぶどう農家に限った話ではありません。
農業全体を通して抱えている課題です。

特に高齢化はかなり進んでおり、
2020年時点の農業従事者全体に占める
60代以上の割合は、なんと約8割でした。

グラフを作成しました。

年齢層別・基幹的農業従事者の割合(2020)
出典:R3 食料・農業・農村白書(農林水産省)


年齢層別・基幹的農業従事者の人数(2020)
出典:R3 食料・農業・農村白書(農林水産省)


「今のご老人は昔に比べ元気になった」と
よく言われます。
平均寿命も男女ともに伸びました。

ですがそれでも、
肉体労働メインの農業は
想像を超えてしんどい仕事なはず
です。

高齢になればなるほど、
事業承継を考える方も
多いでしょう。

ですが、
肝心の新規就農者が、
なかなか増えていません。

新規就農者の推移を
グラフにしました。

新規就農者数の推移(2014~2022・9年間)
出典:農業労働力に関する統計(農林水産省)


新規自営農業就農者
個人経営体の世帯員で、調査期日前1年間の生活の主な状態が、「学生」から「自営農業への従事が主」になった者及び「他に雇われて勤務が主」から「自営農業への従事が主」になった者をいう。

新規雇用就農者
調査期日前1年間に新たに法人等に常雇い(年間7か月以上)として雇用されることにより、農業に従事することとなった者(外国人技能実習生及び特定技能で受け入れた外国人並びに雇用される直前の就業状態が
農業従事者であった場合を除く。)をいう。

新規参入者
調査期日前1年間に土地や資金を独自に調達(相続・贈与等により親の農地を譲り受けた場合を除く。)し、新たに農業経営を開始した経営の責任者及び共同経営者をいう。なお、26年値から「経営の責任者」に加え、「共同経営者」を含めた。

農業労働力に関する統計(農林水産省)


2020年時点で
80歳以上の農家は
23万人もいるのに、
2022年の新規就農者は
5万人に及びませんでした。

これではますます、
農業従事者全体の数は
減少していくことでしょう。

ぶどう農家が減少している理由も、
このような背景があるからでは
ないでしょうか。

さて、供給のデータを
簡単にまとめると、こうです。

・ぶどう農家の数は減少傾向
・ぶどうの作付け面積も減少傾向
・高齢化と人手不足の影響により、
 更なる減少が予想される

つまり、ぶどう農家市場における供給力は
縮小していると考えてよさそう
です。

従って現時点では、
先ほどの四分類では
このどちらかに分類されるのでは
ないでしょうか。



では、需要はどう
推移しているでしょうか。
確認していきましょう。


ぶどう農家の需要の推移

それでは、
ぶどう農家市場の
需要がどう推移しているか
確認していきましょう。

ぶどうは大きく分けて
①生食用品種
②加工用品種

の2つに分類されます。

ざっくりいうと、
・生食用:一般家庭用
・加工用:業務用

みたいなイメージです。

そして、国内のぶどう収穫量のうち
8割は生食用だそうです(ソースはこちら)。
従って、今回は生食用に焦点を当て、
一般家庭の需要をメインに分析します。
(後半で加工用の需要も確認します)。

そして、一般家庭の需要は、
ぶどうの購入数量の推移」で
判断することにします
(購入金額だと市場価格変動の
影響を受け、参考にならないため)。

では、ぶどうを確認する前に…
まずは果物全体の購入数量の推移
確認しましょう。

グラフを作成しました。


世帯あたり年間・生鮮果物の平均購入数量の推移(2000~2022・22年間)
出典:家計調査(総務省)


日本人の果物購入数量は
減少傾向にありました。

2000年時点と比較して
35.2kg(34.2%)少なくなっています。

実は10年近く前から
日本人の「果物離れ」
指摘されていました
(こちら2014年の記事です)。


こちらの記事によれば、

・皮をむく手間がかかる
・日持ちがしない
・価格が高い

などの理由から、
果物を食べない人が
増えているようです。

僕は毎晩、バナナ・小松菜・牛乳を
ぐちゃぐちゃにして飲む習慣が
あるんですが、バナナ以外の果物は
ほとんど買わないですもんね。
だって高いんだもん…😭

しかしながら、
これはあくまで果物全体の推移です。
調べてみたら、キウイなんかは
購入数量が増加
していました。

グラフを作成しました。


キウイフルーツの購入数量の推移(2005~2022・17年間)
※キウイフルーツは2005年から統計が取られていた

出典:家計調査(総務省)


キウイは日本の果物業界を
牽引してくれているようです。
(参考記事はこちら👇)


では、肝心のぶどうはどうでしょうか。
確認してみましょう。
グラフを作成しました。


ぶどうの世帯あたり年平均購入数量の推移(2000~2022・22年間)
出典:家計調査(総務省)


あちゃ〜。
ぶどうの購入数量は
減少傾向
でした。

2000年時点と比較して
世帯あたり年間購入数量は
1.2kg(37.3%)減少しています。
こりゃしんどいですね。。。

考えられる大きな理由は、
やはり価格の上昇でしょうか。

家計調査(総務省)は、
様々な果物の100gあたりの価格を
記録しています。
その中から、ぶどうのデータをもとに
作成したグラフがこちらです。


ぶどう100gあたりの価格の推移(2000~2022・22年間)
出典:家計調査(総務省)


ぶどう100gあたりの価格は、
特に2012年頃から上昇傾向
ありました。

2000年時点の価格と比較して、
55.6円(60.0%)高くなっています。

ぶどうはひと房につき
約350グラムですから、
単純計算で195円ほど値上がり
していることになります。

さらに、輸送コストなどが嵩めば、
もっと割高になるでしょう。

なかなか手が出ないですよね、
この価格だと。。。

それもそのはず、
ぶどうは主要な果物の中で、
100gあたりの価格が
かなり高いんです。

グラフを作成しました。


種類別・果物の100gあたりの価格(2022)
出典:家計調査(総務省)


僕がバナナばっかり買う理由が
よくわかります( ^ω^ )

問題は、この物価上昇が
今後も続くのかどうかです。

ニッセイ基礎研究所の調査では、
予想物価上昇率(予想インフレ率)は
概ね上昇する
と分析しています。

もちろん、このようなサーベイに基づく予想インフレ率において、予想されるインフレの水準には各調査で大きなばらつきがあるし、各調査の回答者ごとの予想のばらつきも小さくないものの、上昇する方向で推移していることは概ね同様といえる。

日本の物価は持続的に上昇するか - 消費者物価の今後の動向を考える(ニッセイ基礎研究所)


特にウクライナ戦争以降、
ものの値段の変動を示す指標である
食料の消費者物価指数は、
急上昇
しています。

農林水産省のグラフを引用しました。


我が国における食料の消費者物価指数の推移(2012~2023・11年間)
出典:食品の価格動向(農林水産省)


そしてウクライナ戦争は
何だか泥沼化しつつあり、
まだ明確な終戦の目処が立たない状況です。
こりゃしんどいっすね…。

話が長くなっちゃいました。


ぶどうを作るのは日本人だけではない

日本人は少しずつ
ぶどうを食べなくなっていることを
理解しました。
特に国産ぶどうは価格が高いので、
手が出しづらい状況になっています。

そこにさらに、追い打ちが入ります。
それはぶどうの輸入です。

当然の話ですが、
ぶどうを作るのは日本人だけ
ではありません

(そもそもぶどうの発祥は
日本じゃないですしね…(・∀・; ))。

外国でもぶどうは作られていて、
それが日本に輸入されています。

日本のぶどう農家さんにとっては、
需要を奪い合う強敵です。

では、海外のぶどうは
どれくらい輸入されているのでしょうか。
ぶどうの輸入量の推移
グラフにしました。


ぶどうの輸入数量の推移(2004~2023・19年間)
出典①:H17 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典②:H18 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典③:H19 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典④:H20 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑤:H21 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑥:H22 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑦:H23 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑧:H24 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑨:H25 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑩:H26 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑪:H27 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑫:H28 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑬:H29 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑭:H30 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑮:R1 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑯:R2 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑰:R3 農林水産物輸出入概況(農林水産省)
出典⑱:R4 農林水産物輸出入概況(農林水産省)


おやおや?
2019年までは増加傾向でしたが、
2020年以降、輸入量は
減少しつつある
ようです。

輸入国について
詳しくみてみましょう。

日本の入ってくるぶどうは
・オーストラリア
・アメリカ
・チリ
・メキシコ
の4カ国のもので9割以上を占めます。

それぞれの国からの
輸入量の推移をグラフにしました。


ぶどう(生鮮)の輸入量の推移(2019~2023・5年間)
出典①:R1 農林水産物輸出入統計(農林水産省)
出典②:R2 農林水産物輸出入統計(農林水産省)
出典③:R3 農林水産物輸出入統計(農林水産省)
出典④:R4 農林水産物輸出入統計(農林水産省)
出典⑤:R5 農林水産物輸出入統計(農林水産省)


どうやら、
アメリカとオーストラリアからの
輸入量が減少傾向
にあるようです。

アメリカでは2020年の山火事被害が
生産量減少に繋がったみたいです
(ソースはこちら)。

いずれにしても輸入の総量は
減少傾向にあるということで
間違いなさそうです。

これは日本のぶどう農家産にとっては
いい傾向だなと思ったのです、、、が。

もう一度グラフを見てください。
2022~2023にかけて、
「その他」の輸入量が
増加している
ことがわかります。

データそのまま見た方が
わかりやすいですね。
表を作成しました。


ぶどう(生鮮)の輸入量の推移(2019~2023・5年間)
出典①:R1 農林水産物輸出入統計(農林水産省)
出典②:R2 農林水産物輸出入統計(農林水産省)
出典③:R3 農林水産物輸出入統計(農林水産省)
出典④:R4 農林水産物輸出入統計(農林水産省)
出典⑤:R5 農林水産物輸出入統計(農林水産省)


どこの国やねん!と思ったら…
ペルーからでした。


ペルーは南米の西側だよ〜
出典:google map(google)


実はこのペルー、
世界で最も生鮮ぶどうを
輸出する国らしくて…、

2023年3月に
対日輸出が可能となりました😭
(2023/09の情報です👇)


つまり何が言いたいかというと、
米&豪からの輸入量が減少しているから
といって、日本のぶどう農家さんは
うかうかしてらんない
、ということです。

その理由は、今後世界最大の
生鮮ぶどう大国からの
輸入が見込まれる
からです。

(個人的には、
安易に海外産をバカバカ入れると、
日本の農家さんが窮地に立たされるので
やめてほしいんですけどね)


ぶどうを食べるのは日本人だけではない

さて、色々書いてきましたが、
今までの需要データは全て日本国内に
関するものです。

これもまた当然ですが、
ぶどうを食べるのは日本人だけ
ではありません。
外国の方だって食べます。

そしてどうやらここ数年、
日本の果物は海外人気が
すごいようです。

日本の果物輸出量の推移を
グラフにしました。

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