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Diracの一般相対論を読む

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Diracの"General theory of relativity"を読んでノートを作っていく。
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"General theory of relativity"(Dirac)を読む17

"General theory of relativity"(Dirac)を読む17

過去の記事はこちら。

17章は重力赤方偏移効果について。

静的な重力場で、静止した原子が単一な放射を出している状況を考える。その光の波長には決まった有限な世界長$${\Delta s}$$が対応する。今、原子は静止しているので、16章で使った様な静止系の座標系を用いると

$$
\Delta s^2=g_{00} \Delta (x^{0})^2
$$

となる。$${\Delta x^0}

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む16

"General theory of relativity"(Dirac)を読む16

Chapter 16は"The Newtonian approximation"。ニュートン力学から一般相対性理論へのフィードバックを見ていきます。

静的な重力場を考え、それを静的な重力場を用いて取り扱うことにする。計量$${g_{\mu\nu}}$$は時間に対して定数であり、すなわち、$${g_{\mu\nu,0}=0}$$である。さらに、対角成分は0とする。

$$
g_{m 0}=0, \

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む15

"General theory of relativity"(Dirac)を読む15

これまでの記事はこちら。

Chapter15は”Einstein's law of gravitaion”.アインシュタインの重力理論の話である。これまでは、測地線方程式の話を除いて、数学的な準備を行ってきたが、いよいよここからは物理的な話に入っていく。ちなみに、これまでの数学の話は19世紀には整備され、任意の次元の曲がった時空に応用される話だった。

時空の次元は、

$$
g^{\mu}_{

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む14

"General theory of relativity"(Dirac)を読む14

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Chapter14は``Ricci tensor”。ようやく一般相対性理論を理解するための数学的準備が終わる。

$${R_{\mu\nu\rho\sigma}}$$の2つの添字を縮約する。反対称な添字で縮約を取ると、結果は0になる。一方、その他の添字の場合、式(11.4)、(11.7)、(11.8)という対称性のため、結果は符号の違いを除いて同じとなる。

今、最初と最後の

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む13

"General theory of relativity"(Dirac)を読む13

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Chapter13は"The Bianci relations"。ビアンキ恒等式について取り扱う。

テンソルが2つのベクトル$${A_{\mu},B_{\tau}}$$の積で表される場合を考える。このとき、2階の共変微分は以下の様になる。

$$
\begin{aligned}
\left(A_\mu B_\tau\right)_{: \rho: \sigma} & =\

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む12

"General theory of relativity"(Dirac)を読む12

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Chapter 12は"The condition for flat space"ということで平坦な時空の条件について。

時空が平坦なら、斜交座標を選ぶことができ、また計量テンソル$${g_{\mu\nu}}$$を定数に取ることができる。すると、計量テンソルの時間微分からなるクリストッフェル記号は0になり、さらに曲率テンソルも0になる。すなわち、平坦な時空の場合、曲率テン

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む11

"General theory of relativity"(Dirac)を読む11

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前回は、曲がった時空での微分である共変微分を導入した。chapter 11は"The curvature tensor"という見出しである。

そもそも、何故、共変微分を考える必要があるかというと、時空の歪みを考慮する必要があったわけだからだが、そもそも時空の歪みをどうやって定量的に表すか?それを今回見ていく。

2つの量の積の共変微分に対して、式(10.8)が成り立つのを

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む10

"General theory of relativity"(Dirac)を読む10

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Chapter 10はcovariant differentiation、共変微分について。

$${S}$$がスカラーの時、その微分$${S_{,\nu}}$$は共変ベクトルになるのは、Chapter 3で見た。では、ベクトル場$${A_\mu}$$の微分はどうか?$${A_{\mu,\nu}}$$はテンソルになるのか?

$${A_{\mu}}$$から$${A_{\mu

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む9

"General theory of relativity"(Dirac)を読む9

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Chapter9は始点と終点を固定した経路で、経路をわずかに変化させた場合の測地線について考える。

図の様に始点と終点を固定した状態の経路(ただしヌルではない)において、$${\int ds}$$は始点と終点を固定した状態で経路が微小変化しても保存する。以下、これを見ていく。

それぞれの点が座標$${z^{\mu}}$$で表される経路を考える。この経路が軌道に沿って$${

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む8

"General theory of relativity"(Dirac)を読む8

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chapter7ではクリストッフェル記号を導入して、曲がった時空での平行移動を与えた。chapter8ではgeodesics(測地線)、曲がった空間での軌道を取り上げる。

ある座標$${z^{\mu}}$$を考え、軌道に沿って運動する場合を考える。この時、その軌道の変化じゃパラメータ$${\tau}$$を用いて、$${dz^{\mu}/d\tau=u^{\mu}}$$と表

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む7

"General theory of relativity"(Dirac)を読む7

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前回、曲がった空間での平行移動について紹介した。

曲がった空間での平行移動は次の形で与えられる。

$$
d A_\nu=A^\mu y_{, \mu}^n y_{n, \nu, \sigma} d x^\sigma\tag{6.7}
$$

Chapter7では、Chirstoffel symbolを導入し、曲がった空間での平行移動をよりフォーマルな形で書き直す。

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む6

"General theory of relativity"(Dirac)を読む6

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Chapter 6は"Parallel displacement"について。曲がった空間での「平行移動」の話。

そもそも平行移動とは何か?ある2点PとQが与えられた時、この2点間を結ぶ経路を定義することができる。このとき、「2つの平行移動されるベクトルの角は一定に保たれる」+「ベクトルの大きさは変化しない」という2つの要請から「平行移動が」定義される。

平坦な空間だと、

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む4&5

"General theory of relativity"(Dirac)を読む4&5

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少し日が空いてしまいましたが、第4回目の記事です。今回はchapter 4 & 5を取り扱います。

Chapter 4は"Nontensors"です。ここの話は比較的簡単で、$${N^{\mu}_{\nu\rho}}$$の様な一見、テンソルに見える量でも、式(3.6)で見たような$${T^{\alpha^{\prime} \beta^{\prime}}_{\gamma^{

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む3

"General theory of relativity"(Dirac)を読む3

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Chapter 3 "Curvilinear coordinates"

chapter3では”Curvilinear coordinates”、すなわち曲線座標系の話を見ていく。

時空上(原文ではspaceと書いているが、後述の様に4元ベクトルを考えるのでは、時空という意味か?

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