3Dプリンターと資材循環で実現するネオ・スクラップ&ビルド@LIFULL HUB|レポート

11月12日、ある展示会に参加した。
それは、東京都千代田区麹町にある「LIFULL HUB」で開催中の

「RECAPTURE exhibition vol.01 〜3Dプリンターと資材循環で実現するネオ・スクラップ&ビルド〜 ( LIFULLHUB企画展示会-視点を変えるあたらしい発想- )」

という展示だった。

この展示のタイトルには、「3Dプリンター」「資材循環」「ネオ・スクラップビルド」と、とても興味深い言葉が並んでいる。今回は、これらの言葉が「視点を変える新しい発想」にどう結びつくのか少し考えてみたい。

古くて新しい物質「酢酸セルロース」

ところで、この記事を読んでいる皆さんは「酢酸セルロース」という物質を知っているだろうか?今展示では、この物質のもつ「新たな可能性」が展示されているといっても過言ではない。

実は、この「酢酸セルロース」は1929年に開発された。その後石油由来のプラスチックが台頭するまで、映画のフィルムや包装容器などに使用されてきた。

そして何より、この物質には生分解性があるのが大きな特徴だ。例えば、ペットボトルは完全に分解されるまでに数百年かかる場合があるが、こちらは1年から3年で分解されるというデータがある。

「新たな可能性」とは、石油由来のプラスチック素材に地位を奪われたように見えた「酢酸セルロース」に今展示が再び脚光を浴びせているという点である。

3Dプリンターとサステナビリティ

展示場では、今展示の中心人物である株式会社 NODの遠藤さんがとても親切に、丁寧にわかりやすく説明をしてくれた。

彼と話している中で、とても興味深いワードを聞いた。それは、

「3DプリンターとSDGsは相性がいい」

というワードである。これには様々な意味が含まれているが、私はシンプルに受け取った。どういうことか。

3Dプリンターで作られたものは、もう一度粉砕してペレット状に戻せば再び素材として再利用が出来る。さらに、3Dプリンターで生み出せないプロダクトデザインはない。

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つまり、3Dプリンターのこれらの特徴が、非常にシンプルにSDGs、ひいてはサステナビリティに結びついているということだ。


同じ素材を何度でも使いまわすことが出来て、廃棄物が生じない。そして、私たちのアイデアをいつでもどこでも実現してくれる。環境にはもちろんのこと、私たちの創造性も持続可能にしてくれている。

この考えは、興味深い言葉「資材循環」と「ネオ・スクラップビルド」を理解するうえでも役に立つと思う。

きっかけ×であい=新たな視点

遠藤さんは、今展示のきっかけについて話をしてくれた。またこれが興味深かった。

遠藤さんの所属する株式会社 NODは空間デザインや設計を行う会社である。そこに、とあるクライアントから「10年後の当たり前」を提案してくれ、という依頼があった。

また、ちょうどその頃「酢酸セルロース」を扱う会社との交流が生まれていた。さらに、同時期に3Dプリンターを用いたプロジェクトが進行していたようである。

すると自然に、生分解性のあるサステナブルな素材「酢酸セルロース」を用いて「3Dプリンター」で何か作ってみよう、となるのは容易に想像がつく。

その結果生まれたのが、今回の家具だ。

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では、このきっかけとであいは、どんなところが新たな視点だったのだろうか。

それは、これまでの「酢酸セルロース」の使われ方にヒントがある。この物質は、先にも紹介したように家具のような大きなもの、ではなくフィルムや包装容器に使われてきた。つまり、小さなものにしか使われてこなかった。その当たり前を、「新たな視点」によって打破したのだ。3Dプリンターというとても現代的なテクノロジーを用いて、大きな家具をつくることによって。

この視点は、家具だけにとどまらず、「建築」やその先にある都市に向けられている

しかし、現在の日本の法律では、3Dプリンターの技術を建築に応用することは許されていない。今度は、この課題に新たな視点で取り組み必要があると思う。

おわりに

短い時間しか、滞在できなかったが個人的にはとても示唆に富んだ情報をたくさん得ることが出来た。

冒頭で触れた「視点を変える新しい発想」とは、つぎの「当たり前」を生み出すことだと私は考える。
そのためには、様々な言葉や考えを生み出し、実際に行動することが重要になってくる。これこそもはや当たり前のことだが、実際にやろうとすると難しい。

何故難しいか。それは、これまでの「当たり前」が私たちにはしっかりしみついているからである。ついつい、「いままでこうだったから」といって、ほんの少しでも立ち止まることなく、ついつい日々を過ごしてしまいがちだ。

そんな、私たちのこれまでの「当たり前」に対して「新たな当たり前」に気づく「きっかけ」をくれるのが今回の展示だったのではないかと思う。

今展示は、11月14日(日)まで開催されている。ぜひ、興味を持った方は足を運んでみてほしい。

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