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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #27 【25日目】久々の都市レオンで大聖堂&ガウディ見学〜レオナルドとタパスバー巡りの夜

こんにちは、ナガイです。今日はマンシージャ・デ・ラス・ムラスからレオン(León)へ向かいます。
前回の記事はこちら。

天気予報(レオン) 曇り 最高気温20℃ 最低気温7℃

5時半起床。今日のアルベルゲの部屋は16人部屋で、AirPodsのノイズキャンセリングでシャットアウトすればほとんど気にならないが、何人か強烈ないびきと咳をする人がおり、まるで動物園のような一夜だった。5時間睡眠で十分に眠れたのかよく分からないが、目が冴えてしまったので起きる。
6時半前に出発。”サンティアゴの扉”を通って今日の巡礼を開始する。

エスラ川にかかる橋を渡り、町を抜ける。

今朝は昨日までと比べると寒さが和らぎ、手袋を着けなくても大丈夫そうだ。

東の空がすでに明るくなり始めているが、車も通る道なので歩行者がいることを知らせるためにライトを点けて歩く。

咳がまだ出る。レオンで薬局に行ってみて、もし良さそうな薬がなければ時間はかかりそうだが自然治癒を待つことにしよう。

国道沿いの道が無駄に広いこと以外は今日も昨日までと同じように代わり映えしない景色の中をただひたすら歩く。朝焼けが淡いパステルカラーのような色合いできれいだ。

7時半頃にルートの分岐点に行き当たる。といっても300mほどしか変わらないようで、長い2.0kmの方がおすすめの歴史的なルートみたいなことが書いてあるので、そちらを歩いてみることにする。

歩いた先には教会とバルのある一角があった。バルが開いていれば立ち寄りたかったが閉まっていたので先へ行く。

再び国道沿いのルートに合流して歩いていると右手から太陽が昇ってくる。

8時前にプエンテ・ビジャレンテ(Puente Villarente)の町を通過。町の名前に橋(Puente)と付いているだけあって橋が特徴的だ。

朝の町を人々が動き始める気配を感じながら歩くのは、そこに住んでいる人達の日常を覗き見ているようで楽しい。ゴミを捨てに行きがてら犬の散歩をしていた男性に「ブエンカミーノ」と言われ、その律儀さと寝巻き姿とのギャップがなんだかおかしかった。

町を抜けてしばらく歩くと牛がいた。レオンが近いということもあり、すっかり都会にいるような感覚になっていたため、このタイミングで牛を見るのはなんだか不思議な気分だった。

9時前にアルカウエハ(Arcahueja)の村に到着。

バルなどもなさそうなのでベンチで休憩を取ることにする。今日は天候が良く最高の巡礼日和だったため、つい調子に乗って2時間半ほど休みなしで歩いてしまった。さすがに少し疲れたので長めの休憩を取ることにする。朝食はミックスナッツ&ドライフルーツ、チョコチップクッキー、水。猫がやってくる。

猫はしばらく周りでウロチョロしていたのだが、不意にダッと走って逃げていく。なんだろう?と思って猫の逃げた方に目をやると、何やら背後に気配を感じる。バッと後ろを振り返ると、目と鼻の先の距離に三頭の巨大なロバの顔が並んでいた。思わず「うおっ!」と声を出してベンチから飛び上がって後ずさりしてしまったが、どうやら座っていたベンチの後ろはロバが飼われている庭だったようだ。

9時半前に再び出発。ここで久しぶりに道を間違える。アニータからレオンでのディナーへのお誘いのメッセージが来ており、歩きながら返信を打っていたら道標を見落としていたようだ。後ろを歩いていた4人組が大声で「おーい!こっちだよー!」と教えてくれる。なぜか道を間違えるときはいつも後ろに他の巡礼者がいてくれるから不思議だ。

9時半過ぎにバルデラフエンテ(Valdelafuente)の町を通過。ブルゴスと同じように手前の段階でなんとなく都会が近づいてきたことが分かる。

ところどころ車がビュンビュン走る車道の端を歩かなければならず、少し怖い。

10時頃にレオンの街並みが見えてきた。見渡す限り広がる大きな街に心も沸き立つ。

10時過ぎにレオンの手前にあるプエンテ・カストロ(Puente Castro)の町を通過。

マクドナルドの広告が目に入る。セットが3.50ユーロ…安い。スペインのマックも一度食べてみたいので今日のお昼はマックにしようか。

トイレに行きたかったので通りがかりにあったカフェに立ち寄る。カフェコンレチェを注文。1.50ユーロ。

レオンの街へ入る。やはり大きい街は歩いているだけで楽しい。予約していたアルベルゲの場所だけ確認し、チェックイン開始の13時まではまだ時間があるので先に薬局とランチへ行くことにする。

街中には部分的に城壁の跡が残っており、そこだけタイムスリップしたかのようだ。

アルベルゲの横に薬局があり、入口に英語が話せると書いてあったので入ってみる。店員の女性が丁寧に話を聞いてくれ、今までで一番よく自分の症状を理解してくれた様子だった。そこで、過去に急性気管支炎になった時に処方された吸入ステロイド薬を買えないか聞いてみたところ、処方箋がないと売れないとのことで、代わりに液体タイプの咳止め薬を勧めてくれた。喉ではなく気管からくる咳なので、これだと効果がなさそうなのは薄々分かりつつも、親切に対応してくれたお礼も込めて買うことにした。8.60ユーロ。もう薬局ではこれ以上を望むことはできなさそうなので、あとは自然に治るのを待とう。

そして、来てしまった。ベルネスガ川沿いにあるレオンのマクドナルドだ。ちょうど10分後の12時オープンだったため、テラス席で開店を待った。

店内での注文は日本のように店員がカウンターで受けるのではなくタッチパネル式だ。

マックスパイシーチキンのマックフルーリー付きのセットを注文。10.52ユーロ。あれ、思ったより高かったが、まあいいだろう。ちなみに日本で同じようなメニューを頼もうとすると760円で、この日の為替レート(1ユーロ=148円)で換算すると5ユーロちょっとだ。こうやって比べると今の世界で何が起こっているかを肌で感じることができる。

13時を過ぎたのでチェックインをしに戻ると、アルベルゲの前でリンジーと遭遇した。久々の再会だ。彼女は足を怪我してしまったらしく、今日これから病院に行き、それからバスで先に行っているグループの仲間達と合流するそうだ。偶然にも彼女は同じアルベルゲに泊まっていたようで、ちょうどアルベルゲへの入り方が分からず困っていたところだったのでドアの解錠の仕方を教えてもらい、中へ入ることができた。

このアルベルゲはBooking.comで評価が高かったが、確かに立地もよく、ホストの男性も気さくな人だったが、設備がそれほどいい訳でもなく、個人的には必ずここに泊まりたいというほどではなかった。

シャワーと洗濯を済ませ、昼寝をしてから16時過ぎに街へ出る。アルベルゲから歩いてすぐのところにレオン大聖堂がある。通りを抜けると急に巨大な大聖堂が目の前に出現し、その迫力に驚く。大聖堂の近くにある観光案内所でクレデンシャルにスタンプを押してもらう。

せっかくなので大聖堂の中を見学する。入場料は7ユーロ。

大聖堂の中に足を踏み入れた最初の一歩目で、壮麗なステンドグラスに見とれてしばらく動けなかった。この美しさと迫力はどう頑張っても写真に収めることはできない。

見て回っていると大聖堂の中でアニータ、ウリーと出くわした。ちょうど彼らも大聖堂を見学しに来たようだ。彼らは来たばかりのようだったので、もう一周してから大聖堂の外で彼らが出てくるのを待った。

アニータ、ウリーと大聖堂の入り口付近で合流し、アニータが近くにガウディの建築があるというので一緒に見に行くことになった。アニータはガウディが好きなのだそうだ。ウリーはディナーの時間まで別行動するというので一旦別れる。そのガウディ建築はカサ・ボティネスという建物で、泊まっているアルベルゲのすぐ近くにあった。

以前は銀行として使われていたそうだが、現在は建物の中がミュージアムになっている。アニータはミュージアムを見たいそうなので一緒に入る。入場料は8ユーロ。ここでも入り口でクレデンシャルのスタンプをもらう。

ガウディ建築を見るのは初めてだったが、迷路のようで自分がどこにいるか分からなくなるような間取りから、階段の手すり一つのデザインに至るまで創造性と遊び心に溢れていて、建物の中にいる間はワクワクしっぱなしだった。

ミュージアムを出てから改めて建物のファサードを見ると、先ほどとはすっかり見方が変わり新たな発見もあって面白い。アニータによればこの先のアストルガ(Astorga)にも別のガウディ建築があるそうなので今から楽しみだ。

約束していたディナーの時間である18時を過ぎていたため、ウリーへ連絡して大聖堂近くで合流すると、犬を連れた背の高い男性がいる。彼はイタリアから来たレオナルド。なんと彼は飼っている犬と一緒にスペイン巡礼をしているそうだ。犬の名前はシカ、オスの4才。名前の由来はナルトの登場人物シカマルから来ているそうで、レオナルドは日本のアニメや文学が好きなのだそうだ。

みんなで街を歩きながらタパスバーを探すが、この時間はどこもシエスタ中で開いている店がなかなか見つからなかった。とあるバーの入り口には「営業時間 オープン:私達が来た時 クローズ:私達が帰る時」と書いてあり、スペイン人の性格をよく表していて面白かった。

19時を過ぎたところでようやく一軒のバーがオープンしたので待ってましたとばかりに行く。おつまみとビールを注文し、みんなで乾杯する。ビールは多分オランダで飲んで以来だ。ベーコンとポテトにチーズがかかったおつまみがとてもおいしく、酒のお供に最高だった。ウリーが食べ終わった後のチーズだけ残った皿を両手で持ち上げて舐めていて、そのはしたない様子が面白くてみんなで笑いながら写真や動画を撮った。

一軒目のバーを後にすると、他のバーも続々とオープンしているようで街は賑わい始めていた。すでに時間は20時近くになっており、ここでアニータとウリーはスパを予約しているらしくホテルに戻らなければいけないという。今日が初対面のレオナルドとまさかの2人きりになるという状況でどうしようかと思ったが、レオナルドは二軒目に行く気満々だったので、アニータとウリーに別れを告げてレオナルドと一緒に二軒目を探すことにした。

二軒目のタパスバーではサルモレッホ(Sarmorejo)というトマトベースの冷製スープとビールを注文。サルモレッホは個人的には普通だったが、レオナルドはイタリア料理に似ていると言って気に入った様子だった。彼はネイティブスピーカーとも普通に会話できるほど英語が流暢だが、普段そうした人と話す時に自分の英語が拙いことで感じる劣等感や申し訳なさのような気持ちを、彼と話す時には不思議と感じなかった。そうしたことも手伝ってか、彼とは今日会ったばかりなのに前から知っている友人のように込み入った話まですることができた。

お互いすっかり打ち解けて三軒目に行くことに。レオナルドはスペイン語も多少話せるため店員におすすめのタパスを聞いてくれて、パロマ(Paloma)という柔らかいせんべいのようなパンにトッピングを乗せた料理とサングリアを注文。パロマのトッピングはポテト&チーズと魚があり、お互い一つずつ食べた。自分は両方とも好きだったが、レオナルドは魚の方が好きだと言っていた。この頃には自分でもかなり酔っているのが分かったが、それは彼にすっかり心を許している証拠でもあるのだろうと思った。

二軒目と三軒目の会計はレオナルドが払ってくれていたため自分の分を彼に払おうとすると、今日は彼がおごると言ってくれた。一軒目もウリーかレオナルドが払ってくれていたので、今度きちんとお返しをしよう。

21時半頃にアルベルゲ近くでレオナルドと別れ、部屋へ戻る。今日は今回の巡礼で一番よく飲み、よく喋った楽しい日だった。22時就寝。

歩いた距離
今日20.0km 合計468.7km 残り311.7km

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