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私のスペイン900km巡礼記 in 2023春 #26 【24日目】自分で歩くと決めたから歩くのが楽しい、マンシージャ・デ・ラス・ムラスへ

こんにちは、ナガイです。今日はベルシアノス・デル・レアル・カミーノからマンシージャ・デ・ラス・ムラス(Mansilla de las Mulas)へ向かいます。
前回の記事はこちら。

天気予報(マンシージャ・デ・ラス・ムラス) 雨 最高気温17℃ 最低気温6℃

5時半過ぎに起床。咳がしつこく残る。昨日薬局で症状を説明する際に咳の他に鼻も少し出ると言ってしまったので、普通の風邪薬を処方されてしまったかもしれない。咳だけ出ると言えばよかった。咳が出ると体力を消耗するのと、なによりアルベルゲの同じ部屋の人達にとって騒音になってしまうので早く治めたい。明日の目的地であるレオンは大きな街なので改めて薬を買いに行こう。
6時過ぎに出発。泊まっていたアルベルゲはベルシアノス・デル・レアル・カミーノの村の手前にあったため、歩き始めてすぐに村を通過する。

今日は気温こそ低くないものの、空には薄雲がかかっていて風も少し吹いている。今日は午後から降水確率は低いが雨と強風の予報になっている。早めに目的地へ到着しておきたいところだ。

今日も風景の変化には乏しいが、それも慣れた。やはり最終的に巡礼を楽しめるかどうかは自分次第なのだろう。今はこの何でもない道を歩いているだけで楽しい。また、それは誰かに歩けと言われて歩いているのではなく、自分で歩くと決めて歩いているからでもあるだろうと思った。

7時を過ぎて辺りはすっかり明るくなってきた。お腹が空いてきた。お腹が空くのは元気な証拠だ。

7時半過ぎに太陽が顔を出し、目の前の木々や道標をオレンジ色に照らしていく。

8時前にエル・ブルゴ・ラネロ(El Burgo Ranero)の村へ到着。

バルがあるので朝食を取ることにする。ベーコンとチーズのボカディージョ、バナナ、カフェコンレチェを注文。7.20ユーロ。ここのボカディージョは注文を受けてからベーコンを焼いて作ってくれるので熱々でおいしい。用も済ませて8時半前に再び出発。

バルを出てすぐのところに見える教会の上に何やら大きな鳥がいる。コウノトリだ。教会の塔の上に巣を作っているらしい。

縁起の良いものを見たなと思って歩いていたら足元に犬がすり寄ってきた。首輪を付けているが周りに飼い主が見当たらないことからすると、放し飼いにされているか、あるいは捨てられてしまったのかもしれない。

進行方向の左手に見える西から南にかけての空は雲が少なく青空も見える。一方、右手に見える東から北にかけての空は薄暗い雲で覆われている。風が冷たく肌寒いので左手の天気にもう少し頑張ってほしい。

9時を過ぎた頃から段々と雲行きが怪しくなってきた。今後の天候次第ではマンシージャ・デ・ラス・ムラスではなく一つ前の村で泊まることも考えよう。

しばらくするとポツポツ雨が降り始めてきた。すぐに止むかもしれないが今のうちにレインウェアの上だけ羽織り、バックパックのレインカバーを付けておく。

それから雨は強まることもなく、止んだり降ったり、たまに雲の切れ間から陽の光が差し込んだりと、天候は不安定に変化していった。

10時過ぎにビジャマルコ(Villamarco)の村の入り口を通過。ここは巡礼路が村の中を通っている訳ではなく、巡礼路から外れて少し歩いた場所にある村だ。遠くに家並みが見えるが、素通りして先へ行く。

遠くに列車が走っているのが見える。代わり映えしない景色の中を歩いていると、列車が走っているだけでテンションが上がる。

11時過ぎにレリエゴス(Reliegos)の村を通過。天気も何とか持ちそうなので予定通りマンシージャ・デ・ラス・ムラスまで歩くことにする。

風が強くなってきた。体に吹きつける風と共に一気に疲労感が押し寄せて来る。再び精神力が試されているようだ。

今思えば9日前のサント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダ〜ベロラド間の強風の中を歩いた辺りから体調が悪化し始めたので、風を侮ってはいけない。今日はゆっくり休むようにしよう。

12時半前に今日の目的地であるマンシージャ・デ・ラス・ムラス(Mansilla de las Mulas)の町に到着。

一軒目のアルベルゲには表に満室の貼り紙があった。うーん、今回は予約しておくべきだったか。この辺りの勘所はまだ掴めていない。二軒目のアルベルゲに行き、こちらは空いていたのでチェックインする。宿泊代は15ユーロ。

ベッドメイキングをしながら、ちょうど同じタイミングで着いた女性と話をする。彼女はオーストリアのエリザベス。二人ともまず口をついて出たのが「今日は風やばかったよね」という話だ。互いに共通の経験があるとすぐに打ち解けることができる。彼女が少し喉が痛いというので風邪薬を分けてあげた。また、シャワー後にドライヤーで髪を乾かしていると、それを見たエリザベスが「自分のドライヤー持ってきてるの!?」と驚いた様子だったので、「みんな驚くんだよね、使う?」と言うと「使い終わったら貸してほしい。ありがとう!」とドライヤーの貸し借りをするまでになった。

シャワーが終わって部屋に戻ると、窓の外はものすごい雨と風だ。降ったり止んだりしているようだが、この荒天になる前に着いておいてよかった。15時までは雨の予報のため、とりあえずそれまではアルベルゲの中で大人しくしていよう。

アニータから「レオンにはいつ来る?私達は明日もレオンにいるよ。シカっていう犬に会えるかもね」とメッセージが来ていた。シカ?犬?よく意味が分からなかったが、「明日レオンに着くよ。ついに君達に追いつくね。その犬の飼い主は日本語に詳しいのかもね」と返信した。

16時過ぎに町へ出る。この町にはスーパーが何軒かあるが、今日は日曜なので残念ながら全て休業日で閉まっていた。さらにこの時間だとレストランやバルも開いていなかった。

町中には異様な存在感を放つ壁に挟まれた道がある。ここはかつてフランス人の道を歩く巡礼者が町へ入るために通ったことから、”サンティアゴの扉”(Puerta de Santiago)と名付けられているそうだ。元々はアーケードがあったが、今は側壁だけが残っているとのことで、12世紀にこの町はレオン王国における最初の宿泊地だったそうだ。

歩き回ってようやく村の外れにあるガソリンスタンドに併設されたコンビニのような店を見つける。水、オレンジジュース、チョコチップクッキーを購入。6.79ユーロ。レジの女性がニッコリ笑って「ブエンカミーノ」と言いながら買い物袋を渡してくれた。

アルベルゲへ戻る頃には太陽が出てきて少し汗ばむ陽気になっていた。

食事できるのがアルベルゲの1階に併設されているカフェ・バル兼レストランぐらいしかないと分かったので、遅い昼食代わりにシフォンケーキ、アイスクリーム、アメリカーノを注文。6.30ユーロ。

窓際の席でまったりしていると、今日は同じアルベルゲに泊まっているジュリアナがやってきて近くの席に座ったので少し話をする。自分も全く世代ではないが、昔ジュリアナ東京っていう伝説的なダンスホールが日本にあったんだよ、という話をすると「何それ知らなかった!クールじゃん!」と面白がってくれた。

部屋に戻ってベッドの上でゆっくり過ごし、19時過ぎに1階のカフェ・バル兼レストランへディナーを食べに行く。一皿目にスパゲッティ、二皿目に魚のフライ、デザートにヨーグルトを注文。水とパン込みで15ユーロ。ここの料理はおいしかった。

明日はこれまでの巡礼路でパンプローナ、ブルゴス、ログローニョに次ぐ人口12万人の都市レオンに向かう予定だが、良さそうなアルベルゲを事前に予約することができた。明日は歩く距離も短く、それほど早起きする必要がなくなったので、つい夜更かしをしてしまう。0時過ぎに就寝。

歩いた距離
今日26.8km 合計448.7km 残り331.7km

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