人恋しい9月|詩


 秋晴れのある日。
 車を飛ばしてフィッシングへ。
 夫の大好きな趣味だ。



 空は澄んで青く、
 シックな色で塗られた小型船が
 私たち夫婦や
 釣人つりびとの前を
 横切ってゆく。


 海では、
 さばなどの銀色の魚影が、
 素早くかけめぐるのが見える。


 良いシーズンが訪れた、
 と言い合い、
 いそいそと
 竿やバケツなどを準備する。


 9月の日曜日の午後。
 今日も、息子は
 誘っても来なかった。



 帰りの車の中。
 「よく釣れたね」と
 ふたりで微笑む。
 「また3人で来たら…」と、
 明るく計画を立てる。


 (思い出を作りたい)
 (でも…無理強いをしたくない)


 お互いに尋ねないけれど、
 きっと
 息子への思いは同じ。



 人恋しい9月。
 今日もまた、休日が終わる。




 






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