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人が辞めにくい環境作りの画期的な方法とは?



1. はじめに
現在、多くの企業が直面している課題の一つに、深刻な人材不足と離職の問題があります。

あるシンクタンクで、本音ベースの離職理由の調査によると、離職の主な原因の上位に挙げられているのは、
 ◆上司の仕事のやり方が気に入らない。
 ◆チームメンバー、先輩や同僚との人間関係が良くない。
です。

特に、マズローの欲求5段階説における「所属の欲求」、これが満たされずに、自分の居場所が見つからないことが、離職の第一の原因となっています。


2. 中小企業の現状


中小企業の経営者や管理職の多くは、大企業と比べて賃金や労働条件が劣っていることを離職の最大の原因と考えがちです。

しかし、実際にはそれだけが原因ではありません。

私の経験では、人間関係が良好で、悩んでも新人を孤立させない雰囲気があれば、たとえ賃金や労働条件が多少劣っていても、人は簡単には辞めないと言えるように思います。




3. 離職防止のための3つのポイント


では、どのようにして離職を防ぐことができるのでしょうか。

私が実践して見て費用対効果の高い、最もパフォーマンスの高い方法を3つに絞ってそのポイントをご紹介します。


① メンター制度の導入

鉄道会社などで古くから実施されているメンター制度は、新人社員にとって非常に有効です。

経験豊富な2~3年上の先輩社員が、マンツーマンで新人の相談に乗り、仕事だけでなくプライベートなことまでサポートします。新人が入社してから約1~2年間やっていただきます。

これにより、新人が職場に早く慣れ、孤立感を感じずに済むのです。
実際に、私が関与したある企業では、新人社員の離職率がこの制度の導入後に劇的に減少しました。

新人が初めての仕事で困った時にすぐに相談できる先輩がいることが、どれだけ安心感を与えるかを実感しました。



② 上司の傾聴力と質問力の強化
上司が部下の話をしっかりと聴き、適切な聴き力を発揮していただくことが、コミュニケーションの質を高める上では非常に重要です。

コーチングスキルを身につけた上司は、部下の信頼を得やすくなり、結果として部下の定着率が顕著に向上します。

ある企業で実施したコーチング研修では、管理職が部下と定期的な1on1ミーテイングの対話をする習慣を作り、これにより部下の満足度と業績がともに向上した事例があります。



③ チームビルディング活動の推進
新人の所属の欲求を満たしてあげ、居心地の良い職場環境を作るためには、チームビルディング活動が欠かせません。

例えば、週に一度のランチミーティングを通じて、上司と部下、先輩と後輩がフランクに話す機会を作ることが手っ取り早い方法で確実な効果が期待できます。

また、年に1度、長ーい自己紹介(オフサイトミーティング)の時間をチームで設けることで、メンバーのお互いの特性や価値観の理解を深め、信頼関係を築くことができます。

私が以前指導した企業では、年に二度、リーダーの方が率先して、メンバーの前で最初に心を開いて深い自己紹介を行い、話しやすい雰囲気を率先して作りながら、一人一人の子供の頃の話を15分づづ話すことで、チーム内の結束が強まり、離職率の低下やプロジェクトの成功率が高まったという成果がありました。




4. 実際の成功事例
実際に実施してきたこれらの方法により、私が社長をしていた会社では、
5年以内に入社した新人30名の方が、3年間離職ゼロを達成しました。

3年間一人も辞めなかったことは、これらの取り組みの効果を物語っています。

具体例としては、ある新人社員が家庭の事情で精神的に追い込まれ、離職を考えるような辛い時期がありましたが、メンターと上司が連携してサポートし、結果的にその社員は会社に残り続け、今では重要なポジションで活躍しています。




5. まとめ
離職防止の鍵は、人と人との関係性の質を高めることにあります。
私の長年のリーダー経験から言えば、離職の原因は多くの場合、半径3メートル以内で発生します。

職場の半径3m以内で、気軽に相談できる上司や先輩、同僚がいることで、社員は心理的に安定し、職場への帰属意識が高まります。

私のコンサルとしての持論は、
「どんなに忙しい職場でも、半径3m以内に身近に相談できる人がいれば、社員は辞めない。」
「逆に、どんなに労働条件が良くても、半径3メートル以内に信頼できる人間関係がなければ、社員は辞めて行く」そう思っています。



アドラー心理学の
「人の悩みのすべては人間関係に起因する」という考え方を基に、
具体的な関係性を深める実践方法を導入することで、
離職を防ぎ、社員の定着率を向上させることができるように思います。


読者の皆様、以上の方法をぜひ試してみてください。
人間関係の改善が、離職防止の最も効果的な手段であることを今まで以上に実感していただけるはずです。
 
 
 
 
 
 
 
 

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