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No.27/どうしようもなく感動する歌詞【松本隆 言葉の教室】(著 延江浩)

こんばんは。突然ですが、みなさん好きな作詞家はいらっしゃいますか?私は松本隆さんの書かれる歌詞が本当に好きです。シンプルに、そしてダイレクトに心に届く。「風をあつめて」「木綿のハンカチーフ」「ルビーの指環」「赤いスイートピー」「硝子の少年」…
全て初めて聞いた瞬間【好き】が溢れたし、思わず口ずさんでしまいました。そして歌詞の世界を自然と想像させるー。

手に取った理由

今日はのどかに音楽を楽しみたいと思って自由にかけていたところ、ある曲がかかりました。大好きな『風をあつめて』という曲です。その後、ランダムにしていたため『瑠璃色の地球』が…。そう、この連続でかかった曲の作詞者が松本隆さんです。その他にも『木綿のハンカチーフ』も。これらの曲は世代では無いのでオンタイムで聴いていたわけではありません。それぞれ、違うタイミングで出会って好きになって、調べたら作詞家が松本隆さんだったのです。

さて、それもありまして本日手に取ったのは、【松本隆 言葉の教室】。作詞家って一つのフレーズの中にたくさんの想いを乗せることができるし、ある特定の言葉がなくてもそれを聴いている人に想像させることができるプロ。どうしてそんなにもシンプルな言葉にまとめられているのに、心に伝わる言葉をチョイスできるのか。なにかそうできるヒントがないかなと読み始めました。

風をあつめて 蒼空を駆けたいんです 蒼空を

要約してみる

テクニックやコツとは程遠い、けれども松本隆が松本隆なりに考えてきた言葉との付き合い方について、語る。

表現とは何か。これまで生きてきた中で経験したこと、感じたこと、読んだもの、観たもの、聴いたもの、いろんなものが組み合わさって、それが、確かなリズムとバランスで形をなしたとき、人の琴線に触れる力を持つ。多くの人の心を動かしたとき、その表現は普遍となってあとに残る。

テクニックや体型にこだわるあまり、顕在意識(潜在意識の逆)によって生み出された言葉は人々の表面にしか刺さらない。そのうち新しいものと入れ変わってしまう。潜在意識に届ける言葉を出すために、まっさらな状態で望むことー。

作詞家として2000曲以上作詞し、50曲以上の曲がヒットチャート1位に。数多くの作詞をしてきた松本隆の思考の一端を知れる本。

読んでみての感想

ほくは風とか空気とか気配を大事にしています。
つまり、目に見えないけれど、本当はあるもの、です。新聞やテレビが伝えることは目に見えるものですが、そういうことはたいていどうでもよくて。活字や画面の向こうにある、目に見えないものにたどり着きたいと思ってきました。

本文「はじめに」より

まず、この方が語ると「目に見えないものにたどり着きたい」と言う言葉は、スピリチュアルでもなくて、陳腐にならずに深みのある言葉だなと感じました。

地球という名の船の 誰もが旅人

松本さんは分かりやすい情報・出来事そのものを取り上げるのではなくて、そこにあった幸せな空気、想い、気配、感動を想起させるような表現を本当に突き詰めてこられたんだと分かります。それがこんなにも人を魅力するのだというのが読んでいて分かりました。

言葉をこねくり回して何言ってるかわからない状態の歌もある中、きちんと言葉を選びながら、不必要なものは削ぎ落としていき、本当に残った『伝えたいもの』が聴いてる人に伝わる歌詞を書く。少し俳句を彷彿とさせるなとも思いました。目に見えていることの裏には何があるのか、想像力を働かせる。そうして本質にたどり着ける人になりたいと、そう思いました。

まとめ

メロディーも素晴らしいのですが、歌詞カードに指をそわせながらそのシーンを想像する。その音楽に集中する時間はとても幸せです。瑠璃色の地球なんて、美しい水平線が見えて(想像)、涙が出てしまいそうな程感動します。
ながら音楽も多いかと思いますが、たまには歌詞カードを見ながら、もしくは目を閉じて歌詞・メロディに集中してみるのはいかがでしょうか。

本日もお付き合い頂きありがとうございました。
また明日。

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