ブランドの世界観をつくるために必要なもの
起業するとき、新たな事業に取り組むとき、または商品プロモーションを行うとき、事業をされているみなさんは依頼先に迷うことがあると思います。
ブランディングはどこに依頼するか?
マーケティングはどこに依頼するか?
デザインは?
あるいは一括してどこか依頼できるところはないか?
今日は前回からのブランド世界観の構築のための依頼先のお話をしてみたいと思います。
ちなみに、繁栄しているブランドには漏れなく強力な世界観があります。
この世界観を形づくるのはマーケティングやブランディングの成果であり、デザインの精度によるものです。この3つをうまく連動させることで一貫性のある世界観がつくりあげられています。
多くの企業にとって、専門性の高いブランディング、マーケティング、デザインを内製化するのはスキルリソース的にも、予算的にもむずかしい場合が多く、外部委託が大半のケースかと思います。
このブランドの世界観の構築を行う場合、ブランディング、マーケティング、デザイン各社との連携にはそれ相当の時間と人件コストがかける必要がでてきます。発注サイドにはさらにプロジェクトの進行管理やスケジュール管理能力が必要になる上、プロジェクト規模によっては外部連携をとる専門部署の創設も視野にいれる必要があるかもしれません。
専門性 A → ブランド構築 A視点
専門性 B → ブランド構築 B視点
専門性 C → ブランド構築 C視点
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視点のズレが生まれやすい
ブランディング、マーケティング、デザインは専門性が異なるため、一貫性のある世界観を構築するのに課題があります。どのような業態、規模、商圏の事業においても、製品やサービスを広めて売るためにはこの課題をクリアする必要があります。ではこの問題を企業が解決しようとするとき、以下のリソースが必要なると私は考えています。
多くの中小企業は6以外はすべて外部委託が多いのかもしれません。それを除く5つの問題に対して解決能力を提供できる企業を分類してみました。以下はあくまで私見となり、例外もあることを前提に一般的な傾向としてみてください。
デザイン会社の場合、世の中には多種多様のデザインを提供しているデザイン会社が存在します。それぞれに専門性があり、ブランディングに関連する依頼であればブランディングデザイン会社を選ぶことが妥当です。ただ、マーケティングまで本格的に事業をひろげている会社はデザイン業界ではまだ圧倒的に少ないというのが私見です。
ブランディング会社やマーケティング会社におけるデザイン制作能力はどうでしょうか? デザインを提供するブランディングコンサル、マーケティング会社も少なからずあるようですが、基本的には外部委託にたよっているのが実情です。内製する場合は、相当のブランディングデザインスキルの高い人材を採用できない限りそのデザイン性のレベルは従来の広告、ブランディング系デザインプロダクションが提供するデザインレベルとは比べられないと思います。
では1〜5をカバーしている広告代理店か、トータルブランディング会社ですが、以下に比較表としてまとめてみました。
ご覧いただけるように、大きくことなるのはやはり発注コストでしょう。代理店のクラス、規模にもよりますが仮に大手代理店にブランディング、マーケティング、デザインまでトータルに依頼をかける場合、発注コストは大幅にかかるはずです。この理由は仲介マージンとなります。広告代理店は基本的に制作を外部に委託して、ディレクションのみ行う場合も多いため仲介マージンは発注側における一つのボトルネックとなると思います。
世界観構築に関して、広告代理店は数社の外部委託会社をどれだけまとめられるかが課題になってきます。ブランド事業に携わる外部委託先が増えれば増えるほど、様々な価値観や意思をもつ個人や会社が増えるため、ブランドの世界観を保つのがそれだけむずかしくなると言えます。
代理店が提供するブランディングとデザインにおいてのレベルにおいては、その外部委託先の制作クオリティーによってくるというところでしょうか。
以上の点におきまして、トータルブランディング会社では基本的にブランディング、マーケティング、デザインの根幹にあたる施策はすべて社内で取り仕切るため、ブランドの世界観をコントロールしやすく、なおかつブランディングに特化している事業のため、ブランディングやデザインに関してのアウトプットの質は高い水準で安定していると判断していいと思います。
いずれにおいても、各社専門性もちがえば、実績の深さや経験年数、ノウハウの量などには当然ばらつきがありますので、最終的にはそれも踏まえて慎重に選ぶできでしょう。
最後に。
別の方法として、最近多くの企業で外部からCMOを社内に入れる事例が増えています。上のご紹介した「5 マーケティングとブランディングを横断的に統括するクリエイティブディレクション能力」のリソースをカバーする人材を社内に置くということです。わたしも企業顧問の経験上感じるのが、この場合大切になるのはCMOを入れたらすべてうまくいくわけでは当然なく、まず大切なこととしてCMOが提案するマーケティング施策において社内の必要な変革の権限を持たせることが重要です。「売上をあげたい、認知度をあげたい、でもリスクをおかせない」という経営判断により、せっかくCMOや顧問を入れてもブランド事業の改革に貢献できないケースは少なくありません。