ブランディングと、マーケティングと、デザインの違いは? ②
ブランディングとマーケティングとデザインの関係は、裏でしっかりつながっています。ただしこの3つは全く異なる分野のため、同じ方向を見ずにバラバラに進めてブランド事業がうまくいっている事例を私は知りません。
この3つの関係性において、一番のハードルはそれぞれを「同じ世界観」で連動させる必要があることです。その理由は追って説明しますが、まずはデザインと、ブランディングとマーケティング間の関係性を理解することが、ブランドの認知があげる、業績があげるためにはじめに必要なことと理解してください。
マーケティングとデザインの関係
ブランディングとデザインの関係
まずは以上の2つから説明をしていきます。
「デザイン」とは、考えを見える化することだと思っています。人が手に取れて、目に見えるすべてのものはもとを辿ると抽象概念です。はじめはすべて人の頭の中でしか存在しないものです。それを知覚できるようにすることを広義の意味で「デザインする」ということだと考えています。つまりあらゆる自然物以外の物体はそのデザイン性の良し悪しにかかわらず元は人の頭の中にあり、クリエイティブプロセスをえて物体になっていることになります。つまり、わたしたちは日々「デザインに囲まれている」とも言えます。
デザインされたものには何らかの意図があります。
たとえばマーケティングをつうじて生まれたデザインの意図は「売れるようにする」です。具体的には言葉であり、映像や音、写真などで構成された、販促ツールであり、広告そのものであり、メディアのインターフェースであり、いわば顧客が製品サービスに知り興味を抱き購買に向かうために必要な情報を商品・販売コンセプトを元にデザインします。これがマーケティングにおけるデザインです。
では次はブランディングです。
ブランディングのためのデザインの意図は「アイデンティティを伝えること」です。
デザインされたものがブランドを現すものであること、ブランドと同一視されることが求められます。ブランド理念やコンセプトを表現して伝えるものであることがブランディングにおけるデザインの役割です。
たとえばです。皆さんをブランドに置き換えた場合、みなさんには顔であり、髪型であり、表情があります。容姿があり、作法やマナーであり、声があり、言葉の内容で自分自身を表現しています。人はこれらを通じてみなさんがどういう人か、主観的に感じて想像します。つまりみなさんのアイデンティティを見える化させたものが以上です。ではこれを商業ベースで行うとどうなるのでしょうか。
たとえばブランドには、シンボルマークであります。ロゴやキャッチフレーズ、ブランドストーリーがありますし、ブランドムービー、ブランドブック、あるいは商業店舗があるブランドであれば空間演出などもアイデンティティの表現の一つに入ります。またはそこで働く人々のユニフォーム、作法やマナーにまでブランド理念を込めてアイデンティティを表現して伝えることもできます。
人に対してみなさんのブランドが「何の価値を提供するのかを感覚的に伝える情報」に形づくること。これがブランディングにおけるデザインです。
以上のことから、プロモーションにおけるサービス・製品を売るための情報をデザインすることと、ブランドアイデンティティを伝える情報をデザインすることは、異なる視点が求められることがお分かりいただけると思います。
マーケティングデザイン ≠ ブランディングデザイン
では次回ですが、マーケティングとデザインの関係と、ブランディングとデザインの関係がうまく連動していくことでなぜ業績があがっていくのか、その理由を問題点もふまえて、私が現場を通じて経験した知見をもとに紐解いていきます。
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