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ブランドの強みを最大化する方法 [デザイン編]

わたしたちが何かのサービスを想起するとき、言葉か形がともないます。
ある抽象的な概念は音をともなう言語にもなれば、形をともなう造形になり初めてわたしたちは「それ」を知覚できます。

いいか、わるいか。 好きか、嫌いか。

知覚して感情をふさぶられます。ブランドとは受け手の感情から生まれる客観性のない相対的価値です。感情を伴う体験には、言葉、音や形が必要です。

では今回はいままでつくりあげてきたコンセプトという抽象概念を、この言葉と形に落とし込む際の考え方を、以下の2つのアプローチで紹介していきます。

[2つのアプローチ]
強みを「言葉」にできるか →コーポレートアイデンティティ(CI)
強みを「形」にできるか →ヴィジュアルアイデンティティ(VI)



コーポレート アイデンティティ

Corporate Identity/CI


→ 強みを「言葉」にできるか?



あまり馴染みのない言葉だと思いますがCI(シーアイ)といいまして、企業の社外にむけた企業のあり方や提供価値を反映した言葉によるメッセージをいいます。
CI、VI、BIの違いに関しては私なりの見解を以前に語ってますのでどうぞ。

このCIは、後続で説明するヴィジュアルアイデンティティ(VI)のロゴと一緒に見せられたり、あるいは企業のWebサイトの事業紹介ページあるいはトップページに掲載されることが多いメッセージです。

CIは、いわば企業のお客さんにたいするメッセージです。

これは別の表現では、大義、企業理念ミッションとも一緒に考えられますし、分けてつくられもします。またビジョンというものもあり、これはミッションにたいして、企業の将来像を表明したメッセージもあります。また、最近はパーポスという言葉も聞かれますが、これは社会的に存在意義で、ミッションに対して社会との関係性を強調したメッセージだと私はとらえています。
ただ、これからの表現にはそれぞれの意味があり、使われ方の違いがありますが、私個人的には気にせず一つ決めておけばいいくらいにしか思っていまません。というのも、いくつも決めたところで観る側はもちろん、発信する側も把握できないからです。たとえば、皆さんが所属する会社の理念とミッション、それに対応する行動規範、加えてビジョンをおしえてください。とたずねたとして、スマホを出さずに回答できる方はほとんどいないのが理由です。

言葉は伝わらない、記憶されないと意味がありません。記憶されやすいのは、シンプルでブランドの本質をとらえた言葉です。そして伝える対象の人が多ければ多いほど、よりシンプルで独自性のある表現は求められます。

CIは、ブランドの強みをできるかぎり短い言葉で明瞭に、シンプルな言葉で表現します。そしてメッセージは1つに集約するほうが伝達効率を高めます。発信する媒体ごとに変えることもせず、同じメッセージを繰り返し使いまわします。この理由は、「一貫性」の大切さにあります。一つのリピートされる情報は、より強く受け手の脳裏に残りやすいからです。

CI まとめ

ブランドメッセージは、強みを反映させたシンプルでわかりやすい言葉を
1つだけ、繰り返し使い続けること。




ヴィジュアル アイデンティティ

VisuaI Identity/VI


→ 強みを「形」にできるか?



ヴィジュアルアイデンティティ(VI)を考えるとき、2つのことを気にしてください。一つは「イメージの一貫性」。二つ目は「強みを形にできるか」です。順に説明していきます。

一貫性のお話から。
ブランドという概念に形を与える行為がいわば、ブランドを「デザインする」ということかもしれませんが、ブランディングデザインと言われるデザイン分野は特にここの部分のことを指します。たとえば以下のものがブランディングデザインが手がける媒体の主なものです。

ロゴ、シンボルマーク、webサイト、名刺、会社案内、郵送梱包物、パンフレット、看板、SNSアカウント、ブランドのキービジュアル、パッケージ、店舗・空間デザイン、ユニフォーム、各種PR広告 など

上げればきりがないのですが、起業時や、リブランディングの際に必要とされるブランドツールです。つまりヴィジュアルアイデンティティという、アイデンティティ(ブランドの本質)の部分が「見える化」したものと捉えていただければわかりやすいかもしれません。

さきほど触れましたが、ブランドメッセージにおける「一貫性」はここでも問題になります。一つのトーンアンドマナーで、多くの媒体を横断的にブランドの世界感を作り上げるのは容易ではありません。ブランドのコンセプトを見える化させて、各種ツールに展開する際にルールの遵守する俯瞰的視野がマストです。これにおいて、通常であればこの分野の専門技能をもったディレクターに依頼をかけておきたいものです。それが必要な理由を簡潔に説明します。

ブランドツールの依頼先 展開例 1

A社ヘ依頼 ロゴ、シンボルマーク
B社ヘ依頼 webサイト
C社ヘ依頼 名刺、会社案内、郵送梱包物、パンフレット、看板
D社ヘ依頼 SNSアカウント
E社ヘ依頼 ブランドのキービジュアル、パッケージ
F社ヘ依頼 店舗・空間デザイン、ユニフォーム

ブランドツールの依頼先 展開例 2

A社ヘ依頼 ロゴ、シンボルマーク、webサイト、名刺、会社案内、郵送梱包物、パンフレット、看板、SNSアカウント、ブランドのキービジュアル、パッケージ、店舗・空間デザイン、ユニフォーム

2つの依頼先の方向で、どちらがブランドイメージの一貫性をうみやすいかはあえて説明するまでもないと思います。
ある一定のコンセプトやルールを広く展開させたとき、そこには少なからずブランドコンセプトへの理解と共有の仕方にGAPが生じます。この共有のズレは、当然ですがブランドツール制作に関わる制作者が増えれば触れるほど、イメージの一貫性がくずれがちです。たとえば、展開例1の場合は各制作者の上に、プロジェクトを統括する優秀なクリエイティブディレクターを立てる必要があります。
では、結果的にこの「ズレ」により何がおこるかというと、みなさんが届けたいサービスに対して、エンドユーザーが抱くブランドイメージが一貫性を欠いてきます。そこでブランドメッセージの大切なポイントは

ブランドツールのイメージの一貫性



一貫性の欠如は、情報の伝達効率を悪くします。最悪の場合は、異なる媒体にまたがっているブランド情報が、同じブランドに見えないという事態になりえます。これは避けたいわけです。


つぎに、ブランドの強みを「形」にすることについてです。

わたしたちは何かの情報を見たとします。
そこで次に何を思うかというと、

・わたしたちに、必要な情報か?
・わたしたちに、不要な情報か?

つまり、関心があるのか、ないのか。2択ですよね。
不要であれば、すぐに忘れ去られ終わります。
ただ少しでも関心を引けた場合、それは「認知」につなげられ、うまいいけば「購買」までいくかもしれません。そのため、まずは認知させることがすべてのはじまりだと理解してください。したがって、人が認知するに必要な情報、つまり「自分に必要な情報だ」と認識してもらうためのファーストステップに求められる要素は以下のものです。

イメージの一貫性 (→それは何か?)
イメージの独自性 (→それは他と何がちがうのか?)

後者については、ブランドの特徴、強み、他社サービスとの競争優位性をVIを通じて伝えるべきですし、前者ではVIにおけるブランドイメージに一貫性が欠如した場合、そのブランドだと認識することがむずかしくなるためです。

わたしたちは日々膨大な情報を処理しています。情報過多、競合過多、エンタメ過多の世界で、みなさんのブランドをエンドに伝えて、認知させていくには、VIツールにおけるイメージの一貫性と独自性の表現は、マストです。

VI まとめ

ブランドの本質的特徴や強みを表現したブランドツールをつくり、
ブランドツール間で、横断的にイメージの一貫性を保つこと。


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