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安直かよ 大阪府、地下駐車場保管作品をデジタル化で処分とか(4)

外部記録メディアは変遷し「遠く」なる

 私は、前回までに述べてきたような古いCD-Rのみならず、古いMOディスクも保管し続けています。「古い」というと、軽く20年は時を経ているものも含みます。
 MOは大手家電量販店なら店頭販売していたものですが、それも過去のこと。現在の外部記録メディアとしては既に主流ではなく、未使用生産終了品がMOドライブとともに細々と流通している程度です(※10)。MOは大変使いやすかったのですが、私もいつしか時々使用する程度になっていました。MOは仕事の成果物や撮影した写真のアーカイブ先としていましたが、それも大容量のDVD-Rや外付けHDDに変わりました。とはいえ、MOのアーカイブには大事なデータも含まれているため、廃棄できずにいます。ですが、現在も所持しているMOドライブの調子が悪くなってきており、今のうちにすべてのMOのデータをDVD-Rにアーカイブし直す頃合いかもしれないと感じています。
 あんなに毎日のように使っていたMOでしたが、自分の現在の生活からはいつしか遠くなっていました。フロッピーディスクもそうです。なお、フロッピーに記録していた大事なデータはMOにアーカイブし、既に廃棄済みです。
 フロッピー、MO、HFSフォーマットのCD-R…、これらの外部記録メディアは、より便利なものを選ぶようになったり、読む手段が徐々に困難化したりという理由で、私の現在の生活からは「遠く」なってしまいました。そういった外部記録メディアは、これらばかりではありません。昔のデジタルカメラの記録メディアもそうです。「遠く」なった外部記録メディアとして多くの人々が共有しているのは、むしろこちらなのかもしれません。
 1990年代にはフロッピーに記録するタイプのデジタルカメラすらありました(※11)。こうしたデジタルカメラの写真の外部記録メディアは、この25年あまりで、スマートメディア、コンパクトフラッシュ、SDメモリーカード、とメディアのタイプを越え形状もバラエティに富むようになり、メモリーカードリーダーも変遷していきました。こうした変化にともない、ユーザーの人々が現在使用しているパソコン等で、かつて撮影した写真を記録したメディアが読み込めなくなっていても何ら不思議ではありません。

外部記録メディアが読み込めたとしても

 幸いにして、そういった外部記録メディアを読み込める環境があり読み込みが叶ったとしても、メディアの中のそれぞれのデータを読むためには、まだ乗り越えるべき壁があります。それぞれのデータを読むためには、データを開いてブラウズする(=表示して読める状態にする)ためのアプリが必要です。デザイン系ならば、データをブラウズするには、だいたいの場合はそのデータを作成したアプリ(アプリによっては同バージョンのアプリ)が必要です。そうしたアプリがない限り、記録メディアの中のデータを読むことはできません。
 そして、アプリがありデータを開き表示することができたとしても、特にデザイン系の場合にはフォントの壁もあります。日本語フォントのフォーマットは、1990年代からずいぶん変わりました。ヘッダーの画像がまさしくそうなのですが(ヘッダー用にPNG画像に変換はしています)Adobe Illustratorならバージョン8.0のファイルをCCバージョン2023でも読み込むことが可能です。しかしながら、その頃のフォントは現在のフォーマットと異なるため、アウトライン化していないOCF(※12)やCID(※13)の日本語フォントは他のフォント置きかわり、場合によってはレイアウト崩れを起こしたりもします。

次回に続きます。

[注釈]

(※10)MOドライブやMOディスクはAmazon等のネット通販では流通していますが、ユーザーの方のパソコンに適合するかは確認が必要です。
(※11)「PC Wathc」1997年6月11日記事「ソニーが記憶媒体にフロッピーディスクを使ったデジタルカメラを発売」(https://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/970611/sony.htm)
(※12)OCFフォント:2バイトの日本語PostScriptフォント。古いフォントフォーマットのフォント。Type1フォントを複数組み合わせた構成。便宜的に2バイトになっている。
モリサワ>文字の手帖>フォント用語集>「OCFフォント(Original Composite Format fonts)」
(https://www.morisawa.co.jp/culture/dictionary/1903)
(※13)CIDフォント:2バイトの日本語PostScriptフォント。古いフォントフォーマットのフォント。Type1フォントをベースにしたOCFフォントとは異なり、最初から2バイトで設計されている。
モリサワ>文字の手帖>フォント用語集>「CIDフォント」(https://www.morisawa.co.jp/culture/dictionary/1920)

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