皆歳いんげん

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BL小説 TL小説 男女の恋愛小説 キャラ文芸 色々自由に書いてます。 Kindleも、いんげん名義で出してます。

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「神様のひとさじ」第一話

【あらすじ】 人類は、一度絶滅した。 神様に再び作られた、アダムとイブ。 地下のコロニーでAIに作られた人間、ヘビ。 イブは、ヘビを運命の相手だと勘違いして、猛アタックを開始。しかし、本当のアダムと出会って。 「え? あれ? 間違ってかも」 その気になりかけていた、ヘビはモヤモヤする。 イブこと、ラブも、アダムと、ヘビとの間で揺れる。 ある日、コロニーで行方不明者が出て、彼を探す人々。 しかし、AIが彼の死した映像を映し出した。彼は、誰かに殺されたのか、獣に襲われた

    • 「神様のひとさじ」第十六話

      風のように駆け抜けた白馬では、一瞬のように感じたが、ロバでは、一時間かかった。 「この辺りで、アダムは、動物のお肉が落ちてるって言ってた」 ラブは、ロバから降りて辺りを見回した。 「曖昧な表現だな。野生の動物なのか」 驢馬なのか、ヘビはラブに気を遣ったのか、言葉を不自然に飲み込んだ。 辺りを二人で捜索し始めると、ロバは周囲の草を食べ始めた。 「何も見当たらないね」 「そうだな」 林の茂みを棒で掻き分けるラブと、足でなぎ払うヘビ。 「あっ、キノコ生えてるよ」 ラブが見つけた

      • 「神様のひとさじ」第十五話

        ラブは目を覚ました。時計を見ると、午前九時を回った所だった。 しまった、動物たちの世話をしに行かないと、体を起こすと頭上から放送が聞こえた。 『住民は居住区の一階部分に集まってください』 外から「何なの?」と人々の声が聞こえてきた。 ラブも、手早く身支度を調えて、部屋の外へ出た。 一階の中心部と、二階の階段部分には、人々が集まり、顔を見合わせている。 過去にもハジメに全員が呼び出されることが、何度かあった。それは大概、問題が起きた時だった。今度は一体何が起きたのか、皆

        • 「神様のひとさじ」第十四話

          「ラブ、ラブ!返事をしろ」 ヘビがラブの体を必死に抱き寄せると、ラブの瞳が開いた。 「あれ?ヘビ?どうしたの?」 ヘビの肩に掴まったラブは、今、気がついたとばかりに問いかけた。 「お……おまえ……」 ラブが無事だと分かると、ヘビは脱力して仰け反った。ブクブクと沈んでいく。 「ヘビ⁉大丈夫⁉泳げないの?」 ラブは、沈んでいったヘビに慌てた。暗い水の中で腕を彷徨わせた。 すると、ヘビが水しぶきと共に顔を出した。彼のうねる髪が顔に掛かっている。それを乱暴に掻き上げて、ヘビが大き

        • 固定された記事

        「神様のひとさじ」第一話

          「神様のひとさじ」第十三話

          アダムと出会ってから、朝夕の散歩が日課になった。もう一ヶ月近くたつが、ラブは獣に遭遇していない。 「今日は、曇ってるね」 「きっと、午後は雨が降るよ」 人工衛星が消滅し、天気の予報は出来なくなった。しかし、アダムが呟く予報は、外れた試しがなかった。 「あれ?」 土竜がやって来た。 「アダムに話がある。いいか?」 土竜は、見た目に反し、とても静かに話をする。硬そうな肌肉が口元だけ笑顔を作っているのに、今日も目は笑っていない。ラブは、彼が暴力的な態度を取った所は見たことが無い

          「神様のひとさじ」第十三話

          「神様のひとさじ」第十二話

          ヘビは、足早にコントロールルームに向かった。 そこには、かつて二足歩行していたロボットが、椅子に腰掛ける形で置かれている。 最初に誕生させた子供達を育てるために利用した機体の一つだ。劣化し、故障したために動く事が出来ない。修理することは可能だったが、修理しない事に人間達が決めた。 「ハジメ、今日のアダムの行動記録と、コロニーに持ち込んだ植物の画像を出して欲しい」 ヘビが話しかけると、声を掛けられたロボットが首だけを、そちらに向けた。 『行動記録は、コロニーの半径五キロまで

          「神様のひとさじ」第十二話

          「神様のひとさじ」第十一話

          「アンタ、今日はイベントよ」 キボコがラブの部屋を尋ねてきた。 「イベント?」 「聞いていないの?」 「男女で出かけるイベントよ」 「あー、アゲハが言ってた。お出かけって外だよね? ラブも行く!」 「そう、じゃあエントリーっと。若い男の誰かとマッチングされるわよ。ウチの驢馬だったらいいわね」 「意地悪じゃない人が良い! ラブ、キボコで良いよ」 「お断りよ、馬鹿。そもそも、これは若年層のイベントよ。あたしら中年は勝手にペア組んで出かけるわ」 キボコは、すげなく断った。 「この

          「神様のひとさじ」第十一話

          「神様のひとさじ」第十話

          「イブ!」 男の叫び声が聞こえた。現れたのは、アダムだった。 「イブだよね⁉」 アダムは、ラブと目が合うと、大きな口を開いて、顔をクシャクシャにして笑った。 「やっと会えた!」 アダムは、背が高く、肩幅も広い。立派な男性なのに、子供のように嬉しそうに笑って、少し泣いていた。 白いツナギを着ているが、手足が長過ぎて、ラブに向かって両手を広げると、袖が足りていない。前髪は顔にかからず、おでこが丸見えだ。清潔感溢れる短めショートの髪で、彼の豊かな表情が余すことなく晒されている。

          「神様のひとさじ」第十話

          あと2300字減らなくて、もう投稿したのも直治ししているので、あと何文字減らせばいいか分からなくなりましたwww あとで足し算しないと。 それにしても、各投稿サイトさま、サイバー攻○で色々大変なようで、とりあえず、こちらの投稿に専念します。紙の本って最強だなと新たに思うなど

          あと2300字減らなくて、もう投稿したのも直治ししているので、あと何文字減らせばいいか分からなくなりましたwww あとで足し算しないと。 それにしても、各投稿サイトさま、サイバー攻○で色々大変なようで、とりあえず、こちらの投稿に専念します。紙の本って最強だなと新たに思うなど

          「神様のひとさじ」第九話

          朝が来て、ラブはクイナに呼び出された。 小さな部屋には、机がコの字に並べられていた。正面にクイナ、右側にキボコ、彼女の後ろに不機嫌そうに足を組んだ稲子が座っている。 「おはよう、ラブさん。そこに座って」 「おはようございます」 ラブは、左側の机に座った。稲子が威嚇してラブを睨んでいる。キボコは、面倒くさそうにラブを見ている。 「今後のラブさんの役割について考えていこうと思うの。ラブさん、食事全然しないし、お金は減っていないだろうけど、何をするにも使う事になるし、何か担当が

          「神様のひとさじ」第九話

          「神様のひとさじ」第八話

          朝が来て、ラブは部屋にあった服に着替えた。いつものワンピースではない。白の綿Tシャツと、ライトグレーの作業ズボンだ。 飾り気のない髪ゴムで髪をポニーテールにした。 突進するイノシシのように鼻息が荒い。 玄関で、配布されたブーツを力一杯締め上げて履いた。 「よし!」 廊下では、朝食時間の為、誰にも会わなかった。食堂とは真逆の、コロニーの出口へと向かってズンズン歩いた。 (絶対、自分で赤い実を見つけて、ヘビに ギャフンって言わせるんだから!) ラブは、燃えていた。 バウ 

          「神様のひとさじ」第八話

          「神様のひとさじ」第七話

          ピピピ…… ラブは、部屋に帰り、ふて寝を始めた。モヤモヤする気持ちも、グーグー鳴るお腹も、眠っている間は忘れられる。 夜になっても眠り続けたら、部屋の呼び出しボタンが押された。 起きるの億劫で、二度目の音を聞きながら「居ませんよぉ」とドアの向こうに気の抜けた返事をした。 「居るだろう、さっさと出てこい」 「ヘビ!」 ヘビの声に、条件反射で飛び起きた。ラブの顔は、綻んでから顰められた。 (どうしよう。もう、お菓子なくなっちゃったし、お菓子あげようとしてたのも恥ずかしいか

          「神様のひとさじ」第七話

          【異世界転移ドキュメンタリーBL】

          異世界転移ドキュメンタリー 「どれが当たりだったんだ、まぁ、いいか」  俺は、異世界に降り立った。  まずは、ジモトーで譲り受けた、ビデオカメラの電源を入れた。消去されずに残っていた、子供の誕生日会らしき動画を、秒で削除した。 「せ、先輩! ここは何処ですか⁉」 「異世界だろ」 「いや、いや! ご冗談を」  一人で騒ぐ後輩の顔をアップで撮り始めた。コイツは高校の後輩だ。絵に描いたようなオタクだ。長方形の黒縁眼鏡に、妙にダサいポロシャツと、変なチノパンをはいている。 「成功だ

          【異世界転移ドキュメンタリーBL】

          「神様のひとさじ」第六話

          ラブは、一人で鼻歌を歌い、トートバッグを振りながら歩いた。 曲がり角に差し掛かったとき、それは手から飛んで逃げた。 「あぁー!」 バッグは、歩いてきた誰かに踏まれた。 「何だ?」 現れたのは、驢馬だった。 必要以上のガニ股の足が、未だにラブのバッグを踏んでいる。足をどかす気が無いようだ。ニヤニヤと笑い始めた。 「おー、新入りの女じゃねぇか」 「足、どかして。鞄、踏んでるよ」 ラブは、駆け寄って驢馬の足下を指さした。 「はぁ? 知らねぇよ。お前が飛ばしてきたんだろ。もう少

          「神様のひとさじ」第六話

          今、14万3712文字 あと、3700削るのぉぉ。半分すぎて1300しか削れてないのに。ひいいい。最悪あれですね。エピローグカットですね。いや、しかし消化不良感が……頑張るぞ。そして新作がすすまない。

          今、14万3712文字 あと、3700削るのぉぉ。半分すぎて1300しか削れてないのに。ひいいい。最悪あれですね。エピローグカットですね。いや、しかし消化不良感が……頑張るぞ。そして新作がすすまない。

          「神様のひとさじ」第五話

          朝が訪れるころ、コロニーの照明が点いた。 ヘビは、着替えのために部屋に戻ってきた。 ノックをしても、声を掛けてもラブからの返答は無かった。仕方なく部屋に入ると、布団にくるまって眠るラブが視界に飛び込んできた。 目を閉じて眠っている顔は、起きている時よりも大人っぽく見える。つい、目が惹き付けられる美しさがある。 ヘビは、首を振って意識を切り替えた。クローゼットに向かい、作業用のツナギを取り出し、ラブの方をチラチラ警戒しながら着替えた。 「おい」 ヘビの大きな手が、ラブの布

          「神様のひとさじ」第五話