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g011a022
彼がいたこの街
彼に出逢わせてくれたこの街が好きだ。
この一文を書くだけで涙ぐんでしまう私は少し弱っているのかも。
高台にある公園で街を見渡しながら、オレンジ色に照らされた横顔。
息をあげながら長い階段を上る私と反対に、軽い様子で上る後ろ姿。
私の方を振り返って優しく笑いながら差し伸べる大きな手。
喧嘩の後、かすんだ目の奥に見える私と同じ歩幅。
学校をさぼって背中を感じながら行った海。
木漏れ日の中、弾き語りをする優しくて強い歌声。
学校の帰り道、公園のベンチで肩を寄せ合って聴いた曲。
太陽が月に変わるまでなんでもない会話を延々とした川沿い。
全部全部すきだった。
彼がいたから全部があたたかくて、全部がやさしい思い出。
なんの思い入れもなかったこの街に彼の色が染みついて、いつの間にか愛さずにはいられなくなった。
彼との時間はずいぶんと前のことのなのに、いまだに彼を感じてしまう。
私この街を好きにさせてくれた彼のことが、今も大好きだ。
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