見出し画像

君たちはどう生きるか 1.0


スタジオジブリ、宮﨑駿監督の最新作「君たちはどう生きるか」を鑑賞して来ました。

個人的に、めちゃめちゃよかった点と、これはちょっと…と感じた点があります。

よかった点は、やはり絵が素晴らしいということと、数多ある偉大なアニメーションや芸術作品へのオマージュや、自作のパロディがふんだんに織り込まれている点、さらに音楽の久石譲さんが天才!

声優のキャスティングもキュンキュンしたし、主人公の主体性や彼を支える人々との関係の変化には説得力があり、どこまで引っ張るのかともどかしく感じる部分もありつつ、ラストは観てよかったなと、前向きな気持ちになりました。

声優で言えば木村佳乃さんの艶っぽさ、柴咲コウさんのかっこよさ、チャーミングなあいみょんさんも魅力なんですけれど、全編観ると、やはり日本が誇るイケおじ(國村隼さん、小林薫さん、火野正平さん)に拍手を送りたいです。

ここからは、少し抵抗を感じた点に移ります。
ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、火事や親族を亡くしたことでトラウマを抱えている方にはどうなのかなと。

劇場の入りを見る限り、プロデューサーである鈴木敏夫さんの映画の内容を明らかにしない広報は成功していると思いますが、悲しいことを思い出す人もいるのではないか、また、小さな子どもを含めた全世代向けの作品ではないなとは思います。

また、私は「千と千尋の神隠し」「崖の上のポニョ」を観ておらず、ジブリ作品を観るのが久しぶりだったのですが、そういう人でもついて行けるのかなというのは感じました(私は「千と千尋の神隠し」、「崖の上のポニョ」ってこういう感じなのか〜と楽しめましたが)。

総じて、「君たちはどう生きるか」は大傑作だと思います。(実際に劇場に足を運んで確認して下さい)、私は宮﨑駿より高畑勲派であると再確認したわけでもありますけれど、それでもすごい作品です。

この作品を通して、宮﨑駿監督の高畑勲監督への敬意もすごく感じましたし、同時に、やっと高畑勲はもういないのだという実感が湧き、その世界で「どう生きるか」と問う宮﨑駿監督のパワー、創造性には、圧倒されるだけでなく、負けていられるかという気にさせられました。

***
個人的な話をすると、この作品を観ている間ずっと、私は父方、母方、両の祖父のことを思い出していました。父方の祖父は体が弱く、徴兵検査で落とされ、健康で勇敢な友人たちは、特攻隊として喜界島に行き、若くして命を失いました。このことは、父方の祖父にとって生涯に渡る葛藤を生み、コンプレックスとなりました。

今は観光地となっている喜界島の海岸

一方、少し年が若い母方の祖父は、戦時中、この作品の主人公と同様、長野県松本市に疎開していました。疎開先の教師は、世界史の知識があり、生徒たちにこっそりこの戦争で日本は大変なことになると教えてくれたそうです。

今も、この世界では、戦争や市民に対する暴力行為が行われています。日本は憲法戦争放棄を明記していますが、ミャンマーの軍事政権や、トルコにおける人権侵害を強い姿勢で非難することはしていません。極東における安全保障においても、日米韓の3カ国は北朝鮮に関しマッチポンプあるいはチキンレース状態です。

「君たちはどう生きるか」と問われた時、私は戦闘状態を引き起こしたり放置するような政府をはっきり否定したいと思います。

***
今の日本の安全保障政策に憤りを感じて少し言葉が強くなってしまいましたが、自分がどう生きるか選択することで、未来は変えられます。

ちなみに、予告で観たクレヨンしんちゃんの新作「しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 ~とべとべ手巻き寿司~」(空気階段松坂桃李さんが出演、主題歌はサンボマスター!)も今の時代にぴったりなテーマで、こちらは子どもから大人まで楽しめそうでした!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?