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「機械」と「データ」に頼りつつ

大型書店も「エクセル経営」を活用しています。

注文していない本が大量に入ることが時々あります。考えられるのは版元や取次からの一方的な送り付け、もしくは「本部の発注」です。本社スタッフがデータ分析をおこない「いま、この店にはこの本がこれぐらいの数必要だ」と判断するわけです。

ジャンル別の売り上げは各店舗でも調べられます。だいたい週明けか週末にチェックし、なくなりそうなものを注文するのです。

問題は「棚担当者の発注」が本部のそれと被ること。対象になる本は売れ筋だからいずれなくなります。でも大量在庫を抱える行為はそれだけで経営を圧迫します。ゆえに書店によっては「棚下ストックは一列」とルール化したり、そもそもストックを持たなかったりする。

たとえばコミック。「呪術廻戦」みたいな人気商品以外はストックを抱えない店もあります。こういうところで一冊ずつ差しているものが「大人買い」されると、補充分が入るまで棚はスカスカになるわけです。

仕方ないといえば仕方ない。でもエクセルやAIが予測できなくても、現場の人間には想定できているケースもあるのです。

私の担当する棚だと、例年この時期は「六法」がかなり売れます。大学生が買っていくのでしょう。あと「世界遺産検定」の公式本も動きが速くなります。でも本部注文分は来ない。ニッチすぎて拾われていないのでしょうか? なので店長から了承を得て普段よりも多めに注文しています。

「書店では平積みよりも棚差しの方が売れている」という記事を何度か書きました。出版社の計算及び本社のデータ分析に端を発した仕掛けや、メディアやSNSに注目される大がかりなフェアはもちろん大事。でもこういう地道な取り組みの積み重ねが店の数字を支えていることも事実なのです。

便利な機械や有効なデータに頼れる部分は素直に頼る。ただし全面的には甘えない。その姿勢を忘れずにやっていきます。

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