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歳を言い訳にしない男

ハイライトは武藤選手がムーンサルトプレスを狙った場面。「さよならムーンサルトプレス」という本に書かれていますが、両膝に人工関節を入れたことで彼は新人時代から使っていたこの技を使えなくなりました。でも勝つためには使用即キャリア終了のリスクがあっても飛ばなきゃいけない。そんな覚悟が伝わりました。

結局ムーンサルトは出しませんでした。でもコーナーに上がって思い悩む姿が最高にエモーショナルで胸に刺さりました。実績にあぐらを掻かず、常識に縛られず、新たなチャレンジを厭わぬ姿は髪がフサフサで何でもカッコよくこなせた頃より1億倍セクシーでした。

これで武藤選手は新日本のIWGP、全日本の三冠、そしてノアのGHCという三大メジャータイトルを制覇。すごいことです。でもそれ以上に58歳1か月でも武道館のメインであれだけの名勝負を生み出せる。その事実に私は「夢」を感じました。

セミファイナルでは拳王選手が「ノアを再び日本武道館へ」という公約を達成したことをファンに報告し、さらに新たな「夢」を熱く語りました。「武道館を年に何度も開催し、超満員にし、ノアを業界第一位に引っ張り上げる」と。いいですね。彼の言葉と試合はいい意味で昭和の匂いがします。

対戦相手の船木誠勝選手も素晴らしかった。率直に言うとメチャメチャ強くて死ぬほどカッコ良かった。動画とかで見ると「老けたな」と思わなくもないのですが(失礼)、リング上では別人のオーラを纏っていました。やっぱりスターですね。

彼は武藤選手と同期で鈴木みのる選手と同い年。今年で52歳です。なのに30代半ばの拳王選手をグラウンドで圧倒し、打撃でも五分以上に渡り合う。

船木選手は2000年にヒクソン・グレイシーに敗れ、一度引退しています。

そこから格闘家としてカムバックし、2009年にプロレス復帰。あの頃の強さは失われていません。ここにも年齢の壁を破った「夢」を感じました。

「アメトーク!」で「見た目が変わらない53歳」と言われてブレークした小川良成選手もジュニアタッグ王座を防衛。さらに51歳の秋山準選手がDDTのリングでKO-D無差別級王座を奪取。つくづく実感しました。年齢制限のあるものじゃない限り夢に歳は関係ない、歳を言い訳にしたくないと。

いまプロレス界は50代が熱い!!! 



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